表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
136/137

第127話 聖女クーデリア

 前回のポイント・ライトを倒した!

 大聖堂に戻った俺たちを待っていたのは――


「クーデリア?」


 天に向かって祈っているクーデリア。


 そのそばには、大量の死体が並んでいる。

 積み重なっていないのは、なぜだろう?


 それに、見覚えのある少女たちの姿もある。

 光を失った彼女たちも、クーデリアと同じく天に向かって祈っている。


「これから、あの子は聖女の役割を果たすのじゃ」


「聖女の役割?」


「人々に、生きる意志を与えるのじゃ」


「希望?」


 俺の言葉に、宗主は笑う。


「光の御子よ、私に力をお貸しください」


「光の御子よ、聖女に力をお貸しください」


 クーデリアの祈りに、少女たちの祈りが合わさる。


「亡くなってる光の御子に、力を貸してもらえるのかよ?」


「そういう儀式じゃ」


「意味のない儀式だろ」


「お前さん、辛辣じゃな?」


 宗主は咎める。


「こんなことなら、ライトから力を貰い受ければよかったんだよ?」


「あやつ、何か言っておったか?」


「すまない、そしてありがとう、だって」


「我々に?」


 宗主は首を傾げる。


「光を奪ってしまった少女たちに」


「本当にそれだけか?」


「それに、光あれ、だって」


 俺は、最後の言葉を思い出す。


「光あれ、だと?」


「まずいの?」


「まずいどころか、むしろ――」


 宗主の言葉は、途切れる。


 クーデリアを中心に、広がり始めた優しい光によって。


「ご主人?」


「兄貴?」


「マスター?」


「どうなってるんだ?」


 俺たちは困惑する。


「聖女の奇跡だ」


「聖女の奇跡?」


「一時的に、それに限定的に、光の御子の力を振るえるのだ」


「それ、すごくないか?」


 俺は驚く。


「光の御子と同様の力を振るえる、お前さんよりはすごくないな」


「俺の力は、光の御子と同程度?」


「お前さん、異世界人だろう?」


「……よくわかるな?」


 俺は警戒する。


「お前さんが使っている、データベースの主は誰だと思う?」


「まさか――」


「そのまさか、わしじゃ」


 宗主は頷く。


「異世界人の来訪は、この世界に安定をもたらす」


「俺の場合も?」


「実際、お前さんは、今回、世界の危機を救ったじゃろう?」


 俺は頷く。


「今回の一件、心より感謝するぞ。――ありがとう、救世主と勇者たち」


 宗主は頭を下げる。


「「「「いやぁ」」」」


 俺、スラゾウ、ゴレタ、ガルコは、照れ笑いを浮かべる。


 会話の間も、光は強くなっている。


「光あれ!」


 クーデリアたちの声が重なり合う。


 直後――


『異世界王の効果発動』


 【ステータス】


 ネーム・クーデリア

 クラス・セイント

 ランク・NF

 スキル・聖女∞

 エクストラスキル・ 聖女の祈り(ホープ)


 【パラメータ】


 攻撃力・∞(限界突破)

 防御力・∞(限界突破)

 敏捷性・∞(限界突破)


「今のクーデリアの力は、限界突破した俺と同じだぞ!」


 俺たちは顔を見合わせる。


 同時――


『エクストラスキルの発動を確認しました』


 予想外の文字が浮かぶ。


 直後――


 光の雨が、降り始める。


 それは、奇跡をもたらす。


「あたし、目が見える!」


 光を失った少女の一人が、歓喜の声を上げる。


 いや、歓喜の声を上げているのは、一人に留まらない。

 他の少女たちも、歓喜の声を上げている。

 失った光を取り戻して。


「すごい力だな……」


「これだけに留まらんぞ?」


 宗主は注意を促す。


 事実――


 死んだはずの人々が、よみがえり始める。

 その中には、顔見知りも含まれている。


「奇跡だ! 聖女様の奇跡だ!」


「奇跡よ! 聖女様の奇跡よ!」


 奇跡に湧く人々は、自然とクーデリアに向かってひざまずく。

 それには、ヨハンも、シモンも、グレゴールも、スカーレットも含まれている。


「スラゾウ、ゴレタ、ガルコ、俺たちの家に帰ろうぜ」


「ご主人……」


「兄貴……」


「マスター……」


 俺の意図を察したらしく、全員頷く。


「お前さん、クーデリアに何も言わずに、消えるのか?」


「相手は、聖女様だぜ? 俺なんかの出番じゃないよ」


「救世主のくせに、よく言う」


「それじゃあ、頼んだ!」


 俺の言葉に、宗主は不承不承頷く。


「さようなら、クーデリア!」


 そう言い残して、俺は姿を消した。

 聖女クーデリアによる救済は、当初から決めていました。

 そのため、途中の悲しい話は、最後に楽しい話に変わります。

 救世主と聖女、二人の行く末は、次回に描かれます。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作へのリンクです
覚醒テイマーの成り上がり
設定を変えた別バージョンは、全部書き直してます。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ