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守護霊様は賢者様  作者: 桐谷鎭伍
第四章 動乱編
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逢魔が時~④

「残りは三匹!俺はコッチにするぞ」


「ん・・・狡い」



 既にバイマトとヴィクトリアの活躍?で魔物の残りは洗脳された三匹だけになっていた。 残念ながら当初の目的を忘れている二人は思う存分暴れただけなのは言うまでもない


 しかも最後に残った三匹の内で一番強そうな相手に嬉々として向かって行くバイマトと、獲物を取られて悔しがるヴィクトリアの様子からは当初の目的が抜けているのは間違いなかった



「へっへっへ、久しぶりに手応えありそうな相手なんだから楽しませてくれよ?」


「ギャオオオオ!!」



 残っていた三匹はオークキングにゴブリンロード、そしてマスターオーガだ。 それぞれ上位種であるが元々の強さで言えばオーガが一番強く、当然同じ上位種ならばオーガの上位種であるマスターオーガが一番強い


 バイマトは早い者勝ちとも言っていた様に強い相手と戦いたいのかマスターオーガに照準を定めると大剣を片手に突っ込んで行く  


 対するマスターオーガは手にした金属棒を両手に構え護りを固める。 本来オーガには大した知能は無いとされているがマスターオーガクラスになればそれなりに知恵もつく。 これまでの戦いでバイマト達の実力を見抜く程度の事は出来ているのだろう


 抑々、アルベルト達はウマルを除いてドラゴンと戦ったこともあるのだ。 確かに上位種も含めた魔物の群れは脅威であるが彼等の実力で考えれば本来そう難しい相手ではない。 個々のステータスにLVという物が有る以上、そこに一定以上の差が有れば実力差が覆ると言う事は早々ないのだ


 洗脳された魔物の集団という事と雑魚一匹でも逃がす訳にはいかないという事で慎重に戦う必要が有ったとはいえ、残りが三匹になれば思い切って戦える状態にはなっていた



「ギギンッ!」


「おっ!思ったよりやるじゃねぇか。それならこれでどうだ?」


「ガァア!?」



 無造作に放たれたバイマトの一撃は巨大な金属棒を両手で構えて守りに入ったマスターオーガに弾かれる。 寧ろそれで更に笑顔を深くしたバイマトは弾かれた勢いで身体を回すと遠心力も味方につけて再度斬り付ける


 殆ど悲鳴のような声を上げながら再びそれを弾こうとしたマスターオーガ。 しかし今度のバイマトの攻撃は粘りつく様な柔らかさでマスターオーガの金属棒にへばり付く。 そこから一歩踏み込んだバイマトはマスターオーガとの力比べを楽しむ様に大剣を押し込む


 仮にドラゴンを倒す実力があろうとも、普通は魔物と力比べをしようとする冒険者はいない。 通常種のオーガでさえその膂力は人のそれを遥かに上回る。 ましてや上位種のマスターオーガともなれば腕の太さだけでも人の胴回りよりも太いのだ


 だが、実際には闘気を身体に纏わせたバイマトの身体能力はマスターオーガに引けを取らない。 両手で上段から押し込むバイマトに対して両手で金属棒を横に構えて受けたマスターオーガが苦痛の呻きを上げる


 お互い額に青筋を浮かべながらの力比べは、笑顔のバイマトと苦悶の表情のマスターオーガを見ればどちらが上かは一目瞭然だろう、徐々にマスターオーガの姿勢が大地に押し付けられていく



「ん・・・じゃあこっち」


「ゴブゴブッ!」


「ん・・・邪魔!」


「ゴブォ!?」



 バイマトに一番強い獲物を取られたヴィクトリアは次点で強いオークキングに向おうとするが、横合いから飛び込んできたゴブリンロードの突撃に邪魔をされる


 ヴィクトリアにしては珍しく受けた不意打ちに、思わず愚痴とも取れる言葉を残して手甲で弾いた動きのままにゴブリンロードの懐に飛び込み下から捻り上げるように肘撃を加える


 鳩尾に入ったその一撃はゴブリンロードの身体が浮く程の威力を秘めており、そのまま身体を廻したヴィクトリアの回し蹴りが苦悶の表情を浮かべるゴブリンロードの顔面を歪める



「ん・・・止め!」


「ゴベッ!」



 回し蹴りから宙を舞ったヴィクトリアの踵落しが横に歪んだゴブリンロードの顔を縦にへこます。 太い首に頭がめり込んだ状態のゴブリンロードの身体は大地と挟まれてその身長を短くして息絶える



「チッ!お前が粘るから嬢ちゃんに先越されちまったじゃねぇか!!」


「ギャフ?」


「重爪両断斬!!」



 自ら進んで力比べを楽しんでいたバイマトの八つ当たりに抗議の声でも上げたかっただろうマスターオーガは、しかしバイマトの前蹴りで体勢を崩した処を肩口に置いた大剣に闘気を乗せたバイマトの振りかぶった一撃で両断されてしまう



「決着は残りを倒した方だぜ!?」


「ん・・・負けない!」


「ちょ、ちょっと二人とも!!」


「ブ、ブモォ!?」



 アルベルトの制止は、しかし血走った目のハンターたちには届かない。 狼狽えるオークキングが構えるよりも早く振るわれた大剣がその首を斬り飛ばし、闘気を纏った拳がその身体に大穴を開けていた



「二人とも!!生け捕りの約束だったじゃない!!」


「「あ・・・」」


「あ、じゃないよ!!どうするのコレ?」



 抑々、捕まえて調べれば何か判るか聞いたのはバイマト自身であったと言うのにその事がスッカリ抜け落ちて戦いに夢中になっていた彼には、ヴィクトリアとの勝負しか頭に無かった


 もう一人のやらかした張本人であるヴィクトリアも早い者勝ちの言葉しか残っていなかったのか珍しく熱くなった様で、アルベルトに言われて気まずそうな顔で目を合わせようとはしない



「い、いやほら・・・上位種だし油断するのは危ないかな?って思ってさ」


「ん・・・油断大敵」


「いや、明らかに楽しんでたよね?」


『ほっほっほ、まぁ良いではないか。死体からでも判る事があるかも知れんしの?』


「まったく・・・バイマトはいつもの事だとしてもヴィクまでやらかすなんて」


「ん・・・欲求不満」


「いや、欲求不満って言われても・・・」


「ん・・・構ってくれない」


「そ、そんな事ないよ?」


「そう言われれば最近御無沙汰よね」


「しょ、しょうが無いじゃないか!他人様の家だったり野営だったりで・・・」



 思わぬ方向から攻められた上に加勢まで現れたアルベルトの旗色が一挙に怪しくなる。 本来ならば彼の主張に間違った処は無い筈なのにエリザベスが加わった事で何故か非難され始めた上に自然と正座の姿勢に移行させられていく 



「なんか地味に俺もディスられてない?」


「アンタの場合、本当にいつもの事なんだからしょうがないでしょ!」


「そうですね。まぁバイマトが生け捕りなんて初めから無理でしょう」


「クッ!こっちも味方はいねぇのか」


「味方というか・・・」


「原因はアンタだし・・・」


『ほっほっほ、昔から逢魔が時には気を付けろと言うしの』



 逢魔が時、赤から紫に変わる空は不吉を運ぶと言われているが果たして不吉に見舞われたのは魔物だったのかアルベルトだったのか・・・



「なんで僕が怒られないといけないの~!?」



 アルベルトの叫びが黄昏の空に響くのだった・・・

昨日は投稿できなくてすいません


休日の方が執筆の時間が取れないと言うジレンマ・・・


仕事の場合、予定とかアポイントとかで時間が読めるんですけど、休日で連休となると却って時間が読めなくなるんですよね~

まぁ久しぶりに会う友人や親せきに帰れとも言えなくて・・・


連休も残り二日頑張りますのでよろしくお願いします

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