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第39話 街道封鎖

 前回のポイント・シーサーペントを倒した!

 辺りは暗いものの、夜は明けつつある。

 少なくとも、戦闘を終えたころよりは明るい。


 思い返してみると、シーサーペントと戦った場所は悪くなかった。

 屋敷が燃え盛っていなくても、十分な視界を確保できたから。


「疲れたなぁ」


「疲れました」


「疲れたっす」


 俺たちは近くの村に向かって、とぼとぼ歩いている。


 本来なら、魔物の襲撃を警戒する状況。

 だが、実際はまったく警戒していない。


 休憩こそ挟んだものの、翌日にまで及んだ連戦。

 村にたどり着き、そこが滅んでいても、後悔よりも失望を覚えるに違いない。


 考えてみると、三日連続の強行軍。

 熟練のテイマーと、屈強な魔物でも参るだろう。


「今日中に、問題を片付けたい。でも、その前に睡眠と食事が必要だ」


 偶然なのか必然なのか、村に向かう途中、魔物と遭遇することはなかった。


 ただ、村に着くと状況は変わった。

 襲撃を受けた後のように、村を囲む柵は汚れたり壊れたりしている。

 ただ、警戒していたため、大事には至らなかったみたい。


 その証拠に、人々の顔は明るい。

 協力して敵を追い払ったらしく、全員満足げ。


「魔物の襲撃があったけど、うまく追い払ったぞ」


「それはよかった」


「どうした、疲れてるのか?」


「すごく疲れてる」


「それなら、村長に言って寝床を用意してもらえ」


 テッドの言葉に、俺は頷く。


 湖の怪物を退治したことを報告する。

 村長は、驚きながらも喜ぶ。

 合わせて、寝床はすぐに用意される。


 空いている民家の一つに、俺たちは入る。

 中の粗末なベッドに、身を横たえる。

 そして、目を閉じる。


「うん……朝か?」


 目覚めた時には、すっかり明るくなっている。

 変化は、それだけに留まらない。

 村は、うるさいぐらいに活気付いていた。


「ご主人、大変です!」


「兄貴、大変っす!」


 スラゾウとゴレタは家の中に駆け込んでくる。


「大変?」


「戦争ですよ!」


「封鎖っすよ!」


「戦闘? 封鎖?」


 スラゾウとゴレタに従い、別の民家に入る。

 そこには、大量の料理が並んでいる。

 どうやら、客人に対して提供しているらしい。


 その中には、俺たちも含まれているようだ。

 早速、スラゾウとゴレタは食べ始めている。

 少し遅れて、俺も食べ始める。


 料理の味は、至って普通。

 おいしくないし、まずくもない。

 ただ、空腹のため食事は進む。


「現在の状況は、どうなってるんだ?」


 疲労と空腹が収まったため、調子が戻ってくる。

 戦争と封鎖を招く、大変な事態とは?

 俺の疑問に応じたのは、食事を終えたばかりのテッド。


「今朝聞いた話によると、魔物の襲撃はこの村に限らないんだ」


「他の村も?」


「村に限らず、町も。それどころか、旅人も。無差別に襲われてるみたいだ」


「襲撃は、どれぐらいの範囲に及んだんだ?」


「ボードレスの町を中心とした地域だ。そこ以外の地域は、むしろ平和らしい」


「要するに、他の地域の魔物も集まってる?」


「それ以外説明がつかないと、その兵士は言ってた」


 俺は頷く。


「襲ってきた魔物に、共通点はあるのか?」


「魔物自体に共通点はない。ただ、ハウンドとそれ以外と、違いがある」


「その違いは?」


「ハウンドは多数、それ以外は少数。この村は、後者だな」


「見かけないと思ったら、襲撃に狩り出されてたのか」


 テッドは頷く。


「大規模なハウンドの群れに対して、追討軍の派遣が決定した」


「追討軍?」


「ドーソン評議会議員の主導だ」


「ドーソン、か」


「ギルドの上層部に掛け合って、軍勢を整えたらしい」


「ギルドの上層部、か」


 俺は考える。


「その中には、テイマーも含まれてる。この意味、わかるか?」


「本気」


「そう、本気だ。知り合いによると、依頼としてギルドから紹介されたらしい」


「ボードレスのギルマスは?」


「そいつは、不干渉を決め込んだ。表に出ないから、よくわからないやつだ」


 フェルが中立を保っているのは、胡散臭く感じているからだろう。

 実際、ドーソンの決断には、偽の占い師を介したアリスの意思が表れている。


「せっかく手に入れたハウンドの支配権を手放すなんて、どういうつもりだ?」


「窮地を煽って、結束を固めるつもりじゃないんですかね」


「あるいは、逆に支配を失ったためなんじゃないんすかね」


 スラゾウとゴレタは意見する。


 今回の襲撃は、狡猾なアリスにふさわしくない。

 スラゾウとゴレタの指摘とは違う、別の意図がありそうなのだ。

 それを確かめるためには、ボードレスに向かうしかない。


「俺たちはすぐにでもボードレスに向かうつもりだけど、君は?」


「俺は村人に頼まれたから、しばらくここに留まる。屋敷の連中も同じだ」


「その後は?」


「問題の収束に合わせて、ボードレスに向かう。釈明と謝罪は、その時だ」



 テッドは答える。


「慎重だね」


「慎重? 当たり前だろ」


「当たり前?」


「何しろ、軍の展開に合わせて、街道は封鎖されてるんだから」


「えっ?」


 予想外の事態に、俺は呆然とする。


「過剰な対応だね?」


「お前、ここに来てから、今日で四日目だろ?」


「そうだけど?」


「ここの連中は、一ヶ月以上ハウンドに悩まされてる。過剰とは、言い切れない」


「たとえそうだとしても、アリスの意思を感じるんだ」


「もし戦争を食い止めたければ、その意思を特定し、暴露する必要があるぞ」


「そうしないと、問題は解決しない?」


 テッドは頷く。


「封鎖は、突破できないのか?」


 俺の言葉に、テッドはもちろん、スラゾウとゴレタも驚いている。


「結論から言うと、できる。方法は、大きく分けて二つ」


「二つ?」


「合法的に突破するか、非合法的に突破するか」


「それぞれ具体的に頼む」


 俺は頼む。


「前者は、封鎖してる側と交渉する」


「できるのか?」


「お前も、テイマーだぞ。無下には扱われないぜ」


「言われてみると、そうだね」


「ただし、時間がかかる」


 テッドは釘を刺す。


「そうなのか?」


「お前は、作戦参加の許可を持ってない。ギルドから、許可を取る必要がある」


「作戦に参加せずに、ボードレスに向かえないのか?」


「今は、言ってみれば戦時下だ。いくらテイマーでも、優先度は下がる」


「要するに?」


「丁重に扱われるだけだ。それなら、村に留まったほうがいい」


 テッドは助言する。


「後者は、封鎖を抜ける」


「抜ける?」


「この場合、方法は二つ。一つ、強引に抜ける。二つ、隠れて抜ける」


「違いは?」


「前者は、ボードレスにたどり着くのは問題ないけれど、それ以外が問題だ」


 俺は首をひねる。


「問題?」


「最悪、ギルドを追放された挙句、懲役刑だ」


「後者は?」


「後者は、たどり着けるかどうかは不明だ。ただし、言い逃れできる」


「できるのか?」


「迷惑をかけたものの、被害は出ていない。最悪でも、謹慎ぐらいだ」


 テッドは指摘する。


「君のお勧めは?」


「実行するつもりなら、四つ目だ」


「その理由は?」


「リスクとリターンが釣り合ってる」


「なるほど」


 世慣れたテッドらしい助言だ。

 ありがたく受け取っておく。

 読んでくださって、ありがとうございます。

 ブックマーク等の応援、ありがとうございます。


 街道の封鎖が早過ぎる?

 それだけ黒幕が、用意周到だと思ってください。

 ちなみに、黒幕は町に戻る際には、ハウンドに乗りました。

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覚醒テイマーの成り上がり
設定を変えた別バージョンは、全部書き直してます。
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