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・・・でも、かわいい子は多いよね。

ぜひ、楽しんで下さい。

目が覚めるとそこは真っ白な世界だった。だからといって、そこに何も存在していないわけではない。なぜだか顔の整った美男美女がスーツを着て働いている。


「すいません。後ろ詰まってるんでどいてもらえますか。」

「あああ、ス、スミマセン。」


どうやら、自分の立ち位置が悪かったようで職員さん?に怒られた。

しかし、どうしよう。ここがいったいどこなのか見当がつかない。とりあえず、何歩が歩いてその場を離れる。すると、自分がさっきまで立っていた場所に突然人が現れる。そして、その人は自分がどこに行けばいいのか知っているような確かな足取りでその場から立ち去っていく。


う~ん・・・これからどうしよう。誰かに聞けばいいんだけど・・・。


ここで働いている人は皆忙しそうでなかなか話しかけるタイミングがつかめない。その間にもさっきの場所に同じように人が現れてどこかへ歩き去ってしまう。


すると突然後ろから肩をトントントンとたたかれる。かわいい叩き方だな~と思って振り向くと頬に人差し指が当たる。・・・こ、これは!

懐かしい、なぜか懐かしい。もしかしたら以前にもされたことがあるようなこの甘酸っぱい感覚。

しかし、思い出せない。こう、もうすぐ思い出しそうなのに、喉あたりまで来てるのに無理矢理押し戻されているモヤモヤした気分だ。


「どうかなさいましたか?」

どこかイタズラを楽しんでる節の口調で女性職員が尋ねてくる。


「・・・え?・・・あ、あの~僕って、どこに行けばいいと思いますか?」

彼女の美しさに見とれてしまい、たどたどしく聞いてしまう。そんな僕に彼女はクスッと笑うと、

「お名前、教えてもらえますか?」

「ああ、名前ですね。・・・・・・え?名前ですか。ちょっと待ってください・・・・・・あれ?」

なぜか名前が出てこない。さっきまで憶えていたのに!


「君の名前は秋葉紅葉あきばもみじだよ。忘れちゃダメじゃないか紅葉。」

いつの間にか隣に立っているイケメンに名前を教えられた。そうだ、男なのになぜか紅葉。この名前をつけられたせいでどんな苦労にあったことか。しかし、苦労した内容は憶えていない。漠然と体が憶えているだけだ。


「どうして、あなたは僕の名前を知っているんですか?あと、親しげに下で呼ぶほど仲がよかったんですか。僕、記憶がないらしくて憶えていないんですけど。」

「何言ってるんだよ。どれほど僕と夜を重ねたと思ってるんだい。酷いじゃないか!」

なぜかキレられる僕。というか、僕このイケメンと寝たのか?ウソだろ・・・・・・。

そう思うと、体が軽く痙攣けいれんする。・・・重症だ。


「ベットさん。嘘言わないでください。あなた700年以上前からここで働いてるじゃないですか。」

どうやら嘘のようだ。で、この人の名前・・・。

名前がベットってなんかもう恐いよ。


「なに、軽い冗談じゃないか。僕は彼の担当なんだ。君そろそろ行くぞ。」

急に話をまとめ始め僕についてくるように言う。


「えっと、どこに行くんですか。」

「ああ詳しいことは後で言うが転移室Bの49だ。・・・が、その前に寄るところがあるが。」

彼は不自然にサササっと歩き始める。彼の不自然さに未だ気づかない僕はそれに続く。が、向かう方向を見て女性職員さんが、


「どこに寄るつもりですか?」

「決まっているだろう。ベットだ!」


うわあああああぁぁ~~~~~


*******************


大きな部屋の前まで来た僕と女性職員さんは立ち止まった。


「ここが転移室Bの49です。」

「ありがとうございます。助かりました。あの~もしよかったら名前教えてもらえませんか?」

「そういえば、私まだ名乗っていませんでしたね。エミリーです。呼び捨てでかまいませんよ。」


ベットが僕をベットに連れて行こうとした後、エミリーはどこから取り出したのか金属のハンマーでベットの頭を思いっ切り殴った。頭蓋骨のつぶれた状態のベットを残したまま僕はエミリーにここまで案内された。頭蓋骨のつぶれたベットは時間が経てば元に戻るのらしい。というかエミリーの話によるとこの世界の住人は詳しく言うと人間には当てはまらないらしい。


「ではエミリーさん、改めてありがとうございました。僕はこのままこの部屋に入ればいいんですか。」


僕の心の強度的に呼び捨ては厳しい。だから、さん付けで。

・・・・・・きっと僕,記憶をなくす前もヘタレだったんだなあ~

そんな僕のヘタレ具合にエミリーはジト目で見てくる。そ、そんな目で見ないで~~~~


「そうですよ、ヘタレさん。では私はこれで失礼しますね。」


エミリーは僕をヘタレ認定して、去って行った。去る途中に彼女がおかしそうに笑っているのが見えたのがせめてもの救いだ。


気を取り直して目の前の大きな扉を見る。漆黒に塗り上げられたこの扉、高さは僕5人分というところか。

そんな威厳な風格を漂わせた扉に気押されながらノックを1度、2度、3度。


コン、コン、コン

だがしかし、しばらく待っても何事もなかったかのように扉はその場でたたずんでいる。

ノックの仕方が悪かったのだろうか。だが、開けてもらわないとずっとこのままだ。それは非常に困る。

何が困るって、ベットが復活して僕をいつ襲いに来るか分からない。


コン、コン、コン


・・・・・・


コン、コン、コン、コン、コン、コン


・・・・・・


ドン、ドン、ドン


・・・・・・


この野郎!全然反応がないじゃないか。いったいどうやって開けるんだよ。

すると、突然足音が聞こえた。それもすごい勢いでこちらに向かってくるような・・・ひぃっ。

見るとものすごい速さで近づいてくるベット。もう、待ちきれないのか走りながらスーツを脱ぎ始めている。その行動が僕を慌てさせる。


「・・・・・・た、たすけてください。あ、あけて・・・早く。」


必死になって扉を叩きまくる。きっと、生まれてからこんなに扉を叩いたのは今日が初めてだ。

だが、そんな僕の気も知らず扉はまるで眠っているんじゃないかというほど静寂を保っている。

・・・たのむ、早く、早くしてくれ。これが一生に一度のお願いでいいから・・・。

でも、結局ベットが来る最後の最後までその願いは届かなかった。


「紅葉、待たせたね。初めてなんだろ?分かってる。分かってる。大丈夫だ。僕がしっかりリードしてあげよう。」


その、僕のことは何でも知っているよ的な話し方が非常にうざいが、それ以上に恐怖が大半を占めている。抵抗しようにも、僕の足はガタガタと震えている。その間にどんどん距離を詰めてきて彼の顔はすぐ側にある。そして、手を僕の服に伸ばしてきて・・・

僕は最後の抵抗と必死に目を閉じる。服の擦れる音が聞こえてくるがそれでも目を閉じ続ける。やがて、その音は止まる。どうやら、もう脱がされたのか。不思議なことに身体は何にも感じない。まるで身体も諦めが付いたようだ。


「・・・あの~君たちこんなところで何してるの?」


突然、女性の声が僕の耳に届いた。目を開けると驚いたようにこちらを見ている美女。さらに、体からは神秘的な光が溢れ出ている。そして、胸に付いているバッチには「転移室Bの49担当」と書いてある。

・・・いや、お前かよ!

彼女のオーラといい胸のバッチといい推測するに神様なのだろう。

ベットは驚いたまま固まっている。

しかし、よくよく見ると呼吸をしていない。つまり、この神様が何かしらの力でベットを固めたに違いない。


「助けてくれてありがとうございます。でももっと早く来て欲しかった・・・。」

「あ~もしかして君この部屋の子?ゴメンゴメン、ちょっくら昼飯食べててさぁ~エヘヘ。」


神様は僕の前のベットに手をかざすとベットは一瞬で消えてしまった。

ようやく恐怖から解放されて落ちていた服を着直す。

・・・随分としわくちゃにしてくれたもんだ。


「あのさ~一応確認だけど止めない方がよかった?心の中でいやがっているように見えたから止めたけど・・・。」

「いや、本当に助かりました。できればもっと早く来て欲しかったけど・・・。」

「君さぁ~早く来て早く来てってもうちょっと自分でどうにかしないと。」

「無理ですよ。いきなりこんな場所来て何がどうなっているのか分からない状態でホモに襲われたんですよ!しかも扉が開かないし!神に頼んでも全然来ないし!」


神様は僕の愚痴を聞いて驚いた顔をした。


「もしかして君、前世の記憶ないの?」


・・・前世?

それじゃあまるで僕は死んでるみたいな言い方じゃないか。

確かにおかしいとは思っていた。まるで天国みたいだとも心の奥では思っていた。でも、本当に死んでいるのか。・・・それはこわい、恐い、恐い。

今更だけど、心の奥に深い暗闇ができたかのように恐怖が渦巻いている。


「・・・僕、死んだんですか?」

「そうだよ、詳しい話は部屋に入ってからね。」


神様はあっさりと部屋の扉を開けて部屋に入った。そして僕もそれに続く。

部屋に入るとそこにはソファーやテーブルなどがあり、中心に場違いに大きくサークル状に線が引かれていた。その線の中は複雑に描かれている。


「あの、これは何ですか?」

「ああ、それは魔方陣だよ。その上に乗ると異世界に転移できるんだよ。まあ、その前にいろいろしなければならないことがあるから、取りあえずそこに座って。」


近くのソファーを指さされたので座っていると神様はお茶を淹れて僕の前に腰掛けた。


「じゃあ、まず必要な記憶を戻していこうか。」


まず、記憶を戻すにあたって必要な記憶とそうではない記憶とに分ける必要がある。この世界に来た人は自動的に記憶を選別されるが中には僕みたいに全てを忘れてしまう人がいる。そうした人間に神様が直々に選別する。


「はい、出来た。事前に言ったとおり知識だけ思い出せるようにしたよ。」


記憶を戻すとき人間関係などを戻してしまうと前世に未練などが生じて新しい世界に移動できない。そのため、神様は秋葉紅葉の大学生までの知識のみ戻したのだ。


「ありがとうございます。」

「いいよいいよ。それで次の話に行くと、君にはこれから異世界に行ってもらう。目の前の魔方陣に乗ってね。」

「異世界ですか?それは生まれ変わる世界ですか?」

「いいや、違う。今の君のまま行くんだ。とはいっても少し年齢は下げるけどね。」


―――十八歳ぐらいにね

と神様は笑いながら話す。


神様の話をまとめると、異世界に行ってその世界を見定めてほしい。そして、善悪を判断し必要ならば介入してその世界をよりよくして欲しい。そして、異世界に行くに当たって僕にいくつか質問があるのらしい。


「まず、いきなりだが君に行ってもらう異世界がまだ決まっていない。どういう世界に行きたい?」

「どういうって言われても・・・安全な世界とか。」

「あ~残念だがどの世界も危険だよ。」


・・・そんな、でも確かに日本より安全な世界があるはずもないか。


「じゃあ―――」


僕が選択しようとした矢先神様は、


「一つ言わせてもらう。君は一度死んだんだ。だから、いわばこれは本来ならあり得ないことだ。君も男として生きてきたのなら、そしてこれからも生きていくのならより厳しい世界にチャレンジしないか?」


と、優しくしかし強く語りかけてきた。

確かにそうだ。知識として知っている僕の前世は大変なことから逃げてきた。生まれついて人よりも器用だったせいか、自分のことは天才だと勘違いして努力はせず、つらいことは言い訳してきた。

そうだこれはチャンスだ。自分を変えるチャンスだ。


「分かりました。一番厳しい世界でお願いします。」


神様はニヤッと笑うと、


「それでこそ男だよ。」


ぎゅ~~~っと抱きしめてくれた。そのした神様の香りは一生忘れることはないだろう。

神様が席に戻ると、懐からとあるカードを取り出した。


「これは、向こうに行く上で必要なカードだよ。君の身分が証明できる。あと、向こうの世界に行ったらギルドと言う場所に行くといい。いろいろ説明を聞けるはず。」

「・・・ギルドですか、分かりました。」


僕は渡されたカードをしまう。そして、置かれていたお茶を一口・・・おいしい。


「次に、転移についてだけどさっきも言ったようにあの魔方陣に乗ると異世界に行ける。そこで、まず魔物の倒し方を習ってもらう。そして、それが終わったら必要な物をもらって解散。好きに生きて下さい、というながれだね。」

「・・・誰に習うんですか?あと、必要な物とは?」

「向こうにいる僕たちの仲間さ。・・・あ、習うと言っても一人じゃなくて何人もの転移者と一緒にね。必要な物は主にお金、服、武器などかな。」


他に聞きたいことはない?と神様は付け足した。

なるほど。てっきり一人で転生だと思ったが違うのか。


知りたいことは山ほど合ったがどちらにしろ行ってみないと分からないだろう。そう考えて、首を振る。


「さて、じゃあ最後に能力の受け渡したけど、ここで私からあげられる能力は限られている。」


神様は手を突き出すとそこから神秘的な奔流が発生する。その流れは僕の方に近づいて優しく体に吸収されていく。


「これは向こうで普通に話すための翻訳機能と、向こうの平均的な能力。努力次第で強くなれる。がんばってね。」

「ありがとうございます。」


いよいよ、話が終わり出発する。僕は、複雑に描かれたサークルの上に乗り、転生に備える。神様は魔方陣に魔力を送り始めた。


「一ついいですか?」

「ど~したの?」

「さっき、ここで神様からあげられる能力は限られているって言ってましたけどもしかして向こうでもらえたりします?」


神様は微笑んだ。それから、片目を軽く閉じてウィンクをきめて、


「がんばってね。」


そのまま、空間が歪んだかのように部屋の景色が動く。ただ、僕は最後の神様の表情が記憶に焼き付きそんなことは気にならなかった。やがて、側で感じた香りが僕から離れ、別に土のにおいのが混じった風の香りを頬に受けた。


・・・・・・ああ、僕は異世界に来たんだ。


どこからともなく聞こえてきた声は僕の身体に熱い刺激を走らせた。


どうでしたか?

次はいよいよ異世界編です。まだ、いつ出せるか目処が立っていませんが・・・


感想等よろしくお願いします。

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