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第31話 洞窟の戦い

 前回のポイント・アリスに抜け道を教えてもらった!

 鉱山とは違い、洞窟に明かりはない。

 用途からすると正しいけど、状況からすると正しくない。


「本当に非常口なんですか?」


「アリスの嘘だと言いたいのか?」


「嘘じゃなくても、からかってるんじゃないですか」


 スラゾウは指摘する。


「ここは、完全に人工物っすね」


「鉱山とは違う?」


「用途はわからないけど、意味はあるっす」


 ゴレタは主張する。


「すぐに引き返すのは格好悪いから、ある程度進んでみよう」


 荷物の中からランプを取り出すと、明かりをつける。

 俺の手がふさがるのはまずいから、ゴレタに持ってもらう。


 これなら、問題ない。

 スラゾウを武器に変化させて、俺が戦える。


 準備を整えると、先に進む。


 先に進んでも、暗くならなかったし、狭くならなかった。

 その点は、鉱山よりも優れている。


「うーん、進むべきか戻るべきか、どっちだ?」


 ある程度進んだものの、判断できなかった。

 判断を下すために、さらに進む。

 一本道だから、戻ること自体は簡単なのだ。


「到着?」


 よく見ると、前方に後方と同じく、穴がある。

 どうやら、建物の吹き抜けに当たる場所らしい。


 突っ切ろうとして、だが立ち止まる。

 偶然、天井を見上げたために。


 頭上には、黒い大きな塊がある。

 黒いスライム?

 いや、黒いものが集まり、塊に見えるだけ。


「スラゾウ、剣になってくれ」

「剣ですね? 了解」


 スラゾウソードを構えると、俺は頭上を仰ぎ見る。

 

 ビュン!


 音を立てながら、敵は襲来する。


 むろん、頭上から。


 降ってきた影に対して、俺はスラゾウソードをなぎ払う!


「ギャアア!」


 人間と亜人の間のような、叫びが上がる。


 切り落としたのは、巨大なコウモリ。

 生命力に乏しいらしく、すぐに動かなくなる。


「兄貴、上の連中に動きがあるから、距離を取ったほうがいいっす!」


 それに前後して、天井から複数の影が振ってくる。


 ゴレタの助言に従い、俺は距離を取る。

 そのまま少しずつ下がり、壁に背中をつける。

 背後を押さえると、迫ってくる敵に狙いを定める。


「一匹ずつ、確実にしとめる」


 実感としては、ハウンドよりもはるかに弱い。

 その証拠に、その動きを捉えられる。

 もちろん、狙いを外さない。


 五匹切り落としたところ、敵は奥に逃げる。

 むろん、その後を追いかけない。

 代わりに、情報を集める。


「〈異世界博士〉の効果により、対象の情報を把握する」


 俺は宣言する。


『〈異世界博士〉の指定効果、発動』


 言葉が響き、文字が浮かぶ。


【ステータス】


 クラス・ジャイアントバット

 ランク・G

 スキル・暗視G


【パラメーター】


 攻撃力・G-

 防御力・G-

 敏捷性・G-


「ジャイアントバット……Gランクの上に野良だ」


「広い場所はともかく、狭い場所は注意が必要ですね」


「警戒しながら進もう。――スラゾウ、戻っていいぞ」


 俺の言葉を受けて、スラゾウは変化を解く。


 本来なら、スラゾウは変化したままのほうが、安全だ。

 ただ、もしもの場合に備えると、スキルの乱用は危険だ。


 必要に応じて、ゴレタに戦ってもらい、時間を稼げばいい。

 その間に、スラゾウを変化させれば、敵に対応できる。


「ゴレタの加入により、チームとしてまとまってきたな」


「戦力の増強は、ゴレタの加入だけじゃないですよ」


「他にもある?」


「ご主人が、強くなってるんです」


「そうなのか?」


「〈身体強化〉のスキルがあるでしょ? たぶん、あれの影響です」


「それに、戦闘の経験も意味がありそうだな」


 スラゾウは頷く。


「どうして兄貴は、武器を持たないんすか? 持ったほうが有利のはずなのに」


「オルトロスと化した、ヘルハウンドとの戦いを覚えてるか?」


「もちろん、覚えてるっす」


「〈 地獄の猛火(ヘルファイア)〉を防ぐには、ダマスカス鋼の防具が必要なんだぞ」


「いくらすると思ってるんすか」


「その上、ケルベロスのエクストラスキルは、ダマスカス鋼の防具でも防げない」


「意味ないじゃないっすか」


「武具を強化するスキルでもあれば別だけど、今のところは無用だ」


 ゴレタは頷く。


「そもそも、コンダクターの武器は、契約した魔物と付随するスキルだ」


 フェルによると、鍛錬するほど強化される。

 才能と努力が合わされば、無敵。

 それこそ、その強さは伝説の武具も、比較の対象にならないだろう。


「もっとも、俺はGランクのままだけど」


 俺の告白に――


「「えっ?」」


 スラゾウとゴレタはずっこける。

 読んでくださって、ありがとうございます。

 ブックマーク等の応援、ありがとうございます。


 タロウが武器を持たないのは、コスパの問題です。

 費用効率にあった武具がないからです。

 突き詰めると、技のスキルがないことが原因です。

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設定を変えた別バージョンは、全部書き直してます。
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