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第1話 異世界詐欺

 よろしくお願いします!

 俺は、 綺羅(キラ) 太郎(タロウ)


 どこにでもいる、普通の高校生だ。


 実際――


 身長は、平均より高め。

 体重は、平均より少なめ。

 容姿は、平均そのもの。


 嘘じゃなく、本当のことだろ?


 少なくとも、ついさっきまでは、間違いなくそうだった。

 でも、今は違うかもしれない。

 なぜなら、異世界に迷い込んでしまったから――


 異世界転移。


 その言葉が脳裏をよぎったのは、いろいろ変化したからさ。


 室内にいたはずなのに、屋外に移っている。

 夕方のはずなのに、昼間に変わっている。

 暑くも寒くもないはずなのに、熱さと寒さを同時に感じている。


 何より――


 野蛮な男たちによって、可憐な少女が襲われている。


 このシチュエーションからすると、ここは間違いなく異世界。


 実際、少女は助けを求めるように、こっちを見つめている。

 一方、山賊は追い払うように、こっちを睨んでいる。


 どっちの味方をするのか?

 そりゃ、前者に決まってるでしょ!


 突然、出現した少年に動揺する、山賊の間を通り抜けていく。


 本来なら、怖がる場面。

 でも、俺は興奮している。

 何しろ、好機到来だから。


 なぜなら――


 異世界じゃ、俺は最強かつ無敵の上、モテモテ。

 たとえ武装した複数の山賊が相手でも、俺に負ける道理はない。


 ただ、体の調子はよくない。

 視界は揺らいでいるし、感覚は薄れている。

 それこそ、死につつあるみたい。


「そんな馬鹿な――」


 そう呟いたつもりだけど、うまくいかない。


 それはともかく――


 俺たちが歩み寄るのは、自然だった。

 

 俺は、手を差し伸べる。

 少女も、手を差し伸べる。


 物語の中のヒーローとヒロインみたいに、両者の手が触れ合った瞬間――


 外からじゃなく、内から言葉が生まれる。


 ――汝、契約をよしとするか?


 ――我、契約をよしとする!


 問いに対して、言葉じゃなく心で応じる。


 ――ここに契約は結ばれた、汝と仲間に祝福あれ!


 直後――


 世界は、一変する。


 突然の出来事に戸惑ったものの、状況を理解する。


 どうやら俺は、この世界に適応したらしい、と。


「契約? 仲間? 祝福? それより、俺の嫁は――」


 言葉になったものの、すぐに消える。


 なぜなら――


 少女は、どこにもいなかったから。

 いや、少女らしきものはいる。

 ただ、さっきと比べると、見た目は悪い。


 まるで、傷の手当に失敗したみたい。

 ところどころ、崩れている。

 それどころか、本当に崩れ出す。

 

「これは、何だ……!」


 俺の言葉に合わせるように、崩れるのが止まる。


 そこには――


 水餅のような、球状の液体が残る。


「こいつは、何だ……?」


「スライムですけど、何か?」


 俺の問いに応じたのは水餅。


「スライム……俺の嫁は!」


「人間の女はいませんから、オイラの〈擬態〉ですね」


「〈擬態〉?」


「オイラのスキルです。それによって、人間に成りすましてたんです」


「スライムかよ……」


 俺はがっかりする。


「スライムでも、ヒロインかもしれませんよ?」


「女の子なの?」


「ひ、み、つ♥」


「ハートマークいらねえよ……」


 俺はげんなりする。


「オイラたち、契約したじゃないですかぁ?」


「クーリングオフ」


「契約は、一方的に破棄できませんよぉ!」


 自称スライムは勝ち誇る。


「嘘だろ?」


「お取り込み中のところ悪いんだが、君はそいつの主人かね?」


「たぶん」


「よし!」


 まとめ役らしき年長の山賊の言葉に、他の山賊は頷く。


「俺たちを殺すつもりか!」


「何を勘違いしてるのかはわからないが、そいつの手配書が回ってるんだ」


「手配書?」


「これだ」


 年長の山賊は、懐から取り出した紙片を掲げる。


 紙片には――


『捕縛命令書


 対象は、野良スライム


 罪状は、食い逃げ』


 そう記されている。


「捕縛命令書?」


「その対象は、君の魔物だ」


「それが本物だとして、あんたたちはいったい――」


「私たちは、ボードレスの兵士だ」


「兵士? 山賊じゃないのか!」


 驚く俺に対して、相手は呆れる。


「賊の類だと疑うのなら、平地だから盗賊だろう?」


「どっちにしても、違うのか?」


「もちろん、違う」


 盗賊だとしたら、俺たちのやり取りを放置していたのは、おかしい。

 兵士、それも罪人の追っ手だとしたら、俺たちの関係を探っていたんだろう。


「最近は物騒だから、詳しい話は町に帰ってからにしよう」


「要するに?」


「おとなしく捕まれ」


「俺も、罪人? えっ、ええっ!」


 呆然としている間に、俺たちは捕縛されたのだった。

 いわゆる「異世界もの」を書くのは、初めてです。

 そのため、四苦八苦しています。

 見捨てずに読んでもらえると、ありがたいです。

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覚醒テイマーの成り上がり
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