拐われて3
ぐー……
「あー、お腹空いたー……。人質っていうなら、もう少し丁重に扱ってもいいんじゃ……」
拐われてから、何日経ったのかとか全然分からないけど、まともな食事摂ってないからな……。
パン1つだからな……。
カツカツ
あ、来たな。
今日は機嫌がいいといいんだけど……。
そんなことを思っていると、牢の鍵が開いてベルリーナ様が、綺麗な顔を歪めて苛立ちをあらわにしたように、中に入ってきて私を睨み付けてくる。
「どういうことですの?貴女、タリウス様の思い人なのでしょ!」
「何度も言ってますが、違います」
「嘘よ!ならば、どうして貴女のところになんてタリウス様が、毎日通うのよ!」
「そんなのしっ!!」
ベルリーナ様の右足が、私の左の脇腹を蹴る。
その衝撃で、私は冷たい石の床に倒れて咳き込んだ。
「ゲホッゲホッ……」
痛い……。伯爵令嬢なのに、こんなに蹴りが強いって、どうなの?
最近、ベルリーナ様は機嫌が悪く……今日みたいに、その憂さ晴らしに私を蹴ったり殴ったりして、すっきりしてから出ていくことが多い。
おかげで、私は身体中打撲の痕がすごいことになってると思う。
熱も上がってきてるみたいで、だんだん座ってるのもきつくなってきたな。
「もし、タリウス様が来なければ貴女は用無しよ」
そう言って、ベルリーナ様は牢から出ていった。
すっきりした顔で。
「お腹、いたーい……」
床が気持ちいい……。
ガチャ
牢の鍵が開き、誰かが入ってきた……。
誰……。
「大丈夫、じゃねーな……。熱すげーし、相当殴られたな……これ飲んどけ」
口に水と、薬?を入れられた。
自然とそれを飲み込んだ。
「よし、いい子だ。もう少し頑張ってくれ、必ず助けに来る」
そう言って、その人はまた牢から出ていき鍵をかけていった。
「タリウス、さん……」
ここ、分かったんだ。
もう少し待ってくれって言ってたけど、何かしてるのかな?
薬を飲ませて貰ったのは、ありがたかったけどできれば食べ物も欲しかった……。
眠くなってきたな、薬が効いてきたかな?
あー、身体に力入らない……。1回寝よ。
そしたら楽になるかな、今、色々考えてもまとまらない気がする。
そして、夢の世界へ入っていった。
昨日は投稿できずにすみません。
そして、ブクマしてくださっている方、ここまで読んで下さった方、ありがとうございます。
これからも、よろしくお願いします。