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幕間8 無事を願って

 前回のポイント・タロウは、意識を失った!

 半壊した迷いの森の聖都側の出入り口に、二人の暗殺者がいる。

 もちろん、シモンとヨハン。

 そこに、ガルーダの姿はない。


「キラタロウの死体は、見つかったの?」


「キラタロウどころか、誰の死体も見つかっていない」


「すべて消し飛んでしまったの?」


「それに関しては、君のほうが詳しいだろう。どう思う?」


 シモンは考え込む。


「主の死体も、見つかっていないのは妙ね」


「第二の光の御子は、不死身なんだろう?」


「そのはずだけど、あれ以来、姿を見せないのよ?」


「主人公も、仲間も、ヒロインも、ラスボスも、すべて消えた? 笑えないよ」


 ヨハンは顔をしかめる。


「それより、森の状況は?」


「気になるのか?」


「気になるわ。短い間だけど、お世話になった場所だし」


「森は、生きているよ。もちろん、獣も魔物も生きているよ」


「助かったのね、よかった」


 シモンは安堵する。


「森の調査に関連して、興味深い点がある」


「それは?」


「爆心地に、大穴が確認された」


「爆心地なんだから、当たり前でしょう」


「そういうことではない」


 ヨハンは首を振る。


「どういうこと?」


「爆発の余波とは考えにくい、大穴が確認されたのだ」


「それは――」


「地中に、避難したんだろう。勇者ゴレタの、〈形成〉を利用して」


 シモンは頷く。


「生きているのね!」


「嬉しそうだね?」


「嬉しいわよ。少なくない付き合いなんだし」


「たとえ、この後殺すとしても?」


「その時は、その時。今は、生存を喜ぶ時よ?」


 シモンは主張する。


「ただ――」


「ただ?」


「全員、生きているとは限らないだろう」


「死んでいる者がいる?」


「たとえば、キラタロウ、とか」


 ヨハンは指摘する。


「その根拠は?」


「迷いの森を半壊させるほどの、攻撃を食らったのだよ?」


「普通、即死するわね」


「言葉に迷うのは?」


 ヨハンは興味を示す。


「キラタロウには、最強無敵モードが存在する」


「それは、時間制限が存在するだろう?」


「爆発は威力こそすさまじかったものの、時間は短かったわ」


「全員を守りつつ、地中の避難場所に、逃げ込む時間は存在する、か」


 シモンとヨハンは頷き合う。


「今のところ、問題は二点ね」


「二点?」


「一点は、主の生死。もう一点は、ガルーダの立場」


「前者はともかく、後者は気になること?」


 ヨハンは引っ掛かる。


「気になること。なぜなら、ガルーダはキラタロウになついている」


「なついているだけだろう?」


「契約していないものの、仲間よ? 機会さえあれば、契約を結ぶわ」


「そうなったら、厄介だね。強力な勇者の誕生だ」


 ヨハンは警戒する。


「おそらく、それに留まらない」


「脅威は、別にある?」


「キラタロウの強さは、仲間の強さに関係しているわ」


「要するに?」


「ガルーダとの契約により、それこそキラタロウは、主を越す力を得るわ」


 シモンとヨハンは黙り込む。


「もっとも、すべて推測よ。生存しているとも、契約するとも限らないわ」


「とりあえず、主を探そう。それから、主を含めて対策を考えよう」


「ヨハン、あなたはシンプルね」


「シンプル?」


「私は、迷っているわ。主に、従うべきか否かを」


 シモンは秘密を打ち明ける。


「光の御子ではないから、主として認められないのか?」


「あの時、主は私を含めた、全員を殺すつもりだった」


「主に、味方と敵の区別はない?」


「一応、あるみたいだけど、必要に応じて消えるわ」


 シモンの声は、憂鬱に響く。


「それも、必要だから消えるんじゃない、面倒だから消えるの」


「それは……」


「主は、本当に人なのかしら?」


「人ではないとしたら、魔物?」


 ヨハンは茶化す。


「たぶん、魔物じゃない」


「でも、人間でもない?」


「それこそ、意思を持った人形みたいなの!」


 シモンは感情を高ぶらせる。


「いずれにしても、いろいろ調べてみる必要がありそうだね」


「調べる?」


「主の生死に限らず、主の正体も。もちろん、キラタロウ一行の行方も」


「ヨハン……あなた!」


 シモンは驚く。


「見直した?」


「ええ、見直した!」


「それじゃあ、一緒に真実を突き止めよう!」


 シモンとヨハンは笑みを交わした。

 次回は、第三部第四章です。

 一区切りついていますから、評価してくれるとありがたいです。

 それでは、タロウたちの無事を祈りつつ、次の機会に!

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覚醒テイマーの成り上がり
設定を変えた別バージョンは、全部書き直してます。
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