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第25話 隷属の王ルイス

 前回のポイント・ドーソンは、黒幕なのか?

 目覚めた俺たちは、食堂に向かう。


「これは――」


 食堂に着くと、予想外の光景が目に入る。


 昨日までとは打って変わり、朝だというのに混んでいる。

 これから、ネイトの所属している、ギルドの会合でもあるの?


 昨日スラゾウが盗まれたため、目立ちたくない。

 俺たちは、隅っこの席に座る。


「そう言えば、どういう経緯から、ゴレタは鉱山にいたんだ?」


「理由は、ないっす」


「ない?」


「目覚めると、鉱山にいたっす」


「俺と同じく、記憶喪失?」


「兄貴は、設定っすよね? オレは、あそこの生まれっす」


 俺は頷く。


「そうだとすると、ヘルハウンドの仲間については、何も知らないのか?」


「契約を迫ってきた盗賊の用心棒によると、ハウンドの巣を襲ったらしいっす」


「それが、どこにあるのかはわからないか?」


「そこまでは、わからないっす。ただ、ここの地方のどこかとは、聞いたっす」


「そこまでわかれば、問題ないよ」


 ゴレタは頷く。


「ゴレタ、盗賊の用心棒は、どんなやつだったんです?」


「先輩、中年の男っす」


「それ以外の特徴は?」


「それは、わからないっす。何しろ、会ったのは一度きりなんで」


「そいつは、間違いなくテイマーだったんですか?」


「それも、わからないっす。ただ、ヘルハウンドを従えてました」


 スラゾウとゴレタは言葉を交わす。


 適当に時間を潰していると、アンナが注文を取りに来た。

 その際、さっきの質問を口にすると、アンナは笑う。


「本来、料理はお父さんの担当なの」


「ネイトさんは、料理が上手なの?」


「お母さんは下手じゃないけど、お父さんは上手なの」


 言われてみると、昨夜の料理は、とてもおいしかった。


 注文した料理を待っていると、向かい合うように座った客がいる。


 それは――


「どうしたの、おやっさん?」」


「俺に、聞きたいことがあるんだろう?」


「よくわかったね?」


「帰り際に、こちらを見ていただろ? 食事のついでに、会いに来たんだ」


 注文を取りに来たアンナに、フェルは注文すると、表情を切り替える。


「用は何だ?」


「〈隷属〉のスキルを打ち破りたいんだ」


「方法は、二つ。一、契約を解除する。二、主人を排除する」


「三つ目は?」


「ない」


 期待に反して、フェルは首を横に振る。


「どうして、お前はあると思ったんだ?」


「それが、ヘルハウンドの遺言だからさ」


「遺言……お前、ヘルハウンドとしゃべったのか!」


「〈異世界博士〉により、意思の疎通をしただけだよ」


 俺は謙遜する。


「それだけでもすごいんだが、本題は別だ。そいつは、契約の破棄を望んだんだ」


「契約の破棄?」


「〈隷属〉は、契約した対象の魔物を、隷属化するスキルだ」


「強引に契約するスキルじゃないのか?」


「その場合、どうしてそいつは、ゴレタと契約できなかったんだ?」


「それは……」


 俺は言葉に詰まる。


「〈隷属〉のスキルは、強力だが使用は困難だ」


「使用は困難?」


「契約する際、対象の魔物に、〈隷属〉の使用を認めさせる必要があるんだ」


「それでいて、魔物は契約の破棄を望んでる?」


「主人は魔物の弱みを握り、無理やり契約したに違いない」


「町の人と同じく、『人質』を取ってハウンドを脅したのか」


 俺は状況を把握する。


「〈隷属〉のスキル、か」


「考え深げだね?」


「一昨日、急用ができたと、言っただろう?」


「聞いたね」


「それは、あるテイマーが目撃されたための、対策会議だったんだ」


 フェルの表情は真剣だ。


「あるテイマー?」


「そいつは、〈隷属〉のスキルを持っている」


「もしかして、そいつはギルドから追放されてる?」


「追放されてる。そいつを『排除』すると、膨大な報奨金を得られるぞ」


 フェルの言葉に、スラゾウは反応する。


「盗賊の話だと、盗賊の用心棒がそういう経歴の持ち主ですよ?」


 スラゾウの言葉に、フェルは反応する。


「〈隷属〉のスキルの持ち主など限られているから、おそらく当たりだ」


「そいつは?」


「登録名は、ルイス」


「それ以外は?」


「不明だ。ただ、関係者に当たれば、特徴ぐらいは得られるはずだ」


 フェルは協力を約束する。


「ルイス、ね。そいつの秘密情報が得られたら、教えてくれないか?」


「お前も、賞金稼ぎよろしく、膨大な報奨金を狙うのか?」


「そのつもりだ」


「それなら、気をつけろ」


「気をつけろ?」


 俺は首をひねる。


「危ないやつなのか?」


「それ以前の問題だ。ルイスは、Sランクの時にギルドから追放されている」


「Sランク……」


「しかもその時、すでにそれ以上の力を持っていた」


「強敵だね」


 俺は警戒する。


「その問題に関連して、言っておくことがある」


「改まって、何?」


「魔物との契約には、いろいろな形態がある」


「形態?」


「言い換えると、リスクとリターンの問題だ」


 俺は頷く。


「たとえば、デーモン小暮という魔物がいる」


「デーモン閣下!」


「すまん、間違った。単なるデーモンだ」


「十万歳越えの相撲好きじゃないデーモンね」


 俺は苦笑する。


「こいつと付き合うと、身を滅ぼしかねない」


「殺されるのか?」


「それもあるが、そもそも要求が厳しい」


「どんな要求?」


「人の生贄を望むんだ」


 俺は、スラゾウとゴレタを見る。


「オイラは、そんなこと望みません!」


「オレも、そんなこと望まないっす!」


 スラゾウとゴレタは否定する。


「こいつらも、食事を取るだろう? それと同じだ」


「どんなテイマーでも、要求されるのか?」


「一定以上の力量のテイマーなら、飼いならせる。ただし、絶対ではない」


「そうなると?」


 俺は先を促す。


「目的と手段が逆転する」


「この話の教訓は?」


「〈隷属〉のスキルを結ぶ際に用いた、契約の内容を知るべきだ」


「契約の内容?」


「契約である以上、隙があるはずだ。その隙を突けば、契約の破棄は可能だ」


 フェルは指摘する。


「最後に、警戒は必要だ。ただ、挑戦は無謀だ。――タロウ、自重しろ」


「わかった」


 そう答えたものの、俺はフェルの忠告に従えないとわかっていた。


 なぜなら――


 俺は、ルイスとの戦いを、運命のように感じていたから。

 読んでくださって、ありがとうございます。

 ブックマーク等の応援、ありがとうございます。


 当初、〈隷属〉は、強引に契約するスキルでした。

 ただその場合、ゴレタと契約できないのは変です。

 そのため、スキルの効果を変えました。

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覚醒テイマーの成り上がり
設定を変えた別バージョンは、全部書き直してます。
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