表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/137

第26話 エリザとの散策

 前回のポイント・ルイスとハウンドの契約を知ろう!

 食事を終えた俺たちは、それぞれの目的に分かれる。

 詰め所に寄ると、守衛に立場を明かして中に入る。


 奥の部屋には、ケインと三人の盗賊がいる。

 無理を言って、聴取に加わらせてもらう。


「盗賊の用心棒だった、人物について聞きたい」


「中年の男だ」


「ドーソン評議会議員みたいな?」


「議員と盗賊を比べるなんて、お前、冗談がうまいな」


「茶化さずに答えてくれ」


「ドーソンとは違い、物騒なやつだよ。ルイス、と名乗ってたな」


 さっきの質問は、真面目そのもの。

 両者は、同一人物かもしれない。

 その可能性を踏まえて、探りを入れたんだ。


「じゃあ、商人と名乗ってる詐欺師に、心当たりはある?」


「心当たりはたくさんあるが、そういう意味じゃないんだろ?」


「もちろん、特定のやつ」


「誰だ?」


 元盗賊は興味を示す。


「目撃者によると、君たちに指示を与えていたらしい」


「そいつが、問題の用心棒だ」


「詐欺師と用心棒は、同一人物?」


 元盗賊は頷く。


「そいつは依頼者の指示だと言って、ゴメスさんと張り合ってたな」


「その依頼者に、心当たりはある?」


「下っ端の俺たちが、知ってると思うか? 知ってるのは、新旧の頭だけだ」


「用心棒なら、依頼者を知ってると思う?」


「もちろん、知ってるだろ。ゴメスさんよりも、あいつのほうが信用されてたぜ」


 信じがたい話。

 なぜなら、ゴメスは信用できる人物だから。

 両者の間には、個人的な接点があるのかもしれない。


「その用心棒が、ハウンドの巣を襲撃したことは知ってる?」


「もちろん、知ってる。ただし、実際には目にしてない」


「襲撃は、単独?」


「俺たちと関わる前の話だ」


 元盗賊は頷く。


「関連して、その件について知ってることはある?」


「場所なら、わかるぜ。この町から、真東へと進んだ湖畔地滞だ」


「真東の湖畔地帯、ね」


「その近くには、村があるらしい。そこなら、いろいろ聞けるはずだ」


「詳しいね?」


「そいつに、散々自慢されたんだよ」


 元盗賊は愚痴る。


「問題の人物は、調子に乗りやすい?」


「お調子者だ」


「そのくせ、冷酷?」


「何しろ、失態を犯した数人は、ハウンドの餌になったらしいからな」


「らしい?」


 俺は引っ掛かる。


「ゴメスさんが守ってくれたから、俺たちの中に犠牲になったやつはいないんだ」


「噂?」


「噂によると、金で雇われた素人らしい」


「十分だ」


 俺は席を立つ。


「ケインさん、いろいろありがとうございます!」


「タロウ君、こっちこそいろいろありがとう!」


 一通りの情報を仕入れた俺は、ケインに礼を言ってから、建物を後にする。


「ご主人、この後どうします?」


「ドーソンの屋敷に向かう」


「兄貴、敷地の外に誰かいるっす」


「俺たちを待ってるのか?」


 敷地の外に出ると――


「タロウ、調査は順調?」


 そこにいたのは、エリザ。


「どうして――」


「父さんからの指示。タロウを見張っておけ、ですって」


「監視?」


「タロウの暴走を警戒してるみたい。黒幕は、強敵なんでしょ?」


 俺は頷く。


「父さんは、タロウの将来が心配なのよ」


「心配?」


「成功続きの人が失敗すると、自分を見失って落ちぶれる」


「見くびられたものだね」


「むしろ、高く見積もっているわ」


「評価は、高い?」


「その落ちぶれるも、父さんの基準。ルイスも、その一人らしいわ」


 フェルの心配は、失敗した後の暴走だ。


「タロウの場合、最悪、国が滅ぶとか言っていたわ」


「俺、そんなに評価されてるの?」


「一昨日といい、昨日といい、タロウは人質を救出したでしょ?」


「したね」


「依頼として処理した場合、すごい功績なのよ? ランクも、跳ね上がるわ」


 依頼として処理されたのは、一件のみ。

 しかも、人質の救出じゃない、商人の護衛。

 もちろん、ランクはGのまま。


「ご主人、Gランクのまま一生を終えそうですね?」


「不吉なことを言うなよ?」


「そんな風に感じるでしょ、ゴレタ?」


「兄貴、Gランクのまま最強を目指してるんでしょ?」


「そんなもん目指してない」


「でも、現状はその通りっすよ?」


 スラゾウとゴレタの言い分は、理解できる。

 エリザじゃないけど、本来なら上位ランクなんだ。


 もっとも、今日は異世界三日目。

 フェルの助言も、そこらへんを踏まえたものだろう。


「それより、ドーソンさんのところに行くんでしょ? 手土産は、用意したわ」


「手回しがいいね」


「そりゃ、お目付け役だし」


「ははっ、お手柔らかに頼むよ」


 それから、ドーソンの屋敷に向かって歩き出す。


 考えてみると、町を散策するのは今回が初めて。

 ヒロインであるエリザの存在を踏まえると、楽しそう。


「ご主人、エリザは本当にヒロインなんですかね?」


「他に、ヒロインがいると言いたいのか?」


「今のところ、ヒロインとして活躍してませんよね?」


 エリザは苦笑する。


「スラゾウ、私、ヒロインかもしれないけど、エロ要員じゃないからね」


「ご主人の求めてるヒロインは、そっちなんですよぉ」


「タロウ、夢見過ぎよ。もっと現実的に生きないと」


 俺は苦笑する。


 軽口を叩きながら、大通りを目指している。

 富裕層の集まる、北の区画を目指して。


「エリザたちは、どこに住んでるんだ?」


「ラッキースケベ狙い?」


「そんなもん狙ってない」


「北の区画よ」


「やっぱり、コンダクターは儲かるんだね」


「それもあるけど、今の屋敷は父さんが、魔物を討伐した際の報酬よ」


「屋敷が、報酬!」


 俺は驚く。


「どうして、そんなに貰えるんだ?」


「たとえば、ヘルハウンドは小さい村ぐらいなら、滅ぼせるわ」


「それ、まずくないか?」


「だから、人々はギルドに、魔物の討伐を依頼するの。高額の報酬を積んで」


「軍隊は?」


 俺は指摘する。


「さすがに全部は、手が回らないわ。それに――」


「それに?」


「単なる兵士では魔物はもちろん、魔物を使役するテイマーを討伐できない」


「テイマーを討伐できるのは、テイマーだけ、か」


 エリザは頷く。


「ギルドのために言っておくと、搾取しているわけじゃないのよ?」


「本当に?」


「ギルドからの高額の報酬は、テイマーと魔物の生活を保障するものなの」


「テイマーだけのものじゃない?」


「エンシェントドラゴンを使役するとしたら、中規模の町ぐらいの拠点が必要ね」


「強力な魔物には、中規模な町一つのバックアップが必要?」


「食べないと、生きてはいけないでしょ。――違う、スラゾウ、ゴレタ?」


 エリザは、スラゾウとゴレタに話を振る。


「食べないと、生きてはいけませんね」


「食事は、必要不可欠っす」


 俺、スラゾウ、ゴレタ。

 この三名だから、定額給付でもまかなえるんだ。

 これ以上仲間が増えると、ランクを上げる必要が出てくる。


「突き詰めると、争いはテイマーによってもたらされる」


「争いの元凶は、テイマー……」


「それなら、テイマーを抑えればいい。――搾取してないでしょ、タロウ?」


 俺は、エリザの主張を聞き入れる。

 読んでくださって、ありがとうございます。

 ブックマーク等の応援、ありがとうございます。


 今回の話は、いわゆる「デートイベント」です。

 ただ、そんな感じは一切しませんね。

 エリザは、ヒロインというよりも女友達なのでしょうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作へのリンクです
覚醒テイマーの成り上がり
設定を変えた別バージョンは、全部書き直してます。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ