第24話 祝賀会
前回のポイント・タロウは、人質を救出して町に帰った!
永遠に続くかと思われたドーソンの話は――
「それぐらいにしておきなさい、彼らも疲れているだろうから」
フェルの口ぞえにより、止まる。
「もう少し話を……負担を強いて、すまなかった」
当のドーソンは不満そうに見えたものの、すぐに受け入れる。
それに伴い、場は解散になる。
話によると、調査は明日以降にされるようだ。
その要である三人の賊は、兵士によって詰め所に連れて行かれる。
残った俺たちは、出迎えとともに宿に向かう。
風呂に入り、服を着替え、身支度を整えた後、食堂に全員が集まる。
その内訳は――
ネイト、ハンナ、アンナの宿の関係者三名。
フェル、エリザ、マリーのギルドの関係者三名。
俺、スラゾウ、ゴレタの俺の関係者三名。
本来、宿は繁盛していて、大人数の食事を想定しているらしい。
そのため、一度に九名が集まっても、テーブルに狭苦しい印象はなかった。
「いろいろありがとうございます。今日は、思う存分飲み食いしましょう!」
ネイトは明るく振舞う。
挨拶の間も、食事は始まっている。
スラゾウはがつがつと、ゴレタはおずおずと、料理に手をつけている。
細かい違いはあっても、全員の態度は明るく前向き。
ネイトを始めとした捕まった人たちの問題は、解決したから。
後は、俺を始めとしたテイマーの問題。
全体を通しては、半分ぐらい。
考えてみると、二日の間に半分。
後二日もあれば、問題は解決するかもしれない。
「このパイは、おいしいですねぇ」
「このオムレツは、うまいっすぅ」
スラゾウとゴレタは料理を褒める。
祝賀会ということもあり、当たり障りのない話をしている。
ただ時折、ネイトの捕まっていた話にも、ハンナの脅されていた話にもなる。
とはいえ、そういった話題が挙がるのは、問題を解決した証拠だろう。
「おやっさん、ドーソンはどんな人物なんだ?」
「どうして、そんなこと聞くんだ?」
「事件の発端である、詐欺師をネイトさんたちに紹介した人物だからだよ」
俺は指摘する。
「悪い噂は聞かないが、よい噂も聞かない。典型的な世襲政治家だ」
「個人的な感想は?」
「話の長いことを除けば、いいやつだ。ただ、その話を遮ると不機嫌になる」
「あの時、不満そうだったのはそのためか」
俺は頷く。
「ドーソン評議会議員? 最近は、占い師に入れ込んでるというもっぱらの噂」
「占い師?」
「議員の邸宅に出入りしてるらしく、噂になってるわよん」
マリーは町の噂を教えてくれる。
「占い師の話ね、私も聞いたわ」
「昨日、この町に来たばっかりなのに聞いたのか?」
「ギルドの噂好きのメイドによると、新参の占い師らしいわ」
エリザは職場の噂を教えてくれる。
「そう言えば、町を拠点にしてた盗賊の人が言ってました」
「何と?」
「最近、ドーソン評議会議員の屋敷の離れを、住処にしてる占い師がいる、と」
ハンナは盗賊の話を教えてくれる。
「それ、あたしも友達から聞いた」
「君も?」
「うん、作り物みたいに綺麗な人なんだって」
アンナは友達の話を教えてくれる。
仕入れた情報を整理してみる――
問題のドーソンは、話は長いものの人柄はいい。
ただ、最近は占い師に入れ込んでいる。
その占い師は、ドーソンの屋敷の離れを住処にしている。
人物像としては、作り物みたいに綺麗な人。
「タロウさんは、ドーソンさんを疑ってるんですか?」
「いや、紹介するぐらいだから、詐欺師の情報を持ってると思うんだ」
「あぁ、そういうことですか。それなら、明日にでも訪ねてみるといい」
「面識のない小僧が、評議会議員を訪ねられるの?」
俺は首をひねる。
「タロウさんは人質奪還の功労者だから、訪ねたら歓迎されますよ」
「そういうことなら、明日にでも訪ねてみるよ」
「その時は、私からの紹介だと言ってください」
俺はネイトの助言を受け入れる。
現段階だと、ドーソンが白なのか黒なのかは判断できない。
ただ、最近入れ込んでいるという占い師は、怪しいと断言できる。
なぜなら、時期的に事件と符合するから。
もしかすると兵士の派遣も、その占い師の判断かもしれない。
ただ、その占い師の目的は見当がつかない。
ドーソンを介して、この町の支配権を得ること?
「ご主人、他人の意図なんてわかりませんよ」
「兄貴、考えすぎは体によくないっす」
スラゾウとゴレタは心配する。
「そうだな。――今日は問題を忘れて、存分に飲み食いするぞ!」
その掛け声を受けて――
「「おぉ!」」
スラゾウとゴレタは応じる。
こうして――
俺の祝福すべき、異世界二日目は終了。
宿での会話は、全員に出番を与えました。
そのため、一言コメントみたいになっています。
全員に活躍の機会を与えるのは難しいですね。
一区切りついてますから、評価してくれるとありがたいです。




