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守護霊様は賢者様  作者: 桐谷鎭伍
結婚編
160/179

休日

「はぁ、また蜂蜜酒(ミード)だよ」


「ん・・・飽きた」


「大体、これ飲んで精力付けろって言うくらいならもう少し特訓を減らして欲しいわ」



 結婚式の後、何だかんだと理由を付けられて出される蜂蜜酒(ミード)。 抑々飲酒の習慣が無いアルベルト達に蜂蜜を混ぜた甘い酒を毎度毎度出されてもハッキリ言って迷惑であった



「いくら新婚だからってやり過ぎだよね」


「そうよね。そんな物飲まなくてもアルベルトのアルベルトは元気だし」


「ちょっ!朝から何処触ってるの!!」


「ん・・・お楽しみ?」


「駄目だって!それ以上は夜想曲(ノクターン)の扉が開いちゃうから!!」



 まぁ、実際そう言う事に励んで貰って早く子供をという願いを込めての蜂蜜酒(ミード)なので朝からお盛んな三人は彼等の身の回りのお世話をする者達の思惑に乗っかっているとも言えるのだが、蜂蜜酒(ミード)など無くてもイチャイチャするのはいつもの事なので実際には必要の無い気遣いであった



「朝からお楽しみの様でしたので食事は軽い物に致しました」


「セバスチャンさん!?」


『ほっほっほ。チャンよ、そこは気を使って何も言わぬが花じゃ』


「はい、マーリン様。 心得ております」


「心得てるの!?なら言わないでよ!!」


「執事の嗜みですので」



 結局朝のお勤めのせいで朝食に間に合わなかったアルベルト達。 その所為で執事のセバスチャンの強烈な出迎えを受ける事になるのだが、料理長たちに迷惑を掛けたのも事実であり、それを諌めるのも執事の仕事と言われればグゥの音も出ない。 



『ほっほっほ、まぁ久しぶりの休日じゃ。朝から新婚気分を味わうのも悪くないじゃろう』


「う、うん。いや、ごめん程々にしておくよ」


「御遠慮なさらず、蜂蜜酒(ミード)も御出ししておきますから存分に」


「やっぱりセバスチャンさんの仕業だったの?」


「私の事はセバスで結構ですよ?」



 執事としての表情をその表に張り付けて応えるセバスチャン。 アルベルトはその手腕に完全に手玉に取られているのだが、どうにも憎めない処もあり溜息一つ付いて食事を口にするのだった



「それで今日はどうしようか?」


「う~ん買い物もしたいんだけど・・・」


「ん・・・お疲れ」


「なら、朝からあんな事するのやめようよ」



 呆れるアルベルトではあったが実際問題、最近は疲労で夜はすぐに寝てしまう事も多く、二人の希望を叶えるのに吝かでは無かったのも事実だ


 普段は隙あればアルベルトに襲い掛かる二人が大人しく布団で熟睡している姿など滅多に見る事が出来ずアルベルトも久しぶりの穏やかな?夜を迎えられたのだ。



「ん・・・じい様、容赦ない」


「うん、僕も黄マッディ君の指導が・・・」


「良いじゃない、二人は目的が判ってるんだから!私なんて説明も無くただみんなに攻撃されてるのよ?」



 珍しく三人が愚痴をこぼすほど、今回の特訓は容赦が無かった。 ヴィクトリアの祖父ブラドはヴァンパイア特有の戦い方を身に着けさせるために実戦を用いてそれを指導している


 しかし、指導していると言えば聞こえはいいが、実際は「身体で覚えろ」という体育会系的な指導であり容赦のない攻撃の中でそれを覚えさせる本気の攻めであった。 ヴァンパイアの戦い方に置いて始祖であるブラドに敵う者などいる訳も無く、ヴィクトリアは毎日コテンパンにされているのだった


 一方のアルベルトも基礎を徹底的に見直す黄マッディ君の容赦のないトレーニングに流石に音を上げる。 ミスリルマッドゴーレムとなった彼を肩に乗せての反復練習は肉体的にも精神的にもかなり追い込まれる様で、傍から見ればユックリとした動作で動いているだけに見えるが、だからこそ却ってキツイ訓練になっているのだ


 だが、精神的な意味で言えばエリザベスが一番かも知れない。 マーリンが主導しての特訓は只ひたすらに攻撃を防がせる物であった。 


 当初はマーリンと青マッディ君の魔法攻撃を受けながらの赤マッディ君との模擬戦であったが、エリザベスがそれに慣れたと見るや追加のマッディ君を投入するのだ


 お蔭で今は黒マッディ君と桃マッディちゃんまで加わって、正に四方八方からの攻撃を一人で防がなければならなくなっていた



「何の特訓かも判らないし、やり返そうと思っても防ぐだけで手一杯。 一日が終わったらヘトヘトよ」


「二人とも大変なんだね」


「ん・・・アルも」


「あっこら!またそうやって!!」


「もう、今日はこのままゴロゴロしてようか」


「ん・・・賛成」



 お互いに愚痴を言い合いながらも、ヴィクトリアがアルベルトに引っ付いたのを切っ掛けにエリザベスも負けじとアルベルトにくっ付く


 とはいえ、流石に昼間っから二回戦という訳でもなくただお互いの温もりを補給する様にベットのうえでイチャイチャし始める


 マーリンもセバスチャンと共に何やら企んでいた様であったので、今日はこのまま三人でゆっくりするのも悪くないとアルベルトは怠惰に一日を過ごす事に決めた様だった



「はぁ~早く平和になってゆっくりしたいね~」


「ん・・・同感」


「そしたらずっとくっ付いていられるのにね」


「いや、仕事もしなきゃ駄目だけど?」


「もう!そこは嘘でもそうだね、っというトコでしょ!!」



 抗議する様にアルベルトの首に強く抱き着くエリザベスだがその表情は明るいままだ。 



「ふふふ、そうだね。早くゆっくり出来る様にしないとね」



 柔らかな笑みのまま決意を新たにするアルベルトであった・・・


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