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夢の魔

わたしときみのあかい糸

作者: 緑麿
掲載日:2016/06/11

わたしがきみの目をのぞいたら、きみは黒目だけ右にそらした。



わたしがきみの手をさわったら、きみは背中の後ろにかくした。



わたしがきみの足を踏んだら、きみはよろけてしりもちをついた。



わたしがきみのからだの上をまたいで立つと、きみはそのままゆっくりと後ろにさがった。



わたしがきみにいやなの?ときいたら、きみは、さがるのをやめてなにもこたえなかった。



わたしがきみの上に乗ると、きみはふるえる両手で顔をかくした。



わたしがきみの両手にわたしの両手を重ねたら、きみはぎゅっとにぎってきた。



わたしがきみの力のつよさにおどろくと、きみはナミダを流してわたしをつきとばす。



こんどはわたしがきみに見下ろされて、きみはナミダをわたしにふらす。



あいしたくない、ときみが言う。


いいよ、とわたしがこたえたら、きみはさらに泣きだした。



ぼくをくるしめるな、ときみがわたしのよこに座り込む。



わたしは起きあがり、きみのあたまをなでると、きみはうらめしそうに、にらんでくる。



こわいよ、とわたしが目をそらすと、きみは笑いだした。



わたしはよくわからなくて、わらえないでいると、きみはわたしをやさしく抱きしめた。



ぼくのほうがあなたをこわがっている。



満開の桜の木の下で、わたしはそっとかくしていた鋏をとりだした。



あいがこわいなら、あいをできないなら、わたしときみはここでしのう。



こんなこころのままなら、はなれてなんて生きられない。



わたしが鋏をかまえると、きみはこのうえなく幸せそうにめをとじた。



わたしときみのつないでしまったあかい糸。


切ると血がながれるのかな?



桜が舞い散るこの世の片隅で、私と君は、さようなら。



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