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第46話 雷神の鉄槌

 前回のポイント・フェンリルの元にたどり着いた!

「しゃべった!」


 俺たちは顔を見合わせる。


「驚くことか、お前たちもしゃべっているだろう?」


「いや、それはそうなんだけど、びっくりしたんだよ」


「同じしゃべるなら、スライムとゴーレムのほうがびっくりするぞ」

 

 俺は苦笑する。


「それより、俺たちは君の仲間の頼みを受けて、君を助けに来た」


「我は、すでに自由を得ている。助けなど、不要だ」


「必要だ。なぜなら、これから君の取る行動は、君の自由意思じゃないからだ」


 俺は言い聞かせる。


「我は、契約を結んでいない。だから、我の意思だ」


「その意思は、黒幕の意図に沿ってる。君は、黒幕に乗せられてるんだ」


「断言する根拠は何だ?」


「他ならない君が、悲しそうな目をしてるからさ」


 俺の指摘に、フェンリルは黙る。


 フェンリルは、悲しそうな目をしている。

 これから、自分のすることの意味をわかっているんだ。

 仲間を守るために、敵である人間を虐殺するということを。


「問題を自覚してるなら、ここは引いて欲しい。後は、俺たちが何とかする」


「お前たちでは、争いは止まらない」


「君が動いても、争いは止まらない」


「少なくとも我が動けば、人は自らの愚かさに気づく」


 フェンリルの言葉は、空しく響く。


「そんなもん、すぐに忘れ去られるよ」


「忘れ去られる?」


「俺を始めとした人は、寝て起きたら都合の悪いことは忘れてるんだから」


「そうなのか?」


「そうだろ、スラゾウ、ゴレタ?」


 フェンリルに聞かせるように、俺は問いかける。


「食事の約束、忘れてますよね?」


「奢りの件、忘れてるっすよね?」


「寝て起きたら忘れるから、寝る前に豪勢な食事を奢るよ」

 

 俺たちは頷き合う。


「魔物と人間、お前はどちらの味方だ?」


「どちらの味方でもない」


「どちらでもない?」


「強いて言うなら、こいつらを始めとした、親しい者たちの味方だ」


 俺は笑う。


「どちらにも、加担するつもりはないのか?」


「もちろん、加担するつもりはない。だから、こうして対面してる」


「覚悟は、十分あるようだ。ただ、そのための力は十分あるのか?」


「力?」


「どちらも助ける力だ。本当にそのつもりなら、我にその力を示せ」


 同時――


『エクストラスキルの兆候を確認しました』


 警告が、浮かぶ。


「スラゾウ、ゴレタ、フェンリルのエクストラスキルが来る!」


「どうして?」


「敵対関係?」


「俺たちを試すためだ!」


 ヒュー!


 突然、風が吹き始める。


 ゴロゴロ!


 突然、雷が鳴り始める。


 季節外れの嵐は、フェンリルの意志の表明――


「フェンリルのエクストラスキルは、天候さえ左右するのか!」


 俺は驚愕する。


【データベース・エクストラスキル〈狼王の暴虐(キングフェンリル)〉】


 このスキルが確認されたのは、歴史上一度きり。


 その一度は、しかし人々の頭に焼き付いている。


 なぜなら、当時、繁栄した都市の一つが消滅したからだ。


 これを目にしたあなたは、死を覚悟しなければならない。


 もし生き残れたとしたら、それこそあなたは王の一人だ。


「絶対に生き残るぞ!」


 俺たちは頷き合う。


 フェンリルは、都市一つを消滅させられる力を持っている。

 それでいて、その立場のため争いを止めることはできない。

 仮に追討軍を滅ぼしても、フェルたちが立ちふさがるから。


 争いを止められるのは、俺たちだけ。

 問題は、そのための力が不足していること。

 だからこそ、フェンリルは俺たちを試している。


 俺たちは力を示して、フェンリルを説得する必要がある。

 さもないと、フェンリルは止まらない。

 それに、俺たちは生き残れない。


「どうする?」


 観察の間も、状況は悪化している。


 ヒュー! ヒュー! ヒュー!


 風は、吹き荒れている。


 ゴロゴロ! ゴロゴロ! ゴロゴロ!


 雷は、轟き渡っている。


 どちらも、天変地異の前触れだろう。


 今のままだと、エクストラスキルの余波さえ、耐えられるかどうか不明――


 本当は試しているんじゃなく、脅しているんじゃないか?


 そう勘ぐってしまう。


 だが、実際は試しているだけ。


 ただし、こっちの生死を問わず!


「ご主人、どうします?」


「兄貴、どうするっす?」


 このままだと、俺たちは死ぬ。

 もちろん、死にたくない。

 むしろ、生きたい。


 力が、必要だ。

 それも、敵を倒すための力じゃない。

 もちろん、守りたいものを守るための力だ!


「ここは、異世界だろ? 俺は、異世界人だろ? こんなところに呼び寄せたんだから、奇跡ぐらい起こさせろよ!」


 果たして――


『エクストラスキルの発動条件を満たしました』


 頼もしい言葉が、高らかと響く。


「エクストラスキル発動!」


 次の瞬間――


 世界は、文字通り一変する。


 見えるもの、聞こえるもの、要するに感じるものがまったく違う。


 狂った物語を、終わらせるための力を手に入れたようだ。


『〈異世界王〉の効果、発動』


 言葉が響き、文字が浮かぶ。


 【ステータス】


 ネーム・タロウ

 クラス・キングテイマー

 ランク・NF

 スキル・異世界王∞

 エクストラスキル・神曲(ダンテ)


 【パラメーター】


 攻撃力・∞(限界突破)

 防御力・∞(限界突破)

 敏捷性・∞(限界突破)


 【ステータス】


 ネーム・スラゾウ

 クラス・スライムオリジン

 ランク・NF

 スキル・神化(しんか)

 エクストラスキル・戦女神の加護(モードアテナ)


 【パラメーター】


 攻撃力・∞(限界突破)

 防御力・∞(限界突破)

 敏捷性・∞(限界突破)


 【ステータス】


 ネーム・ゴレタ

 クラス・ゴーレムオリジン

 ランク・NF

 スキル・神成(しんせい)

 エクストラスキル・雷神の鉄槌(トールハンマー)


 【パラメーター】


 攻撃力・∞(限界突破)

 防御力・∞(限界突破)

 敏捷性・∞(限界突破)


 俺たちの能力は、尋常じゃない水準に達している。

 正直、伝説の魔物である、フェンリルもかすんでいる。

 それこそ、SSSの七人さえ、凌駕しているに違いない。


「ゴレタ、エクストラスキルを発動してくれ」


「了解」


 ゴレタは頷く。


「〈雷神の鉄槌(トールハンマー)〉!」


 直後――


 雷神と化したゴレタの全身から、極太の雷が放たれる。

 それは、周囲の風と雷はもちろん、〈狼王の暴虐(キングフェンリル)〉さえ呑み込む。

 そして、威力をまったく失わないまま、フェンリルへと突き進んでいく。


 フェンリルは、呆気に取られている。

 ただ、どことなく満足げ。

 自分の生死を問わず、争いは止まるから。


「ゴレタ、攻撃を上空に向かってずらしてくれ」


「了解」


 フェンリルに突き刺さるはずだった雷神の一撃は、上空へと向きを変える。


 直後――


 強化された知覚の範囲さえ超えて、空は真っ赤に染め上げられる。


 まるで、真夏の真昼のように。


 もし向きを変えなかったら、フェンリルごと町は消滅しただろう。


 いや、それどころか周辺一帯は、地獄と化していたはず。


「綺麗だな」


「綺麗ですね」


「綺麗っすね」


 赤々と照らされている空を、俺たちはうっとりと見上げている。


「どうした?」


 感慨を振り切ったのは、目の前にフェンリルがやってきたから。


「なぜ、我を守った? 我は、お前たちを殺そうとしたんだぞ」


「俺たちを試すためだろ?」


「それでも、殺そうとしたことは事実だ」


「俺たちの共通の目的は、互いの種族の争いを止めることだ」


 俺は微笑む。


「それが?」


「それなのに、個人的な争いを止められないのは論外だろ」


「ふっ、お前は変わっているな」


「褒め言葉として、受け取っておく」


「むろん、褒め言葉だ。――我の背に乗れ、戦場に向かい、争いを止めるぞ」


 フェンリルの背に乗った俺たちは、争いを止めるために戦場に向かう。


 赤々と照らされている、夜空を背景にして。

 読んでくださって、ありがとうございます。

 ブックマーク等の応援、ありがとうございます。


 タロウのエクストラスキルは、悩みに悩みました。

 ただし、その中身ではなく、名称です。

 いろいろ探して、該当しないものを選びました。


 中身自体は、元から決まっていました。

 もちろん、最強無敵になるものです。

 チート中のチートですね。

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覚醒テイマーの成り上がり
設定を変えた別バージョンは、全部書き直してます。
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