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第37話 湖の怪物

 前回のポイント・ラミアを倒した!

 次の日になったものの、変化はない。

 屋敷は燃え盛っているし、俺たちは突っ立っている。


「みんな、調子はどう?」


 立場上、リーダーの俺は呼びかける。


「眠くないですし、疲れてもいません。ただ、ふわふわしてます」


「同じく、眠気も疲労もないけど、夢みたいに心もとないっす」


 スラゾウとゴレタは反応する。

 ともに本調子じゃないのは、〈 誘惑(テンプテーション)〉の後遺症だろう。

 

「あたしたちは、大丈夫です」


 メイドを始めとした屋敷の人々は、口を揃える。


 元気はないものの、心身ともに大丈夫そう。


「俺たちの調子はいいぞ」


 偽のルイスを始めとした一団は元気そう。

 ゴブリンなどは、はしゃぎ回っている。


「そう言えば、君の本当の名前は?」


「俺の本当の名前は、テッド。ルイスと名乗るように、占い師に指示されてた」


「指示したのはルイスじゃなく、占い師?」


「そもそも、そのルイスとは何者だ?」


「派手にやらかして、ギルドを追放された元Sランクのテイマーだよ」


「俺は、そんなヤバイやつの真似をさせられてたのか!」


「君、楽天家だね」


 俺は皮肉る。


 本当の名前もわかったことだから、本当の能力も確認してみる。


 【ステータス】


 ネーム・テッド

 クラス・テイマー

 ランク・F

 スキル・ゴブリン愛A+

 エクストラスキル・なし


「ランクに限ると、俺より上じゃないか」


 年齢差を踏まえると、当然かもしれない。

 一つのみとはいえ、そのスキルのランクも納得できる。


 そう状態を確認していたら――


「グォォォ!」


 闇夜を震わす声がした。


「何だ?」


 声の出所は、屋敷に面した湖。

 湖面に浮かび上がったのは、巨大な陰影。

 ギルドとまではいかないまでも、屋敷ぐらいはある。


「恐竜?」


 見た目は、恐竜に似ている。

 ただ、色合いは恐竜よりも蛇に近い。

 恐竜と蛇を混ぜたような存在なのだ。


「魔物? あいつは――」


 俺は即断を避ける。


「〈異世界博士〉の効果により、対象の情報を把握する」


 俺は宣言する。


『〈異世界博士〉の指定効果、発動』


 言葉が響き、文字が浮かぶ。


 【ステータス】


 クラス・シーサーペント

 ランク・E+

 スキル・潜水E 水耐性E(火耐性-E) 身体強化D 隷属A

 エクストラスキル・不明


【パラメーター】


 攻撃力・E-(プラス補正)

 防御力・E+(プラス補正)

 敏捷性・F-(プラス補正)


「Eランクのシーサーペント……おそらく、アリスの配下の魔物だ」


「アリス?」


「テッド、みんなを連れて村に向かってくれ」


「お前は、どうするんだ?」


「俺は仲間とともに、あいつを食い止める」


「わかった、死ぬなよ」


「そっちこそ、死ぬなよ」


 テッドは配下の魔物と屋敷の人々を連れて、村に向かう。


 ラミアの選択は間違っていたものの、結果は正しかった。

 なぜなら、こうして時間を稼げるから。

 死守せよ、とのアリスの命令と一致する。


「ご主人、テッドと配下は、戦力として残すべきだったんじゃないですか?」


「それは、俺も考えた」


「それなら、どうして?」


「他にも、アリスの配下の魔物がいる可能性があるからだ」


「護衛だから、そっちこそ死ぬなよ、なんですね」


 スラゾウは頷く。


「兄貴、アリスの狙いは兄貴を始めとした、オレたちっすよね?」


「そいつらに、俺たちだけを狙う判断力があると思うか?」


「巻き添えを食らう?」


「下手すると、村の住民も巻き込まれる」


「もしもの場合を考えて、戦力を分散したんすね」


 ゴレタは頷く。


「あいつのみならいいけれど、あいつ以外にいた時に、後悔したくないんだ」


 会話している間も、敵はこちらに近づいてくる。

 湖にいる必要はないらしく、陸地に這い出している。


「見た限り、水中が専門なのに陸地に出てきて、どうするんだ?」


 アリスの指示に夢中になるあまり、失態を犯したのか?

 それなら、今すぐ叩きのめす。


 そう思い上がった瞬間――


 シーサーペントは、口から吐き出した。


 巨大な水の塊を。


「うぉ!」


 巨大な水の塊を受けた俺たちは、吹っ飛ぶ。

 押し寄せる大量の水に、巻き込まれたようなものだ。

 痛みはないものの、その場に踏みとどまれない。


「スラゾウ、ゴレタ、大丈夫か?」


「大丈夫です!」


「大丈夫っす!」


 声の調子からして、本当に大丈夫そうだ。

 ただ、距離がある。

 俺たちは、分断されてしまったのだ。


「合流――」


 指示を下すよりも早く、次の攻撃が来る。

 それぞれに対して、水の刃が飛んできたのだ。

 俺は慌てて、岩の陰に隠れる。


「状況は?」


 陰から見ると、岩は削り取られている。

 スラゾウとゴレタは大丈夫か?

 うひゃ、とか、うへぇ、とか聞こえたから、大丈夫のようだ。


「思ったよりも厄介だな」


 なぜなら――


 分断された上、簡単には合流できないからだ。


 印象とは違い、シーサーペントは水陸両用の魔物だ。

 現に、俺たちは守りに徹している。


「スラゾウ、ゴレタ、岩に身を隠しながら、次の指示を待ってくれ!」


「了解!」


「了解!」


 とりあえず、安全を確保した。

 この間に敵を観察して、対策を立てなければ。


 シーサーペントは、陸上だと蛇のように動いている。

 そのため、移動の速度は速いし、移動の範囲も広い。

 ただ、なぜか湖から離れない。


 ドーン!


 戦闘力は?

 威力はヘルハウンドに劣るものの、命中はヘルハウンドより優れている。

 しかも、炎の攻撃は一種類だったのに、水の攻撃は二種類ある。


 パーン!


 観察の間も、敵の攻撃は続いている。

 定期的に聞こえている、ドーンとバーンがそれだ。

 前者は水弾(すいだん)の、後者は水刃(すいじん)のぶつかる音だ。


「スラゾウ、ゴレタ、岩を盾にしながら、屋敷の前に集まってくれ!」


「了解!」


「了解!」


 俺も、言った通りに動く。

 度重なる攻撃により、岩は崩れ堕ちる。

 その代わりに、無事に集まれる。


「危なかったな?」


 スラゾウとゴレタは頷く。


 集合すると、変化があった。

 シーサーペントの接近が、止まったのだ。

 それに伴い、攻撃も止まる。


「攻撃が、止まったぞ?」


「ご主人、敵の攻撃は、ずっと続いてるわけじゃないんですよ」


「そうなのか?」


「水弾と水刃を使い分けて、そう見せかけてるんです」


「実際は?」


「定期的に水を補給してます。だから、湖から離れられないんです」


 俺は頷く。


「兄貴、敵は熱に弱いっす」


「その根拠は?」


「飛んできた火の粉から、慌てて逃げてるのを見たっす」


「そう言えば、火耐性がマイナスだったな」


「燃え盛ってる屋敷に突っ込ませれば、勝利は確定っす」


 俺は頷く。


 会話の間も、攻撃は止まっている。

 水を補給するとともに、火を警戒しているのだろう。

 行動するなら、今のうちだ。

 読んでくださって、ありがとうございます。

 ブックマーク等の応援、ありがとうございます。


 今回の話のポイントは、偽のルイスのランクです。

 年上とはいえ、タロウより上なのです。

 ただ、事情を踏まえると、どんまい、といったところです。

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覚醒テイマーの成り上がり
設定を変えた別バージョンは、全部書き直してます。
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