花火 ~世界守護者の陥落~
私は世界の守護者。
絶対防護能力『永遠なる透明の力』により作ったドームで空を覆い、外敵の侵入を防いでいる。
今夜も『神蝕者』どもが、ドームを破ろうと無駄な努力を繰り返している。
空に浮かぶ、無数の光点が、その徴だ。
まあ、頑張ればいいんじゃない?
いささか呆れを含んだ感情で、私は思う。
これまでも同じような攻撃が繰り返され、同じように私は防いできた。
そうやって、この世界を護って来たのだ。
どれくらいって?
答えるなら――『久遠』としか。
でも、一瞬前。
突如始まった大攻勢は、これまでに無い規模のものだった。
青、赤、白、黄。
ありとあらゆる色彩が空にぶちまかれ、見る間にドームを侵食していく。
しかも、一度ではない。
轟音とともに、同じ規模の攻撃が何度も繰り返されるのだ。
しかも恐ろしいのは、これほどの攻撃が、陽動に過ぎなかったということだった。
「付き合ってくれないかな――俺の彼女に、なって欲しいんだ」
本命の一撃に、私は、あっさり敗北した。
「はい、お願いします。その……私でよければ」
こつんと彼の胸におでこをぶつけて、三秒待って、顔を上げて、そうして見た彼の顔は、非常に興味深い表情を浮かべていた。
いい気味だ、と私は思う。
これくらいのもの、見せてもらって然るべきだとも。
なにしろそれは――『世界』と引き換えに、得たものなのだから。
真のタイトルは「花火 ~中二病少女の陥落~」とか。
イラストは、こちらのサイトからのフリー素材です。
問題があれば別のイラストに差し替えます。
http://www.illust-box.jp/sozai/28297/