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幸福の見つけ方  作者:
2/3

スタバ編①

結局、ケーキを三つも買ってしまった。

店員に勧められたフランボワーズ何とかと、450円のケーキ二つ。

父は毎晩仕事で帰りが遅いし、今日に限っては母も友人と会っているから遅くまで帰って来ない。だから私の分のケーキだけでも良かったのだ。しかし、高いケーキを一人分だけ買うという何とも寂しいシチュエーションを避けたくて、三つも買ってしまった。

気にしなければ良いことを、ぐじぐじ考えてしまう年頃なの。

そういう事にしておくの。


店を出ると、すっかり辺りは暗くなっていた。秋の夜は冷える。昼間はまだ夏の陽気を思わせても、夜になると途端に刺すような木枯らしが吹き、冬の訪れを予感させるのだ。

冷たい風は、今の私には非常にきつかった。熱でぼーっとする頭。ひりひりする喉。

仕事で疲れているし、家に帰っても誰もいないし。チャッピーはいるけど…。

夕飯を作って食べるほどの気力もわかないし、そこのスタバでスコーンかビスケットでも食べて済ませてしまおう。


よくよく考えれば、ケーキを購入しているのだから早く家に帰って、ケーキを冷やすべきだし、ケーキを食べるのだからスコーンやビスケットといったカロリー高めの甘いメニューは避けるべきだった。しかし、その時の私には暖かい場所で飲む紅茶と、フカフカのソファでまどろむ時間が欲しくてたまらなくて、細かい事を考える余裕もなく、スタバに直行してしまった。


店内に入るとほっとする暖かさに包まれた。混み合ってはいたが、運良くソファの席は空いていたため荷物を置いて確保する。財布だけを持ってレジへと向かった。


「バタービスケットとホットティーをお願いします。」

薄暗い店内は私の眠気をさらに助長する。けだるさと眠気に押され気味の意識の中で、決めてきたメニューを店員に告げた。

「ホットティーの種類は何になさいますか?」

「えーっと…」

紅茶とビスケットという事しか決めていなかったため、一瞬言いよどむ。すると店員が紅茶の種類の説明をしてくれた。その説明がやけに詳しいので、思わず店員の顔をみる。


あ、思ったよりイケメンだ。


細面で、整った顔立ち。年齢は二十代前半くらいだろう。大学生かフリーターといったところか。などと考えていたら、説明を聞き逃してしまった。


「えっと、アールグレイで。」

よく頼む種類の紅茶を無難に選択した。まあ、もともと私の中ではダージリンかアールグレイという二択でしか実はないのだ。

「かしこまりました。」

店員の笑顔が素敵だったので、こちらも思わず微笑み、お願いしますと付け加えた。

私の笑顔はあまり可愛らしくない事は重々承知しているが、感謝の位くらいは伝わるだろう。でも、できればかちょっとわいい子だな、くらい思われたい。一度でいいから、かわいいなって振り向かれるような子になってみたい。

そんな叶わぬ願いをめぐらすくらい、店員におかしな間があった。こちらを見て少し険しい顔をしたので、何か自分が変な事をしたのかと不安になる。だが、店員はそのままあちらでお待ちください案内した。


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