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第53話 スキルを逆手に取る

 前回のポイント・エリザとアンナは、さらわれた!

 魔物に連れ去られた少女は、俺の知っている二人?


 その可能性は、非常に高い。


 なぜなら――


 名前は一致しているし、行動も一致している。


「偶然の一致とは考えられないから、知り合いだろう」


「その場合、どうするつもりかね?」


「もちろん、今すぐにでも助けに行きます」


「タロウ君らしい、いい返事だ」


 ケインは賞賛すある。


「その後の対応は?」


「救出に向かうべきかどうか迷いましたが、思いとどまりました」


「よく思いとどまった。下手に動いても、救出予定者が増えるだけだ」


「そのため、現在は複数の兵士によって、遠巻きに穴を監視しています」


 兵士は報告する。


「テイマーギルドへの連絡は?」


「取りました。先方によると、救出に関して、ギルドは動かないそうです」


「不可解な対応だな。その理由は?」


「ギルドマスターが、個人的に動くそうです」


 俺たちは顔を見合わせる。


 フェルが動くのは、娘であるエリザのためだろう。

 そのフェルは、軍隊さえ壊滅するSSSの一人だ。

 そんな存在が魔物の巣に乗り込んだら、最悪の事態を招きかねない。


「俺は、先行します。後から、人を送ってください」


「わかった、必要に応じて人を送るよ」


「行ってきます」


 俺は覚悟を決めると、地下に通じる道に足を踏み入れる。


 そこは――


 見慣れた地下道。


 通路の広さは、優に数人が通れるぐらいある。

 各所に、ランプが置かれている。

 広さも、明るさも満足のいくものだ。


「鉱山、下水道、地下道、地底……穴ばっかりだな」


「ダンジョンマスターみたいですね」


「俺に、その適正があると思うか?」


「強いて言うと、ダンジョンの罠にはまった、間抜けな英雄ですね」


 スラゾウは失笑する。


「ランプが置かれてるから、暗闇に対応しなくて済むのは楽だな」


「問題は、この快適さがどこまで続くのか」


「どういう意味だ?」


「魔物の巣まで続くならいいけど、兵士を救出した地点までだと、まずいっす」


 ゴレタは指摘する。


 しばらく歩くと、遠目に人影が見える。

 エリザたちかと喜んだら、違った。

 人の形をしているものの、人じゃなかった。


「亜人? それとも、人型の魔物?」


 強いて言うと、ラミアと同じく、人型の魔物。

 

 なぜなら――


 亜人特有の、親近感を一切感じないんだ。


 実際――


 見た目こそ人に似ているものの、いろいろ異なっている。

 表面はつるりとしていて、クジラの肌を思わせる。

 それに、コウモリのような羽と、ウシのような尻尾が生えている。


 何より――


「顔に、何もないぞ?」


 そう、「のぺらぼう」なんだ!


「味方とは思えないから、敵だろう。とりあえず、調べてみるぞ?」


 スラゾウとゴレタは頷く。


「〈異世界博士〉の効果により、対象の情報を把握する」


 俺は宣言する。


 しーん、と辺りは、静まり返る。


 いつまでたっても――


『〈異世界博士〉の指定効果、発動』


 との言葉は聞こえてこない。


「〈異世界博士〉の効果により、対象の情報を把握する」


 今度は、仲間に聞こえないように、小声で宣言する。


 果たして――


 しん、と辺りは、静まり返る。


「スキルの消失……?」


 最悪の可能性が、脳裏をよぎる。


「落ち着け、落ち着け、落ち着け――」


 俺は自分に言い聞かせる。


「ご主人、どうしました?」


「兄貴、どうしたんすか?」


「スラゾウ、ゴレタ……すまん」


 俺は謝る。


「すまん?」


「俺は、終わったかもしれない」


「終わった?」


「〈異世界博士〉が、発動しないんだ!」


 秘密の暴露に対して――


「「それが?」」


 スラゾウとゴレタは呆れている。


 考えられる最悪の事態。


 それなのに、スラゾウとゴレタは呆れているだけ。


 俺は、仲間に見捨てられた?


「理解してないみたいだから、繰り返すぞ。俺は、スキルを失ったかもしれない」


「それが、どうしました?」


「それが、どうしたっす?」


「お前たち……俺のことを、とっくに見限ってきたのか!」


 俺の嘆きに対して、スラゾウとゴレタはため息をつく。


「ご主人、勘違いしてませんか。ご主人の本当の能力は、〈異世界王〉ですよね」


「兄貴、真の能力を発揮したから、偽の能力を発揮できなくなっただけっすよね」


「そうなのか?」


「本当に消えたら、契約も消えますよね」


「契約はあるから、スキルもあるっすよ」


「じゃあ、試してみるぞ?」


 スラゾウとゴレタは頷く。


「〈異世界王〉の効果により、対象の情報を把握する」


 俺は宣言する。


 果たして――


『〈異世界王〉の指定効果、発動』


 言葉が響き、文字が浮かぶ。


 【ステータス】


 クラス・ナイトゴーント

 ランク・F

 スキル・誘拐E 飛行G 闇耐性G(光耐性-E) 警戒G

 エクストラスキル・なし


 【パラメーター】


 攻撃力・F-(プラス補正)

 防御力・F-(プラス補正)

 敏捷性・F-(プラス補正)


「〈異世界王〉によると、Fランクのナイトゴーントだ」


「ご主人、言うことあるでしょ?」


「兄貴、言うことあるっすよね?」


「お願いだから、今のやり取り、忘れて!」


「失態を忘れますから、豪勢な食事を奢ってください!」


「見苦しさには目をつぶるから、お菓子もお願いっす!」


「了解、頼りになる可愛い仲間よ! ちなみに、敵は野良じゃなく、契約済みだ」


 スラゾウとゴレタは息を呑む。


 要するに――


 魔物によるエリザとアンナの連れ去りは、人の仕業ということ。

 さらに、問題の中心は、俺のようなテイマーということ。


「それより、二人を穴の中に引きずり込んだのは、あいつらだろう」


「ご主人、その発言に根拠は、あるんですか?」


「ナイトゴーントには、〈誘拐〉のスキルがある」


「誘拐?」


 スラゾウは首をひねる。


「誘拐しやすくなるスキルだろう」


「そんなスキル存在します?」


「そんなこと言い出したら、テッドの〈ゴブリン愛〉は何だよ?」


「ゴブリンズラブ?」


「意味不明だろ? だから、そういうもの、と受け取っておけばいいんだ」


 スラゾウは頷く。


「兄貴、先輩、冗談を言ってる場合じゃないっすよ!」


「先を急ぐんだろう?」


「それ以前の問題……敵に、気づかれたっす!」


「そう言えば、〈警戒〉のスキルがあったな?」


「そんなことより、対応を示して!」


 俺は頷く。


「迎撃……いや、待機」


「どうして、迎撃しないんですか?」


「あいつは、〈誘拐〉のスキルを持ってる」


 俺は指摘する。


「だから、あいつに捕まれば、〈誘拐〉してもらえるんだ」


「エリザたちのように?」


「美少女限定のスキルじゃないだろ?」


「その場合でも、ご主人以外は、連れて行ってもらえますよ?」


「美少女のつもりかよ!」


 スラゾウのみならず、ゴレタも頷く。


「ご主人、来ます!」


「兄貴、注意して!」


「わかった、対応する!」


 俺たちは頷き合うと、口を閉ざす。


 それから、じっと待つ。


 一秒、二秒、三秒――


 もちろん、緊急の場合に備えて、対応している。

 ただ、力を抜いているため、遅れを取る可能性はある。


 飛んできたナイトゴーントは――


「キィィィ!」


 耳障りな声を発する。


「うるさい――」


 耳をふさごうとした時――


 ガシッ!


 体を掴まれる。


 力は強いものの、振りほどけないほどじゃない。

 さらに、今は身を任せる状況。

 抗いたくなるのをこらえて、力を抜き続ける。


 ほどなく、地面から浮かび上がる。

 そのまま、宙に持ち上げられる。

 まるで、プライスゲームの景品になった気分。


「ご主人?」


「兄貴?」


「大丈夫だ、このまま行くぞ」


 やがて――


 俺たちは、連れ去られる。


「計画通り!」


 俺たちは頷き合う。

 読んでくださって、ありがとうございます。

 ブックマーク等の応援、ありがとうございます。


 勘違いは、タロウの責任ではなく、作者の責任です。

 作者は、この時、タロウの本来の能力を忘れていました。

 (異世界博士)は、(異世界王)の能力の一端に過ぎません。

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覚醒テイマーの成り上がり
設定を変えた別バージョンは、全部書き直してます。
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