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守護霊様は賢者様  作者: 桐谷鎭伍
第四章 動乱編
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閑話 人見知り王女様の野望

「はぁ、行っちゃった・・・」


「姫様、今更後悔しても遅いですよ・・・」



 宮殿のバルコニーからアルベルト達を見送ったレベッカ王女の呟きをお付きの騎士であるジェニーが呆れた様に諭す


 せめて宮殿の出口でお見送りしておけば次に繋がる可能性もあったかもしれないのに、結局は兄であるアレクサンドルに任せてバルコニーから見送っただけであった


 それでも優しい隣国の青年はバルコニーに向かって手を振ってくれていたのだが、それにすら小さく振り返すだけでは実際に彼の眼に届いていたかどうかすら怪しかった



「はぁ・・・どう考えても優良物件だったよね」


「だから言ったでは無いですか!もっとガンガン積極的に行くべきだと」


「そうは言うけど何を話せば判ら無いし、変な事言って嫌われたら・・・」


「余計な事を考えすぎるのが姫様の悪い癖です!内容なんてどうとでもなるんですからグイグイ迫れば良いんです!!」



 逃がした魚が大きい事を自覚しているだけに落胆も大きいレベッカ王女。 アルベルトとそう歳の変わらない彼女であったが未だ婚約者が決まっていないのが大きな悩みの種であったのだ


 確かに小国群の中では規模も大きく豊かな国であり格式と伝統を備えた小国群の中心的存在のチュバル公国ではあるが所詮は小国群の中での話であり、他の国ならば精々が侯爵家程度、若しくは裕福な伯爵家よりも小さい経済規模であった


 元々が古代王国の大公家が祖である為に当時の跡継ぎ問題の絡みでその領地は地理的に言っても物流の中心からは外れた田舎に位置していた。 その為、言い方は悪いが豊かで長閑ではあったが逆に言えば戦略的価値の無い伝統だけの国と言っても過言では無い


 しかし、だからといってレベッカ王女自体はそんな公国に不満が有る訳ではない。 平和で民衆と共に歩む自らの国を愛しており、それを収める大公家の一員である事を誇りに思っていた



「で、どうするのですか?油断しているとアッという間に適齢期は過ぎてしまいますよ!?」


「わ、判ってるわよ!!大体ジェニーだっていい歳じゃないの!」


「そう思うならば早くお相手を見つけてください!!主人よりも先に従者が婚約する訳にはいかないんでよ?」


「うっ!それを言われると・・・」



とはいえ、適齢期というリミットが差し迫ってくればそんな事も言っていられないのが現実だ。 ゲンカの事が有ったために考えなくて良かった問題が、解決と共に彼女の肩に重く圧し掛かって来たのだ


 王族の結婚が大恋愛の末というのは非現実的であり、そこにはどうしても政略的な意味が発生してしまう。 判り易い例でいえば同盟関係の強化に繋がる婚姻外交などがあり、事実まわりの小国群からの申し込みが無い訳では無い


 だが、都市国家に過ぎない小国群へと嫁ぐとなれば衛星都市を持つ公国と比べて格下過ぎるのが問題であった。 要は受け入れる側には公国の後ろ盾というメリットがあるが公国側には殆どそれがない


 しかも帝国に変わった神国が小国群を脅かさない保証はなく、前線になるであろう都市国家に嫁ぐと言うのは勘弁して欲しいのが本音であった


 幸いにして、そこは父である大公やアレクサンドル王子も同意見でありやんわりと断ってくれているようだ


 もう一つの有力な嫁ぎ先が家臣への降嫁であろう。 婚姻という繋がりで末代までの忠誠を得られるならば公国側にもメリットもあるし、大公家からの援助も期待できるだけ生活もそう変わらないで済むだろう


 しかし、公国の規模から言ってそこまで譜代の家臣がいる訳では無い。 いるにはいるのだが年齢や功績の点から適任な者がいないのだ。 


 結局は国としては中途半端であり、しかし大公の一人娘という肩書だけは立派なので相手が見つからないのだ



「セイレケの街の規模だけでも公国を凌ぐでしょう、更に養子とは言え辺境伯家の跡継ぎで容姿端麗、性格も優しいとなれば、文句ない嫁ぎ先でしたのに・・・」


「そうなのよね~。きりっとしたお顔立ちなのにどこか幼いと言うか・・・一言で言えば可愛い?」



 王女と只の貴族では肩書の面では釣り合わないかもしれないが、実際には公国の規模を考えれば十分であり、サウスバーグ領とはべレス山脈を挟んでいるとはいえ山道もあり隣合わさっている事を考えれば結びつきを強くするのに望ましい相手だ


 王国も流石に王家の王子では問題が有っても辺境伯家という事であれば格の上では文句は無いだろう。 しかも第三王女であるエリザベスがいるのだからそれ以下の序列である第三夫人という事であれば寧ろ喜ぶ筈である



「それに、夜の方もかなりお上手なようで・・・」


「ちょっと!いきなり何を言い出すの!?」


「大事な事でございますよ?その点アルベルト様でしたらお二人の婚約者をご満足させてたみたいですし・・・」


「うん、アレは凄かったわね」



 所構わずと言うと語弊があるのだが、まぁあちこちで《お楽しみ》であったアルベルト達の様子を覗き見でもしたのだろうレベッカ王女とジェニーはその凄さも理解していた様だった



「エリザベス様で良いという事は姫様のお胸でも・・・」


「う、うるさいわね!・・・でもエリザベス様よりは有るんだし」


「そうでございます。大事なのは形と感度です!!」



 本人が聞いたら怒るであろう事だが、サイズの似ているエリザベスで大丈夫であればレベッカ姫の慎ましやかなお胸も認めて貰える筈である


 実際、アルベルトは小さくとも大きくとも気にしない性質なのでそこは問題ないが、だからと言ってそれで婚約者になれるかは別の問題なのだが盛り上がる二人は気が付いていない



「これは直ぐにでもセイレケの街へと突撃しましょう!!」


「い、いや、流石にそれは・・・」


「大丈夫です。エリザベス様ならばきっとご理解してくれます」


「そ、そうかな!?」


「はい、姫様とエリザベス様は心の友(ソウルメイト)ちっぱい(・・・・)連合の結束の為ならばお力を貸してくれる筈です」


ちっぱい(・・・・)言うな!!」



 抑々の問題は人見知りを拗らせて上手く話せなかったのが原因で距離を縮められなかったのに、そこが頭から抜けた主従は秘蔵の勝負下着(セクシーランジェリー)まで取り出して盛り上がる


 因みに判った様な事を言っているジェニーも未婚の女性であり、そう言った経験がある訳ではない。 しかも《お楽しみ》になる場合の殆どが二人の婚約者側からでアルベルト自身は案外淡白な方だという事を二人は知らない



「ふふふ、これならアルベルト様もイチコロね」


「完璧です姫様!悩殺間違いないです!!」



いくらアルベルトをイチコロで悩殺できる下着であっても、それを見せる処まで辿り着くのが課題だという事に気が付いていない二人


 結局、再開した時に何を話すかを考えないままに突っ走る二人のセクシーなファッションショウはメイドが食事の時間を告げるまで続いたのであった・・・



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