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狼の気持ち『五』
昔、こいつに「神崎一狼は長い!」と言われ
『いっくん』 というあだ名をつけられた。
しかも、このあだ名を使っているのは
『あいつ』 だけだ
しかし、あの日から会っていないため
もう、嫌いになったかもと思っていたから
あいつが〝あだ名〟で呼んできたことに
すごく驚いた……。
俺は少し書くのをためらい
〝そうだよ〟
と、俺はメモにそれだけ書いた
何故たったそれだけ書くのにためらったのかは
あいつが俺と知った瞬間どう思うのか怖かった
嫌な顔をするかもしれない、怒った顔をするかもしれない
それほどのことを俺はしてしまったんだ
そう思ってしまうのが…普通だ
しかし、あいつはメモの内容を見ると
笑顔になっていた。
その反応に俺は少し驚いた
それと同時に(何故笑顔になる?こんな俺だぞ!)
と、思った