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第34話 ルイスとアリス

 前回のポイント・タロウは、ルイスの下にたどり着いた!

 予想外の事態。

 窓の前のアリスはもちろん、瓦礫の前のルイスも、呆然としている。


 ただ、ベッドの前の占い師は、悠然としている。

 口に限らず、目も不自由?


「ルイス、君に聞きたいことがある」


「ルイス? ああ、俺のことか」


「何言ってるんだ?」


「それより、俺に何の用だ? 用を済ませたら、とっとと帰れよ」


「周辺にあるハウンドの巣を、壊滅させたのは君か?」


「ハウンドの巣? 一応、俺の仕業だ」


「本当に君の仕業?」


「くどいな、俺の仕業だと言ってるだろ」


 ルイスは言い張る。


「君は派手にやらかして、ギルドを追放されたのか?」


「馬鹿、言うな」


「馬鹿?」


「俺は、ギルドを追放されてないぞ。その証拠に、指輪を没収されてない」


「本当に?」


「本当だ。証拠は――」


 ルイスは、右手を出す。

 右手の薬指には、見慣れた指輪。

 村長の言葉通り、古いものだ。


「どういうこと?」


「それは、こっちが聞きたい。お前、俺に何の恨みがある?」


「恨みはない。ただ、聞きたいことがあるだけだ」


「そのために、乗り込んできたのか? 狂ってやがる!」


「狂ってるのは、どっちだよ?」


 俺は閉口する。


「君、盗賊の用心棒だよね?」


「荒くれどものことか? それなら、その通りだ」


「荒くれじゃなく、盗賊なんだけど」


「盗賊……?」


「失敗を犯した雑用を、本当にハウンドの餌にしたのか?」


「俺が、そんなことするやつに見えるのか? するわけないだろ!」

「えっ……」


 話が、まったく噛み合っていない。

 その原因は?

 目の前の男が、本当にルイスなのかどうか不明なためだ。


「端的に聞く。一連の問題は、君の仕業か? 要するに、君は黒幕のルイスか?」


「問題? 黒幕? 俺は単に――」


 ルイスの言葉は、途切れる。


 占い師に、花瓶で頭を叩かれて。


「何……!」


 床に崩れたルイスは、そのまま眠りに落ちる。

 どうやら、寝不足だったらしい。


「ご主人?」


「兄貴?」


「わかってる。疑問点を解決する」


 俺は、占い師を睨む。

 それでも、占い師は動じない。

 動じたように反応したのは、アリスだ。


「この人、あたしたちを脅してきたの。協力しないと、殺すぞって」


「その協力は、俺を迎え撃つこと?」


「侵入者だから、そう」


「どうして、こいつは急に態度を変えたんだ?」


「あなたの言う黒幕に、指示されたんだと思う」


 俺は頷く。


「その相手に、心当たりはある?」


「あたしはないけど、ママはあるみたい」


「ママに尋ねるには、どうすればいい?」


「ママに、直接尋ねればいい。命の恩人のあなたなら、答えてくれるはず」


「伝える方法は?」


「筆談ね。近づいて、ママに頼んで」


「わかった。――この男に指示を下した、黒幕を教えてください」


 俺は、占い師に近づく。


「うん?」


 占い師の前に立った時、脳裏をよぎるものがある。


 それは――


 占い師の【ステータス】だ。

 具体的には、スキルの項目だ。


「なしじゃなく、不明だったぞ?」


 そう思い出した俺は、後方に跳ぶ。


 直後――


 鋭く尖った魔物の爪が、空を切り裂く。


「ご主人!」


「兄貴!」


「大丈夫だ!」


 スキルの所有者は、テイマーか、魔物か、二択。

 そのうち、テイマーは否定されている。

 残っているのは、魔物。


「人に化けられる、魔物だったのか!」


「ご名答! さすが〈憤怒〉が、目にかけてるだけあるよ!」


「〈憤怒〉?」


「ボードレスの町のギルマス。現役を退いたらしいけど、称号はそのままね」


 アリスは手を叩いて喜んでいる。


「それより、アリス、君は――」


「あたしこそ、本物のルイス。改めてよろしく、テイマー仲間のお兄さん」


 アリスは名乗ると、妖しく微笑む。


「露骨だったかしら?」


「そいつは、スライムじゃないのか?」


「スライムじゃなく、ラミア。異国人の上に記憶喪失だから、知らなかった?」


「知らなかった」


「でも、対応できたから、問題ないね」


 会話の間に、占い師に化けたラミアの能力を確かめる。


 【ステータス】


 クラス・ラミア

 ランク・E

 スキル・擬態E 身体強化D 隷属A

 エクストラスキル・不明


 【パラメーター】


 攻撃力・F+(プラス補正)

 防御力・F+(プラス補正)

 敏捷性・F+(プラス補正)


「なるほど、対象の情報を把握するスキル、か」


「珍しいのか?」


「珍しくないけど、本来は頼りない」


「頼りない?」


「読み取れる情報が、限られてるの。お兄さんみたいに、細部まで読み取れない」


「そうなのか?」


「優秀なスキルだと、〈賢者〉の〈データベース〉。ただしあれは、覚えるもの」


 テイマーなら、相手の能力を読み取れると勘違いしていた。

 本来は、自身と契約した魔物の能力を読み取れるようだ。


 それより――


 問題は、〈異世界博士〉の発動を見破られたこと。

 熟練者ともなると、スキルの発動を把握できるのかもしれない。


「人間も含まれるなら、あたしのことも見てみれば?」


「上等!」


 俺は挑発に乗る。


「〈異世界博士〉の効果により、対象の情報を把握する」


 俺は宣言する。


『〈異世界博士〉の指定効果、発動』


 言葉が響き、文字が浮かぶ。


 【ステータス】


 ネーム・アリス

 クラス・テイマー

 ランク・S+

 スキル・強化付与D 痛覚耐性A

 エクストラスキル・ 隷属(ギアス)  凶暴化(ベルセルク)


【パラメーター】


 攻撃力・A

 防御力・A

 敏捷性・A


 さすがに、元Sランクだ。

 【ステータス】はもちろん、【パラメーター】も優れている。

 間違いなく、事件の黒幕だ。

 読んでくださって、ありがとうございます。

 ブックマーク等の応援、ありがとうございます。


 アリスは、本当に第一章のメインヒロイン?

 そう思った方もいると思いますが、本当です。

 敵でも味方でも、運命の女性は、ヒロインでしょう。

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覚醒テイマーの成り上がり
設定を変えた別バージョンは、全部書き直してます。
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