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第108話 白い果物と黒い果物

 前回のポイント・一つ目の目印を見つけた!

 一つ目の目印をチェックした俺たちは、先に進んでいる。

 それから、特に問題なく、二つ目と三つ目の目印をチェックしている。

 その間、水分代わりに、収穫したばかりの果物を食べている。


「この赤い果物は、おいしいですねぇ」


「この青い果物は、うまいっすぅ」


「この黄色い果物は、美味ね」


「今のところ、全部いけるぞ」


「がるるるぅ」


 食事も兼ねているため、全員のやる気は保たれている。

 このまま何事もなく、宝探しを終えたいものだ。


 ほどなく、四つ目のチェックポイントに到着する。


「ここは――」


 俺は辺りを見渡す。


「スルーだな」


 俺は判断を下す。


 なぜなら――


 四つ目の目印は、毒々しい色をしている。

 木はもちろん、果物も。

 俺は素通りして、五つ目の目印に向かうことを決める。


「今度こそ、オイラの出番ですね!」


「スラゾウ――」


 止める間もなく――


「いただきまーす!」


 スラゾウは、毒々しい果物にかぶりつく。


 パクリ!


 直後――


「ふぉぉぉ!」


 叫び声に続いて、スラゾウの色と形が変わる。


「スラゾウ!」


「先輩!」


 俺とゴレタは、スラゾウに駆け寄る。


「ふふふふふっ」


 スラゾウは笑う。


「スラゾウ?」


「先輩?」


 俺とゴレタは、スラゾウの身を心配する。


「スラゾウブラック(色)!」


「スラゾウブラックじゃねえよ!」


「スラゾウダーク(形)!」


「スラゾウダークじゃないっすよ!」


 スラゾウの悪ふざけに、俺とゴレタは憤慨する。


「これは、おやつじゃなく、香辛料ですね」


「コショウの実みたいなものか?」


「トウガラシみたいですね」


「だから、一時的に色と形が変わったのか?」


「さすがに、刺激が強過ぎました!」


 スラゾウは苦笑する。


「スラゾウ、今度からは勝手に食べるなよ?」


「もしもの場合は、ご主人のエクストラスキルが、発動するでしょ?」


「最強無敵モードを、毒見に利用するつもりかよ!」


「そのための、チートですよね?」


 スラゾウの主張に、俺たちは絶句する。


「また、オイラ、何かやっちゃいました?」


「パクるなよ!」


「放送記念ですよぉ!」


 すっかり元の色と形に戻ったスラゾウは、むしろ胸を張る。


「ゴレタ、スラゾウを見張ってくれ」


「りょーかい」


 俺の指示に、ゴレタは力なく頷く。


 指示を下している間に、五つ目の目印に着く。

 スラゾウの独断に警戒しつつ、木に近づく。

 すると、当然のように、スラゾウは動き出す。


「スラゾウ、お前、勝手に――」


「ご主人、それ、生きてます!」


「植物なんだから、生きてるだろ?」


「そういうことじゃなく、魔物です!」


 直後――


 植物のツタは、魔物の触手のように伸びる。


 俺たちに向かって!


 スラゾウの警告により、俺以外は対応している。


「一撃目!」


 クーデリアは、剣を払う。


「邪魔だ!」


 シモンは、ナイフを突く。


「遅い!」


 ゴレタは、拳を振るう。


「がるるるぅ!」


 ガルコは、羽を飛ばす。


 隙を突いたつもりなのに、隙を突かれる。

 予想外の事態に、木に化けた敵は焦る。

 俺は、その焦りを見逃さない。


「スラゾウ、斧に変化してくれ!」


「斧ですね、了解!」


 俺は跳躍すると、スラゾウアクスを振り下ろす。


 ザシュ!


 木に化けた敵は、真っ二つになる。


「安全確保?」


「危険続行!」


「どうして?」


「ここは、五つ目の目印じゃありません。全部、敵です!」


 スラゾウの指摘を受けて、俺は情報を集める。


「〈異世界王〉の効果により、対象の情報を把握する」


 俺は宣言する。


『〈異世界王〉の指定効果、発動』


 【ステータス】


 クラス・ジャイアントフラワー

 ランク・G

 スキル・埋没G


 【ステータス】


 攻撃力・G

 防御力・G

 敏捷性・G


「Gランクのジャイアントフラワー……もちろん、野良だ」


「問題は――」


「対応よ――」


 シモンとクーデリアの意見は一致する。


「敵を撃退するぞ!」


 その指示に従い、全員、戦い始める。


 こちらの戦力は、十分以上に揃っている。

 対してあちらの戦力は、G。


 ザシュ、ドゴン、バーン――


 あっという間に、ジャイアントフラワーの群れは壊滅する。

 生き残ったジャイアントフラワーは、森の奥に逃げ出す。


「追撃は?」


「追撃はしない。このまま、本当の五つ目の目印に向かう。ただ」


「ただ?」


「おそらく、そこは敵の逃げた先だ」


「戦力を整えて、再襲撃するつもりか!」


 シモンは納得したように頷く。


「みんな、再襲撃の恐れがあるから、ここからは慎重に進もう!」


 俺たちは警戒しながら、先に進む。


 目印を勘違いしたのは、果物の木に依存しているため。

 敵は俺たちの話を盗み聞きして、襲撃に利用したんだろう。


 襲撃の意味を考えていると、今度こそ本当の目印に到着する。


「さすがに果物の回収は、無理そうだな?」


「一つぐらいは、回収しましょ? オイラ、準備万端ですよぉ!」


「お前、食い意地張り過ぎだろ!」


「真のグルメとは、大食いかつゲテモノ食いである。――byスラゾウ」


 スラゾウの食欲に、俺たちは呆然とする。


「ただ、黒い果物は食べたくないですねぇ」


「どうして?」


「魔物ですから」


「魔物!」


 俺たちは驚く。


「白い果物は、本物。黒い果物は、偽物」


「よく見分けられるな?」


「まずそうでしょ?」


「お前、すごいな!」


 俺たちは褒める。


「〈異世界王〉の効果により、対象の情報を把握する」


 俺は宣言する。


『〈異世界王〉の指定効果、発動』


 【ステータス】


 クラス・キラーフルーツ

 ランク・G

 スキル・埋没G


 【ステータス】


 攻撃力・G-

 防御力・G-

 敏捷性・G-


「Gランクのキラーフルーツ……もちろん、野良だ」


「木の次は、果物? 忙しいわね!」


 クーデリアは苦笑する。


「全員、黒い果物に化けた、魔物を狙うぞ!」


 その指示に従い、黒い果物こと、キラーフルーツに攻撃を仕掛ける。


 俺はスラゾウボウから、矢を放つ。

 シモンは、手持ちのナイフを投げる。

 ガルコは、羽を飛ばす。


 ヒュン、ヒュン、ヒュン――


「――――!」


 予想外の事態らしく、キラーフルーツの反応は遅れる。

 撃ち落されなかったキラーフルーツは、降るように襲ってくる。


「おりゃ!」


「はっ!」


 上からの襲撃に対しては、ゴレタとクーデリアが反応する。

 拳と剣を用いて、次々にキラーフルーツを仕留めていく。


 前回のように、あっという間に魔物の群れは壊滅する。

 生き残ったキラーフルーツは、転がるように逃げ出す。


「今度こそ、安全確保だな?」


「果物回収!」


「おい、勝手に食べるな!」


「オイラ以外も、食べてますよ?」


 俺以外の全員が、木に腰掛けて、白い果物を食べている。


「お前ら……わかった、休憩しよう」


 俺はなし崩し的に、休憩を取ることを決めた。

 読んでくださって、ありがとうございます。

 ブックマーク等の応援、ありがとうございます。


 今回の主役は、もちろんスラゾウです。

 よくも悪くも、活躍しています。

 最近、活躍が少ないため、活躍の場を設けました。

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覚醒テイマーの成り上がり
設定を変えた別バージョンは、全部書き直してます。
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