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守護霊様は賢者様  作者: 桐谷鎭伍
結婚編
156/179

戦いの準備

「そうか、考えてみればそれが妥当かもしれんな」


「はい、父上。ここならジョゼルもカリュアーもいますから」


「ちょっと待て、守護龍(ジョゼル)は判るがカリュアーとは?」


「え?カリュアーはカリュアーですよ?森を統べる樹妖精(ドライアド)です」


「「聞いてないよ!?」」



 さっきまで頑なに攻勢を主張していたメネドールがアルベルトの一言でアッサリと考えを変えた事にも驚くが、アルベルトの発言に聞き逃せない言葉を聞いたジオブリントとアクセルが問い詰める


 守護龍(ジョゼル)に関してはジオブリントが懇願して儀式を偽装しているので知っているが、聞き覚えの無い名前にまた今度は何をやらかしたと不安に思ったのだろう



「その樹妖精(ドライアド)・・・勿論普通のドライアドじゃないですよね?」


「??セイレケの街が出来た時から森にいますし問題ないと思いますけど・・・呼びましょうか?」


「「呼ぶ!?此処に!?どうやって??」」


「カリュアー、今暇?」


「 呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃ~ん。って、反応悪いわね?」


『ほっほっほ。ちとセリフが古いの』



 他のドライアドを知らないアルベルトの常識ではカリュアーこそが普通のドライアドだが、通常のドライアドは森の中から移動する事は無い。 いくらセイレケの隣にある森とは言え、此処まで距離があってしかも呼ばれて直ぐ出てくる樹妖精が普通の訳が無い



「はぁ~やっぱりアルベルトじゃな」


「ええ、こればかりは・・・」


「なに?私の顔になんかついてるの?なんか失礼じゃない!?」


「なんか・・・扱い酷くありません?」


「まぁアルのやる事だしな。初めまして大精霊殿。アルの父のメネドールだ」


「あら、アルちゃんのお父さん?よろしくね」



 隣の森に大精霊が住んでいる事も、それが呼び出したら直ぐ出てくる程仲良しなのも、アルベルトなのだから仕方ない。 そんな割り切り方に若干不満を覚えないでもないアルベルトであったがメネドールにまで言われてしまえば色々身に覚えがあるのでそれ以上何も言えなかった



「サウスバーグの領軍も此方に廻そう。カルルクとバイマトに鍛え直して貰わんとな」


「我々が出来る事は?」


「そうじゃな、貴族共を押えてくれるか?自分の処の領民が移動してる事が気に食わんらしい」


「判りました。どうにかしましょう」


「それだけか?こう、もっと戦力とか武器とかなんかあるじゃろ?なんなら国宝の剣とか杖とか有るぞ?」


「う~ん、武器はセイレケ産の方が質が良いし、戦力って言っても・・・」


「いい加減諦めろ!持参金の代わりにはならんからな!」


「うう、儂の小遣いが・・・国王なのに小遣い減額っておかしいだろ!?アルも気を付けるんだぞ」


「自業自得です!」


「ははは・・・」



 挨拶が終わった処で帰って行ったカリュアーを見送ったメネドールは、早速神国との戦いに備えた行動を移す様だ。 サウスバーグ領の両軍は王国一の練度を誇るとはいえ、カルルクやバイマトに扱かれているセイレケの守備隊よりはやや劣るので、交代で訓練させるつもりの様だった


 アクセルも国としての支援を申し出るが、実際にセイレケやサウスバーグ領に今更支援の必要性は余り無い。 それよりも自領から領民が流失したと文句を付けてくる貴族達を押えてくれた方が正直助かる。 自分達で領民を絞ったが故に脱出していると言うのに文句を付けてくる貴族が多くて煩かったのだ


 だが、それではジオブリントは色々困る事があるらしく簡単には引き下がろうとしないがメネドールに釘を刺された上にアクセルには見放されると散々であった・・・




 ☆△☆△




『それでは、実際に計画を練らんとな』


「うん、カルルクとバイマトは予定通り引継ぎをお願いね」


「うむ、最近何かとサボろうとしよるから丁度良い」


「チッ爺さんが煩いからだよ。それに最終的には少数で乗り込むんだろ?」


「それも交代じゃな」


「歳を考えろよ爺さん!」



 カルルクの後継として将軍職の移譲を進めてはいたのだが、何だかんだと理由を付けていなくなるバイマトのせいでサッパリ進んでいなかった。 尤もそれは二人の将軍としてのタイプの違いであり実際にバイマトが指揮をしても然程問題が有る訳では無い


 だが、将軍職を名乗れば自由が利かなくなるのは事実だ。 これから()共に出かけたいと、これから()一緒に出かけたいという思いが微妙な駆け引きを産んでいるだけの話で、その為に移譲が進んでいないだけだ



「私が魔法兵を預かって良いの?」


「うん、って言うかカイヤにお願いしたい。一応はサームにも頼むかもしれないけどね」


「ちょっと、引っ掛るわね?」


「えっと、ほら、べスの才能に付いて行くのは大変だからね」


「ん・・苦しい?」


「うっさいわね!でも指揮なんかしてたらアルと一緒にいれないから良いわ」



 エリザベスと共にセイレケに入った魔法兵達は、セイレケで採用した者達も加入して当初よりも数が増えていた。 その為、エリザベスのお付きとしての一部を除いてセイレケの防衛戦力として数に入っている


 本来ならば魔法神の加護を受けている優れた魔法使いとしてエリザベスが指揮をするのが筋ではあるが、逆に魔法神の行き過ぎた加護のせいで通常の魔法兵と常識が合わな過ぎるのだ


 本来はその辺りを考えた上で指揮をするのが指揮官だ。 だが、そんな難しい事を彼女が出来る訳が無いのは判りっ切っている。 とはいえ、例え皆が判っている事でもアルベルトには面と向かって言う勇気は無かった



「私兵隊の方は順調かな?」


「ええ、マーリン様に教わった盾突撃(シールドチャージ)もバッチリですよ」


「うん、部隊の再編も含めてサームに任せるからお願いね」


「はい、お任せを」



 元帝国軍人を元に作られた私兵達もその数を増やし、現在では複数の隊に別れて運用されている。 元となった帝国軍人たちが隊長となってマーリンが与えた知識を元に新しい戦い方を模索していた



『あとはアル達の特訓じゃな』


「うっ!・・・特訓じゃなくて訓練にしておいて欲しいわね」


「ジョゼルの迷宮だけじゃ足りない?」


『実戦訓練には丁度良いがの。じゃがあそこは時間を置かんと敵が弱いからの』



 ジョゼルの迷宮は彼女が放つ余剰魔力によって生まれた魔物達と戦う事になる。 その為一度倒すと次の魔物が育つまでに時間が掛かってしまうのだ。 最近ではウマルのストレス解消だけでは無く私兵隊の面々も潜っている為、闇落ちした古龍の様な強敵が現れる事は少なくなっていた


 倒された魔物達が放つ魔素のお蔭でジョゼルの成長は進んでいるのだが、正直、今のアルベルト達の実力を底上げするのは無理だろう



『それになチャンにも準備もさせておるから心配せんでも大丈夫じゃ』


「お任せください。 最高の訓練になる様に準備しております」


「また、いきなり・・・まぁもう慣れたけどさ」


「執事の嗜みですので」



 相変わらず、気配を絶って突然現れる人造生命体(ホムンクルス)の執事。 最近ではアルベルトも慣れてしまってはいるが、それでもその気配を感じる事は未だに出来ていない


 もう、彼に教皇を暗殺して貰った方が諸々の問題が解決するのではないかと考えてしまう



「よし、それじゃあ各自準備は怠らない様に」


『ほっほっほ、久しぶりに腕が鳴るわい。賢者式教育法の真髄を見せようとするかの』


「・・・マーリンは程々で良いからね?」



 アルベルトの言葉に各自が頭を下げて部屋を出て行く。皆、その顔はやる気に満ちており戦いの前だと言うのに凛々しい物であった


 それを見送るアルベルトも誇らしげにウンウンと満足そうであったが、自分の頭上でやる気になっている伝説の賢者(やり過ぎ賢者)には無駄と判りつつも自重をお願いするのであった・・・


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