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第54話 アンナ救出

 前回のポイント・敵のスキルを逆手に取った!

 見通せる限り、道は下っている。

 身近なところだと、螺旋階段だろう。


 その真ん中は、螺旋階段と同じく穴が空いている。

 底の見えない深さから、飛び込みたいとは思わない。


「ご主人、その穴に跳び込もうとしましたよね?」


「冗談だと、言っただろ?」


「冗談には聞こえませんでした。もし飛び込む時は、一人でお願いします」


「生まれた時は違っても、死ぬ時は一緒だぞ?」


「格好つけたつもりですか?」


「もちろんだ、義兄弟たちよ」


 スラゾウとゴレタは、ため息をつく。


 肝心のナイトゴーントは、地面すれすれを飛んでいる。

 もちろんそれは、俺たちを入れた場合。

 俺たちを抜かしたら、天井と地面の中間地点。


 そのことから、ナイトゴーントは「飛行が得意じゃない」とわかる。

 実際、〈飛行〉のスキルのランクは低い。

 それこそ、〈飛行〉のスキルがない限り、飛べないのかもしれない。


「飛行が不得意なんじゃなく、単に重いんじゃないんすか?」


「俺の体重は、平均そのものだぞ」


「そういうことじゃなく、本来運搬できるのは、人一人なんすよ」


「飛行じゃなく、運搬の許容量を超えてる?」


「それなら、時折、落ちそうになる理由も説明できるっす」


「帰ったら、ダイエットするか?」


 スラゾウとゴレタは、ブンブンと首を横に振る。


 会話の間も、警戒している。

 もちろん、観察を怠っていないし、緊張も解いていない。

 下手すると、穴に放り込まれるから。

 

 運ばれること、三十分――


 徐々に、速度と位置が下がっていく。


 それが地面を歩いているのと、変わらなくなった時――


 ドスン!


 止まるのと同時に、地面に落とされる。


「よし」


 役目を終えたナイトゴーントは、どこかへと飛んでいく。

 その後姿を見送ってから、周囲を見渡す。


 当てが外れた?

 そう思ったのは、うごめくものがいるから。


「エリザたちじゃないよな?」


「ご主人、エリザに聞かれたら、張り倒されますよ」


「兄貴、アンナに聞かれたら、泣き喚かれるっすよ」


「暗いんだから、しょうがないだろ」


 真っ暗じゃないものの、視界の大半が閉ざされている。

 荷物からランプを取り出して、明かりをつけるべき?


「次の行動に移るためには、情報を集める必要があるだろう」


 スラゾウとゴレタは頷く。


「〈異世界王〉の効果により、対象の情報を把握する」


 俺は宣言する。


『〈異世界王〉の指定効果、発動』


 言葉が響き、文字が浮かぶ。


 【ステータス】


 クラス・グール

 ランク・F

 スキル・死体漁りF 死体食いF 冷耐性G(火耐性-E)

 エクストラスキル・なし


 【パラメーター】


 攻撃力・F+(プラス補正)

 防御力・Fー(プラス補正)

 俊敏性・F-(プラス補正)


「Fランクのグール……もちろん、契約済みだ」


 闇に目が慣れてきたため、グールの姿が浮かび上がる。

 人と勘違いしたのは、仕方ないことだろう。

 姿勢こそ悪いものの、人とほとんど変わらない。


「ここにいる魔物は、基本的に契約済みと考えるべきだろう」


「本来よりも強くなっている、と警戒するべきでしょうね」


「ただ、問題がある。そもそも、こいつらは何だ?」


「心当たりはないんですか?」


「知り合いじゃないぞ」


「そういうことじゃなく、知識として知っているのかどうかを聞いているんです」


 俺は首を横に振る。


「ナイトゴーントといい、グールといい、分類不能だな」


「もしかしたら、系統が異なるかもしれないっすね」


「系統?」


「ハウンド種族みたいに、魔物の系統は分かれてるんすよ」


「こいつらは、その中でも特殊?」


「そう考えると、説明がつくっす」


 俺は首を縦に振る。


「問題は、こいつらの正体じゃなく、こいつらへの対応だ。――どうする?」


 魔物には変わりないから、隠れ蓑による突破は不可能だろう。

 かといって、真っ向から戦闘するのは避けたい。


「こいつらが、何かに夢中になっている間に、突っ切るぞ」


 じっとして、その時を待つ。

 ほどなく、グールたちは何かに群がり始める。


「今だ!」


 グールの群れを突っ切る際に見えたのは、人の死体。

 原型を保っているから、土葬された死体だろう。


 グールたちは、その死体に口と手を伸ばしている。

 もしかしたら、食べているのかもしれない。


 暗かったのは、不幸中の幸い。

 もし明るかったら、見たくないものを見ただろう。


「ふぅ、緊張したな」


 俺たちは明るいところに出る。


「グールが何かに夢中になるなんて、運がよかったですね」


「運はよかったけど、偶然じゃないぞ」


「偶然じゃない?」


「俺たちは結果的とはいえ、相手のスキルの隙を突いたんだ」


「スキルの隙?」


 俺は頷く。


「そのスキルは、もちろん〈死体食い〉だ」


「グールが夢中になってたのは、死体っすか?」


「元の特性もあるだろうけど、スキルの特性だろう」


「〈死体食い〉の最中は、反応しない?」


「それこそ、攻撃でも仕掛けない限り、反応しないはずだ」


 スラゾウとゴレタは頷く。


 グールの住処を抜け出した俺たちは、道を下っている。

 その道は今までのように平坦じゃなく、でこぼこしている。

 人の手が入っている道から、人の手が入っていない道へと変わったんだろう。


「エリザも、アンナも、見当たりませんね」


「追い越したわけじゃないよな?」


「単純に判断したら、エリザたちのほうが先行してるはずです」


「問題でもない限り、追い越したとは考えられない、か」


 スラゾウは頷く。


「兄貴、先輩、来るっす!」


「何が来るんだ?」


「黒い影です」


「該当するのは、ナイトゴーント、か」


 ゴレタは頷く。


 立ち止まり、振り返る。

 視線を上げると、黒い影が見える。

 その黒い影は、二手に分かれている。


 正確には、たった一つの黒い影と、たくさんの黒い影。

 前者は走っているのに、後者は飛んでいる。

 どうやら、人間が魔物に追われているらしい。


「追われているのは、エリザたちか?」


「その場合、逃げる影は二つありますよね?」


「エリザたちじゃないとしたら、別件っすね」


 別人の上、別件?

 その場合、今回の問題の解決は、さらに難しくなる。


 そう危惧したものの、違った。

 こちらに向かって走ってくる黒い影には、見覚えがあったからだ。


「アンナちゃん!」


「タロウお兄ちゃん……?」


「ああ、そう、タロウだ!」


「あたし、怪物に追われてるの!」


「わかった、今、助けに行く!」


「すぐ来て、追いつかれちゃう!」


 会話の間も、俺は走っている。

 アンナの顔を見た途端、自然と走り出していたんだ。


「ご主人、ロリコンの鑑ですねぇ」


「兄貴、幼女が絡むとすごいっす」


「お前ら……俺のことを何だと思ってる!」


 百メートルのほどの距離を一気に駆け抜けると、アンナの元にたどり着く。


「アンナちゃん、大丈夫か?」


「あたしは、大丈夫……」


「本当に?」


「本当に。でも、エリザお姉ちゃんは――」


「詳しい話は、後にしよう。今は、あいつらへの対応だ」


 こちらに大挙してくる、黒い影は――


 予想した通り、ナイトゴーント。

 その数は数十を超えるから、群れと言っていいだろう。


「みんな、迎え撃つぞ!」


 俺たちは頷き合う。

 読んでくださって、ありがとうございます。

 ブックマーク等の応援、ありがとうございます。


 グールの隙を突けたのは、偶然ではなく必然です。

 洞察力もありますが、経験値によるものです。

 三名とも、着実に成長している証です。

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