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守護霊様は賢者様  作者: 桐谷鎭伍
第一章 幼年編
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第七話 賢者式幼児教育の実践

今日は三話投稿予定です。三本目最後です

 メネドールがお小遣い削減のショックから立ち直ったのは夕食の支度が出来上がろうかという時間だった


 侍女が二人を呼びに来たので、連れだって食堂へと向かう二人



「みんなご苦労だった、新しい仲間と跡継ぎのアルベルトだ。仲良くやってくれ」



 驚いた事に食堂には侍従や侍女が揃っていた。調理や配膳それに護衛など、どうしても来れない最低限の人員は除いているだろうが結構な人数だぞ、これ・・・


 皆の前にもメネドールや夫人と同じメニューが出ており、同じ部屋、同じテーブルで食事をとるつもりなのだろう


 これはかなり異例の事だ。貴族が侍従や侍女たちと同じテーブルに座る事さえ無いというのに、食事の内容まで同じものを食すると言うのだから驚きだった


 帰って来た時の「食事を楽しみにしていろ」というのはこういった意味だったのか・・・所謂(いわゆる)ご褒美的なものなのだろう、今迄にも同じ事が有った様で他の皆も畏まってはいるが驚いてはいない様だ


 ロステムとシーリンだけが吃驚&恐縮しているが他の者達は「早く食わせろ―」と目が語っている



「長々と挨拶すると恨まれそうじゃな・・・では、乾杯!」



 苦笑いの混じった乾杯に、申し訳程度の唱和の声が続く。寧ろ椅子を引いて着席する音の方が大きかった位だ。上流階級のマナーは何処へ行った?


 しかもみんな黙々と食べ始めている・・・そんなに楽しみなのか?普段の食事を疑いたくなるレベルだ


 その様子をみて笑顔を浮かべるメネドールとソフィアの二人。少しドヤ顔になっているのは誰に向けてなんだ?



『凄いでしょう。こういう処が人気の秘訣なのよ』


『凄いかどうかは別にしても、変わった御仁だとは判るな』



 多分、初めにこれを言い出した切っ掛けは、何時もの偏屈だろうという事を想像してしまうと素直に褒められない。しかし貴族に良い印象は無かったが、彼の器の大きさは感じられる事だった


 しかも、侍女や侍従たちの席を回ってお酌までし始める始末だ。流石にこれは働いてる方が恐縮しているがアルベルトやロステムとシーリンを紹介する意味もある様で、一人一人に時間を掛けて回っている


 これは家令も大変だろうなと思っていたら、上座に近い席でバクバクと凄い勢いで食べていた・・・まぁこの男にしてこの家令かと妙に納得してしまう


 因みに夫人のお付きであるロッテは後ろにきちんと控えている・・・が、隙をついて口に食べ物を入れているのを儂は見逃さなかった。こやつ中々やるな・・・


 そのまま宴会になる様で、再びメネドールが感謝の言葉を述べて退出していく。雇い主は早々に退散か・・・なかなか判っておるようじゃな、気兼ねなく楽しめという事だろう


 そのまま、アルベルトを連れて二人の寝室とは別の部屋に向かう。


 貴族の子育てという物は終始自分で育てる訳では無く、侍女や乳母といった人を使いながらの子育てとなる。庶民の場合はそんな金など有る訳なく、それこそ母親が背負って仕事とか街中でも良く見かける光景だ


 アルベルトにはシーリンが乳母として仕える他に侍女が交代で一人付くようだが、まぁ今日は寝るだけだしシーリンも宴会の主役という事で急遽用意された子供部屋に一人置いて行かれるアルベルト


 柵付きのベットに寝かされてキョトンとした表情をしている



「おやすみなさい。アルベルト」


「なにかあったら呼ぶのじゃぞ」


「だぁー」



 生まれたばかりの赤ん坊に無理な事を言って退出していく夫婦。まぁ儂が付いているし、儂の事が見えているアルベルトも不安は無い様だ


 さてと、では始めるとするか・・・



『アルベルト。儂が判るか?』


「うだぁ」


『よし、これから毎晩の日課になるからの。しっかりと訓練をするのじゃ』


「だ!」



 ふむ、返事をするという事は何か言われている事は判っておるようじゃ。内容まではまだ判らんだろうが今はこれでいいだろう


 まずは馬車の中の様に身体に魔力を流してやる。心地良いのか早速手足をバタつかせて喜びを表現している。その両手両足に魔力で重りを付けてやると、少し動きが鈍くなる


 不思議そうな顔をするアルベルト。生まれたての赤ん坊にする訓練ではないが、その辺りはちゃんと考慮している


 重りは筋力の強化が目的では無い。まぁ若干の効果は有るだろうが、真の目的は身体強化。魔力を使って身体の能力値を上げる感覚を身に着けさせるのが目的だ


 儂の研究では身体強化や魔力操作等のスキルは幼少の時からの訓練が大事になる。早めに始めた方が有利になるのだ。適切な負荷を知っている儂が行うのであれば生後僅かといえども問題有るまい



「うきゃ。ふぅ~」



 おお、動かせるか!短い間だけだが手足の動きが普通通りに動く時が有る。アルベルトもその感覚が面白いのか、必死に再現しようとしている


 おっと。あまり長時間は拙いな。休憩を挟んでっと・・・次はお勉強じゃ、魔法の詠唱をするから良く見ておれよ


 アルベルトに聞こえる様に魔法の詠唱を始める。勿論、儂は無詠唱で魔法を発動させることが出来るがそれだとアルベルトに伝わらんからな


 詠唱と共に魔方陣が浮かび上がる。韻を踏んだ言い回しに呼応するかのように魔方陣が所々光り輝く。その様子に初めはキョトンとしていたアルベルトだが、徐々に声を上げて喜ぶようになる


 アルベルトにはメリーゴーランドがベットの上で回っている感じなのかも知れない



「きゃっきゃっ!」



 部屋の中で本気で魔法を発動する訳にはいかないので詠唱と魔方陣は最後には霧散するようにしてある。その代りに魔方陣に対応する魔法を無詠唱で最小限発動させる事でアルベルトに詠唱と魔方陣、それに魔法という物を理解させていくのだ


 当然、初めから理解出来る訳が無い。しかし幼い時からこういった物に触れていると成長した時に役に立つ、知育という奴だな



『鑑定!』



 賢者としてのスキル【鑑定】を発動してアルベルトを見てみる


 LV  --

 HP   5

 MP   5

 STR --

 VIT --

 AGI --

 DEX --

 INT --

 MAG --

 CAM 80

 LUC 50


 スキル --


 加護  慈愛の加護

     武術の加護

     魔法の加護


 称号  賢者の守護



 ほうほう。流石に生後間もなくだとステータスも未表示が多いな。しかし何じゃこの幸運値は?50じゃと!?生きてく中で多少は上下する数値じゃが、余程の悪行でもしない限りは大きく下がるは無い。


 逆に善行を行えば上がるとも言われておるし、神々の加護を貰っているのだから上がる一方の筈だ。


 しかも加護が3つだと・・・魅力値80って、間違いなく慈愛の神の加護の影響だろうがやり過ぎだろ。どんだけ愛されているのじゃ


 称号は、まぁ儂の事だろう・・・どんな効果が有るのやら初めて見たわい


 ふ~む。基本的には成人するまでは、LV(レベル)は年齢とイコールの筈じゃ。普通は成人する前に危険な事はさせないから当たり前の成長率だ。孤児や特殊な事情が無い限りは経験値の獲得量はそう変わる事は無いだろう


 問題は能力値の方じゃな。これには加護や称号が係ってくるのだが、同じ加護持ちでも神々が注ぐ愛情で変わってくると言うのが儂の研究成果だ。能力値が普通の伸びにはならないだろう


 それに儂の教育が加わると・・・倍率ドン!更に倍って感じになるだろう



『ふふふ、ふはは、ははははは!』


『やり過ぎよ!少しは自重しなさい!!!』



 おっと、突っ込まれてしまったわい。秘密の日課にするはずが早速バレてしまった・・・


 昔から夢中になると見境が無くなってしまうのは悪い癖だ



『って、ほらまた光ってるじゃない。侍女に見つかったら騒ぎになるでしょ!』


「だぁー」



 アルベルトのご機嫌な笑い声が部屋に響く


 謎の光と一人で喜ぶ赤ん坊の声・・・侍女たちが慣れるまでは、心霊現象の噂が広がるのであった


読んで頂いてありがとうございます

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