最終話 大団円
前回のポイント・タロウは、クーデリアに別れを告げずに立ち去った!
「スラ屋のシチューは、おいしいですねぇ!」
「ゴレ亭のタルトは、うまいっすぅ!」
「ドラ屋のステーキは、美味ねん!」
スラゾウ、ゴレタ、ガルコの三名は料理を堪能している。
「お前ら、食い過ぎるなよ!」
「ブーブー!」
「プープー!」
「ガーガー!」
スラゾウ、ゴレタ、ガルコの三名はブーイングする。
「金欠なんだぞ!」
「宗主から、謝礼を貰えばよかったんですよ?」
「おやっさんから、依頼を受ければいいんすよ?」
「盗賊を退治して、上前をはねればいいのよん?」
スラゾウ、ゴレタ、ガルコの三名は主張する。
「それができれば苦労しない……やる気が出ないんだよ!」
俺は少しでもやる気を取り戻すために、食事に取り掛かる。
「それにしても、今日は空いてますね?」
俺は、辺りを見渡す。
通称・グルメ横丁の店は、軒並み空いている。
人気のある三軒も、客はまばら。
そのため、俺たちは思う存分料理を堪能している。
「聖堂教会から、新しい司祭が赴任するためだよ」
「ふうん」
「その司祭が、絶世の美女らしいんだよ」
「ふうん」
「一目見ようと、大通りに集まってるんだよ」
店主は、情報を教えてくれる。
「絶世の美女の司祭ねぇ……試しに、見に行ってみるか?」
「ご主人は、エロですね!」
「兄貴は、エッチっすね!」
「マスターは、スケベねん!」
仲間は笑う。
「食べ終わったら、見に行こうぜ!」
食事を終えると、俺は立ち上がる。
その両肩に、スラゾウとゴレタは乗る。
その背中に、ガルコは乗る。
ほどなく、大通りにたどり着く。
聖堂教会の建物に近くに、陣取る。
ここなら、絶世の美女の司祭を拝めるだろう。
「来たぞ!」
こちらに向かって、聖堂教会の一行が進んでくる。
問題の司祭は、大物らしい。
周囲を護衛が取り囲んでいる。
その中には、見覚えのある人物が含まれている。
「ご主人、ヨハンですよ!」
「兄貴、シモンっすよ!」
「マスター、護衛は暗殺者よ!」
スラゾウ、ゴレタ、ガルコの三名は指摘する。
見覚えのある、二人に守られているのは――
見覚えのない、絶世の美女。
ただし、年齢的には少女といったところ。
だから、美女じゃなく、美少女か。
「ふふふ」
その美少女は微笑むと、俺たちの前で立ち止まる。
「みんな、久しぶりね!」
「「「クー!」」」」
スラゾウ、ゴレタ、ガルコの驚きの声が重なり合う。
「私は聖堂教会所属、巡礼司祭クーデリアコローナです!」
クーデリアは自己紹介する。
「くっころ聖女ね!」
直後――
俺は、地面に転がる。
「誰が、くっころ聖女よ!」
もちろん、くっころ聖女に殴り倒されて。
「「「「「あーっ!」」」」」
スラゾウ、ゴレタ、ガルコ、ヨハン、シモンは、一斉に天を仰ぐ。
「それでこそ、俺の知ってるクーデリアだよ」
安心した俺は、立ち上がる。
「タロウ、久しぶりね!」
「クーデリア、久しぶり!」
「私、あなたに会いたかったわ!」
「俺も、君に会いたかったよ!」
俺とクーデリアは近づくと、恋人のように抱き合う。
それに伴い――
周囲から、歓声が上がる。
「全員揃ったことだし、打ち上げしようぜ!」
全員、寄り添うようにして、宿に向かう。
こうして俺の、本当の意味での、異世界一日目は始まった!
読んでくださって、本当にありがとうございます。
一応、完結です。
一応なのは今回の経験を糧に、別に一から書き直すつもりだからです。
その理由は、心残りがあるからです。
特にメインの三名には、愛着があるようです。
ただ、普通に続けるには物語の規模が大き過ぎて、無理なのです。
そのため、仕切り直しすることにしました、すみません。
それがいつになるのかは、決まっていません。
決まったら、告知はすると思います。
ちなみに、主要キャラクターは、設定こそ変わるものの続投する予定です。
それでは、次の機会があることを願いつつ、さようなら!