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心の声『四』
放課後
今日も、手話の教室がないので
いつもどおりに図書館に行って
いつもどおりの席に座ろうと思ったが
『また、あいつが座ってた』
あいつは昨日と同じく問題用紙を机に広げ勉強をしていた
俺はあいつの邪魔にならないように
そっと後ろの席に座って
持ってきた小説を読み始めた
小説は現実とはありえないことを書いているから
その物語を想像するとすごく面白い
だから俺は小説以外の本はあまり好きではない
教科書にあるやつなんか読む気にもならないし
漫画なんて最初から物語がどう動いているかなんて
『目』でわかってしまうから面白くない
俺は目で物語を見るのではなく
『想像』で物語を見たいのだ。