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第119話 決戦は、聖誕祭

 前回のポイント・ライトの世話役は、光を失っていた!

 ライトの怒りにより、光を奪われた少女。


 重苦しい雰囲気の中、少女の話は続く。


「家が貧しいこともあって、友達から世話役に誘われたんです」


「その友達は?」


「あたしより前に光を失い、親元に帰らされました」


「何の補填もなく?」


 俺は確認する。


「ライト様からは、多額の見舞金を貰いました」


「引っ掛かる物言いだね?」


「その後、光の御子の代弁者と称する人たちに、奪われました」


「あいつら!」


 自称・光の御子の代弁者に、俺は憤る。


「それは、ライトの意思?」


「ライト様は、関係ありません。あの人たちの独断です」


「見舞金を奪われたのは、君だけ?」


「……その友達も、それ以外の人たちも、奪われました」


 少女はうなだれる。


「そいつらの居場所は、わかる?」


「わかりますけど、どうしました?」


「俺たちは、ライトの知り合いなんだよ? 代わりに、取り返してくるよ」


 俺は主張する。


「タロウ、目立つような真似をして、大丈夫?」


「シモンはもちろん、ライトも厄介に感じてるみたいだし、問題ないだろ」


「それも、そうね。それに、非道を見過ごせないわね」


 クーデリアは賛成する。


「そういうことだから、連中のいる場所を教えてくれ」


「住宅街の端にある、廃墟を寝床にしてます」


「関連して、見舞金を取り返してる間に、元世話役を集めてくれ」


「人型の光について、知りたいんですね」


 少女は了承する。


「それじゃあ、行ってくる」


 そう言い残して、俺とクーデリアは目的地に向かう。


「予想外ね」


「予想外?」


「ライトに対する、あの子の心情」


「悪く思ってなかった?」


 俺は聞き返す。


「むしろ、よく思っていたわ」


「弱ってるところを優しくされたから、勘違いしたんだろ」


「あなた、ひどいわね!」


「そうとでも考えないと、ライトと戦えないだろ!」


 俺は言い返す。


 判明している限り――


 ライトには、二面性がある。

 一つは、優しい統治者の面。

 もう一つは、恐ろしい復讐者の面。


「変化する基準は、光の御子みたいだな?」


「子孫ではなく、子供という可能性はないのかしら?」


「フンババの感覚を信じるなら、二人だけだよ」


「でも、それ以外の可能性はある?」


「それは……」


 俺は言葉に詰まる。


 会話している間に、目的地に着く。


 そこは、廃墟。

 ただし、下手な家屋よりも立派。

 奪い取った金を使って、手入れしたらしい。


「どうするの?」


「こうする――」


 俺は、扉をノックする。


「すみません、大聖堂より来ました」


「嘘よね?」


「嘘だよ」


 ほどなく――


 開かれた扉から、白い布をかぶった男が出てくる。


「何の用だ?」


「暇を出された世話役から、見舞金を奪い取ったでしょう?」


「知らないな」


「その見舞金を返して欲しいんですよ?」


 俺は辛抱強く頼む。


「知らないと言ってるだろ」


「返さないと、上に報告しますよ?」


「好きにしろ、取り合ってくれないぞ」


 男の言葉からは、自信が読み取れる。


 連中の後ろには、ライトがいる?


「その割に、豪勢な暮らしをしてますよね?」


「知らないと言ってるだろ。これ以上、難癖をつけると、叩きのめすぞ?」


「叩きのめせるなら、叩きのめしてみたら?」


「後悔するなよ!」


 挑発に乗った相手は、殴りかかってくる。


 ブン!


 相手の拳は、空を切る。


 驚く相手の懐に入ると、俺は拳を振り抜く。


 ズドン!


 手加減しているものの、威力は十分。

 男は崩れるように、地面に倒れる。


「見舞金は?」


「……知らないと言ってるだろ」


 ゲシッ!


 倒れた相手の腹を蹴り飛ばす。

 相手は悶絶したように、地面を転げ回る。


「見舞金は?」


「な、中にある……殺さないで!」


 男は命乞いする。


「見舞金を奪い返そう」


「あなた、思ったよりひどい人ね!」


「うん?」


「あえて怒らせて、叩きのめしたでしょう?」


 クーデリアは指摘する。


「連中は見舞金を奪い取る際に、暴力を振るっただろ?」


「だから、被害者に代わって、やり返したの?」


「こういう時は、散々に叩きのめしていいんだぜ――おりゃ!」


「そういうものかしら――うりゃ!」


 俺とクーデリアは、拳を振り抜く。


 俺たちを叩きのめすために駆けつけた、白い布をかぶった連中に向かって!


 それから、戦いが始まる。

 もっとも、一方的なものだ。

 敵側にはテイマーも魔物もいないから、俺たちは一方的に暴れ回る。


「うげっ!」


「うごっ!」


 白い布をかぶった男たちは、床に崩れ落ちる。


 気づいた時には――


 自称・光の御子の代弁者は、一人を除いて気を失っている。


「くそっ、光の御子に言いつけてやる!」


「光の御子に?」


「そうなったら、お前らは終わりだ!」


 廃墟から逃げ出そうとした時――


「うわぁぁぁ!」


 足を引っ掛けられ、地面に倒れる。


「ぐはっ――」


 その拍子に頭を打ちつけたらしく、最後の一人も気を失う。


「お前は……ライト!」


 俺とクーデリアは身構える。


「二人とも、元気だった?」


 ライトは悠然と微笑む。


「何のつもりだ?」


「不届き者から、見舞金を回収しに来たんだよ」


「お前の仕業じゃないのか?」


「さすがの僕でも、怒るよ? 僕の名を騙る、下種の仕業だね」


 ライトは心外そうに首を振る。


「どうして俺たちの前に、姿を見せた?」


「君たちに、伝言があるからだよ」


「伝言?」


「光の御子の聖誕祭に、僕は宗主を処刑して、表舞台に立つ」


 俺とクーデリアは、顔を見合わせる。


「なぜ? 私たちを殺す必要は、ないんでしょう!」


「君たちは、憎たらしい光の御子の子孫だからだよ?」


「それだけ?」


「それだけ……か。だから、君たち光の御子の子孫は、憎たらしいんだ!」


 ライトは珍しく声を荒げる。


「決戦は、光の御子の聖誕祭?」


「その日に、すべてを終わらせよう」


「待て、ライト――」


「二人とも、楽しみに待っているよ!」


 そう言い残して、ライトは姿を消す。


「宣戦布告ね?」


「クーデリア、大丈夫か?」


「大丈夫、猶予はある。その時、祖父を助け出す!」


「俺はその時、ライトを叩きのめす!」


 俺とクーデリアは、誓いを立てた。

 読んでくださって、ありがとうございます。

 ブックマーク等の応援、ありがとうございます。


 決戦の日時は決まりました。

 ただ、その前に作戦会議が待っています。

 その後、いよいよ決戦です。

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覚醒テイマーの成り上がり
設定を変えた別バージョンは、全部書き直してます。
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