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第97話 海魔クラーケン

 前回のポイント・海の魔物に襲われた!

 シモンの呼び声に応じたのは、海の魔物。


 その大きさは、船と同じぐらい。

 サハギンどころか、マーマンさえも比較の対象にならない。

 それどころか、今までに出くわした、どの魔物よりも大きい。


 その見た目は――


「イカ?」


 そう、超巨大なイカ。

 イカの刺身にしたら、優に数百人分はありそう。

 少なくとも、乗員の食料は、間違いなくまかなえる。


「この状況は、どう考えてもクーデリアのせいだよな?」


「貴殿、私に恨みでもあるのか?」


「よく甲板に出て来れたね? これから、迎えに行くつもりだったんだよ」


「あの大きい魔物の攻撃によって、船は混乱に陥っている。その隙を突いたのだ」


「それはつまり、時間をかけすぎると、スカーレットが駆けつける?」


 クーデリアは頷く。


「情報通り、シモンが暗殺者だったよ」


「その情報源は、誰?」


「シモンの同僚兼、恋人のヨハン」


「もしかして、ショックを受けている人?」


 クーデリアは指差す。


 その先には――


 ショックを受けたように、座り込んでいるヨハンの姿があった。


「ご主人、それよりみ、魔物!」


「兄貴、それよりも、暗殺者!」


 スラゾウとゴレタは、俺の肩に乗る。


「お前ら、大丈夫か?」


「大丈夫ですよ!」


「大丈夫っすよ!」


 スラゾウとゴレタは、元気そうに跳びはねる。


「敵の戦力を調べるぞ?」


 ヨハンを除いた三名が頷く。


「〈異世界王〉の効果により、対象の情報を把握する」


 俺は宣言する。


『〈異世界王〉の指定効果、発動』


 言葉が響き、文字が浮かぶ。


 一体目は、シモンの乗っている魔物。


 【ステータス】


 クラス・グリフォン

 ランク・D

 スキル・飛行D 適応D 抵抗D

 エクストラスキル・なし


 【パラメーター】


 攻撃力・D-(プラス補正)

 防御力・D-(プラス補正)

 敏捷性・D+(プラス補正)


 二体目は、シモンの呼び出した魔物。


 【ステータス】


 クラス・クラーケン

 ランク・A

 スキル・触手B 適応B 抵抗B

 エクストラスキル・大渦(メイルシュトローム)


 【パラメーター】


 攻撃力・A-(プラス補正)

 防御力・A-(プラス補正)

 敏捷性・B-(プラス補正)


「Dランクのグリフォンと、Aランクのクラーケン、ともに契約済みだ」


「前者はともかく、後者も契約済みですか?」


「むしろ、後者が本命だ」


「逆?」


「クラーケンを使って、サハギンとマーマンを誘導したんだろう」


「クラーケンによって、双方の住処を襲ったんですね!」


 スラゾウは頷く。


「クラーケンこそ、船を渦に引き込もうとした魔物だろう」


「あの時の、エクストラスキルの持ち主?」


「その証拠に、エクストラスキルの項目が判明してる」


「それは?」


大渦(メイルシュトローム)。呼んで字の如く、大きい渦を作り出すものだろう」


「それによって、オレたちの乗ってた船を、沈めようとしたんすね!」


 ゴレタは頷く。


「このままだと、あの時の二の舞だぞ」


「二の舞……また漂流するのか!」


「今度は、助かる見込みはないぞ」


「それなら、どうする?」


「今後の憂いを絶つために、倒す!」


 俺は宣言する。


「問題は――」


 俺は、周囲を見渡す。


 クラーケンは、鉈のように触手を払っている。

 それに伴い、船は急激に傷つきつつある。


 一方――


 グリフォンは、空に留まっている。

 その上には、悩ましげなシモンの姿がある。


「クラーケンを倒す方法じゃない、クラーケンを倒した余波だ」


「方法じゃなく、余波?」


「クラーケン自体は、エクストラスキルによって倒せる」


「貴殿の?」


「ゴレタの」


 俺はゴレタを指差す。


「オレ?」


「お前のエクストラスキルによって、クラーケンを倒すつもりだ」


「お約束っすね」


 ゴレタは茶化す。


「倒せばいいだろう?」


「その場合、船は沈没するぞ?」


「エクストラスキルの余波に、船が耐えられないのか!」


 クーデリアは状況を理解する。


「オイラのエクストラスキルによって、船を守ればいいでしょ?」


「その場合、逃走手段を失うぞ?」


「言われてみると、逃走手段を失いますね!」


 スラゾウは驚く。


「それならいっそ、逃げの一手を打つか?」


「下手すると、光の巨人と相打ちの挙句、海に墜落しますよ?」


「そうなったら、クラーケンの餌食、か」


 考えている間も、クラーケンの攻撃は続く。


 触手による攻撃は、的確。

 そのつど船に衝撃が走り、外装が剥げる。

 このままだと、遠くないうちに船は沈没する。


「シモンの乗ってる、グリフォンを奪うのはどうだ?」


「貴殿、無茶を言うな」


「無茶?」


「契約済みのグリフォンだ、野良のペガサスとは違う」


「奪っても、乗りこなせない? それどころか、振り落とされる?」


 クーデリアは頷く。


「それなら、どうする?」


 俺は自問する。


 直後――


 閃く。


「逆だ!」


「逆?」


「逆にすれば、突破できる!」


 俺は、仲間に作戦を伝える。


「ご主人、無茶ですよ?」


「兄貴、無謀っすよ?」


「無茶でも無謀でも、無理じゃないだろ。――やろうぜ?」


「しょうがない、やりましょ!」


「やるからには、成功させましょ!」


「ああ、やろう!」


 俺たちは頷き合う。


「クーデリア、構わないか?」


「構わない」


「素直だな?」


「今、私が生きているのは、あなたのおかげよ? 好きにするといいわ」


 クーデリアの言葉は、騎士というよりも、聖女のように聞こえた。

 読んでくださって、ありがとうございます。

 ブックマーク等の応援、ありがとうございます。


 今回は、準備です。

 本番は、次回になります。

 ただ、全員、元気に揃っているため、楽しんでもらえるはずです。

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