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狼の気持ち『一』
高校一年生 夏
あれからあいつと全く会っていない
と、いうよりも会いにくい。
あいつは『声』で話せなくなったから手話を覚えているらしい
俺も、罪滅ぼしなのかわからないけどあいつの言葉がわかるように手話を覚えている
しかしあの時からあいつと会っていない
会ったとしてもどう話せばいいかわからない。
だから俺は、あいつから逃げるように暮らし始めた
いつも通りの放課後
市民図書館にいた
この場所は俺にとって一番心が落ち着く場所だ
手話の教室がない日はいつもこの場所にいる
ここはたくさん本があるしそれに静かだ
俺にとってここは最高の場所だ。