表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
騎士に拉致られた  作者: セラ
9/87

異世界でのお仕事4

「おはようございます、ミスティ様」

「おはよう、マイ。今日は何を作ったの?」

「今日は、フルーツを使ったタルトにしました。おやつの時間に食べましょうね。さて、今日は何をしましょうか……」

「そうねぇ……あ、そういえばお兄様から、騎士の人達の訓練場にも顔を出してやれって言われてたんだわ……」

「それじゃ、少し見学に行ってみましょうか?

タリウスさんに、許可をもらいに行ってきますね」

「うん!ありがとう、マイ」



 私は、ミスティ様の部屋から出てタリウスさんの執務室へ向かった。


 タリウスさんとティグリスさんは、騎士団の団長と副団長なので、王宮にある一室を与えられていて、そこで町の人達からの依頼が書かれた書類などの整理をする。

 騎士団には、時々町の人達から迷子の依頼であったり、最近起きている事件のことなどが主であるらしい。それを整理して、何人派遣するのか?誰を派遣するのかを決めているらしい。

実際に見たことがないから分からないけど……。


 チーズケーキを作った次の日から、タリウスさんは私がお菓子を作っていると、かなりの確率で現れるようになっている。

 最初は、1週間に1度くらいだったのが今では2日に1度になっている。

そんなに暇なのか?

 ティグリスさんに聞く限り、タリウスさんはかなりの女好きらしいのだが……。

 まぁ……実を言うと、チーズケーキを作っていた時に、タリウスさんから女物と思われる香りがしていたのだ……。その次の日、またお菓子を作っているときにふらりと現れたタリウスさんから、また香りがしたため私が“タリウスさん、さっきまで女の人といたんですか?”と聞くと、試食用にタリウスさんに出していたお菓子を、詰まらせたのかむせ混んでしまった。

そのあと、そそくさと逃げるように厨房から出ていった。

あれは、なんだったんだろう?

それから、タリウスさんからは香りがしなくなった。

かえって、気を使わせたかな?


そうこうしていると、執務室の前についた。


トントン


「はーい」

「私です、マイです」


返事をすると、中から扉が開きティグリスさんが出てきた。


「どうかしたんですか?」

「実は、ミスティ様と騎士の皆さんの訓練しているのを、見学しようかと思いまして許可をいただきに来たんですけど……」

「あ~なるほど、中へどうぞ」

「ありがとうございます。失礼します」


 中に入ると……執務机の上を書類で埋め尽くされ、鬼気迫る表情で判子を書類1枚1枚に押しているタリウスさんがいた。


「これは……」

「あ~……気にしないで下さい。ちょっと火遊びがひどくて、仕事が溜まりにたまってしまっただけですから」


…………怒ってらっしゃいますね、ティグリスさん。

初めて、笑顔の怒りを見ました……。

怖すぎます……、顔が綺麗な人ほど怒ると恐いっていいますが……。

まさに、それですね。


「団長のことは気にせず、先程の話を」

「あ、はい……」


 私は、さっきティグリスさんに話したことをタリウスさんにも話した。


「分かった……調整をするから、それが終わったら伝える……」

「わ、分かりました……それじゃ、失礼しますね……」

「マイ」

「は、はい!」

「…………お菓子を……」

「分かりました、持ってきますね」

「ありがとう……」



……重症だ。

 とりあえず、ミスティ様に今日は見学出来ないことを伝えて、それからおやつの時にタリウスさんとティグリスさんの分も用意して、持ってこよう。


「それでは……」

「はい、お菓子楽しみにしてますね」

「はい……ティグリスさん、お手柔らかに……」

「心得てますよ、この人の扱いは」

「は、は~……そうですよね」

「はい」

「では、また……」


私は、執務室から出る。

……………うん、ティグリスさんだけは怒らせないようにしよう。

私は、思った……。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ