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8話

※2014/09/19 修正版と差し替えました

 決着は付いた。あたしの膣のブラックホール化も見事に成功した。

 

 そして今、あたしの目の前には、ば、馬鹿な! とわなわなしてるおっさんがいるわけだけどね。


「き、貴様何者なんだ!」


 いやだから、さっきから言ってんじゃんって。


「だから転生者だって」


「まだそんな……戯言を――」


「う~ん。まぁあんたがどう捉えようが勝手だけどね。この勝負はあたしの勝ちって事でいいかな?」


 目の前のおっさんに確認を取る。てかあたしの身体まじでどうなってんだかなぁ。あんな動きができるなんて身体の柔らかさなら過去にも寝技を色々試して自信あったんだけど、だからってあんな動きした事ないしなぁ。


「何を馬鹿な。そもそもこれは勝負などでは――」


 悔しそうに奥歯を噛み締めてるな。てかまぁそうだよね。そうくるだろうね。


「出来れば、なんかあんた使えそうだし、あたしの為に働いて欲しいんだけど」


「断る!」

 即効だな。


「ここはせめて、だが断る! ぐらい言って欲しかったんだけど」


「何をわけのわからん事を――第一剣がなくても、お前を倒すぐらいのことは造作ない事だ!」


 なんだっけ? オタクラノベの知識だとこういう時のこんな台詞は何かって言わなかったっけな。

 フ……フ、フェラグ? あれ? おかしいな。こんな卑猥な感じだったかなぁ?


「何をぶつぶつ言っている! いくぞ!」


 あ、やべぇ、なんか手を広げて襲ってきた。目も充血してるし、これ元の世界だったら軽く変態だぞ。痴漢注意ってとこで出てくるアレだ。


 でもなんでだろう。もう全然負ける気がしないんだよねぇ。う~ん、あ、そうか!


 シュッ――

「うぉ!」


 はいはいっと。


 あたしは膣からさっき飲み込んだ大剣をおっさん向けて高速発射した。こんな使い方もあるんだな。うん、なんか今思いついた。もっと早くに思いついてれば苦労も無かったかも。


 てわけで、目の前に迫った大剣に焦って、アレックスのバランスが崩れた。

 まぁどんなに優れた人間でも思いがけない事には弱いのな。


 で、あたしは何か何時の間にか出来るようになった脚さばきで瞬時に懐に潜り込み、襟を持って引っ張り、そのまま地面に倒した。


「ぐむっ!」


 完全に背中から落ちたな。まぁ硬い地面じゃないけど呻いてるからちょっとは痛かったのかな?


「クッ、こんな小娘に……」


「……うふっ」


 やべぇ笑いがこみ上げてきた。仮にも騎士があたしなんかに……まじでざまぁねぇ!


「き、気持ち悪い笑いなんて浮かべおって! どういうつもりだ!」


「まぁまぁ。ほら、こうなったらもうどうしようもないでしょう?」


 あたしは彼の上に乗ってマウントを取った。まぁ筋力でいったら普通は負けそうなんだけど、何か上手いこと固めちゃってるんだよねあたし。


「ねぇ? さっきも言ったけどちょっと強力してくれない?」


「断ると言っただろう!」


 強情だなぁ。う~ん、じゃあまぁしょうがないか。


「な! お、お前一体何を!」


「何って脱いでんだけど。邪魔くさいし」

 とりあえず自分の服をもう脱ぐ。下は既に顕になってるから少しは楽だ。


「そ、そんな事を聞いてるのではない! 私は一体な、うぉ! 前が見えん!」


 ブラで目を覆ったからね。


「こ、こんな不埒なもので目を! 騎士の目を塞ぐなど愚か者がっうぶっ!」


 うるさいから顔に乗っかった。もごもごしてんな。ん、ちょ、くすぐったい。


 まぁいいや。さてじゃあこいつもっと。


「ぶはぁ! き、貴様やめんか! そんな事」


「全く往生際が悪いな。てか男なら泣いて喜ぶところだろ?」


「ば、馬鹿にするな! だ、第一そういうものは大事なときの為にとっておくものだ!」


 はぁ何いってんだこいつ? 女じゃあるまいし。


「何が大事なだか。初めてってわけじゃあるまいしそんな守るようなもんかよ」


「…………」


 うん? 何だ? 急に黙っちまったぞ。

 ……は、はぁ1? マジか! え? 何こいつ? マジで言ってんの?


「おい。一応聞くんだけどさ、あんた……まさか童貞?」

「言うな!」


 マジだったよ。

 おいおい冗談だろ。何だここ。メイド長といい初めてのオンパレードかよ。


 てかまじかよぉ。こんなおっさんの筆おろしとか、いや正直キモいわ。本当――

「キモいわ」

「な、何を言ってるんだお前は!」


 あ、つい言葉に出てたわ。てかちょっと後ろ覗き見たら顔中真っ赤じゃん。どんだけだよ! 乙女かよ!


 はぁ、まぁいっかとりあえず。


「ぬ、ぬぉ! き、貴様何を!」


 手コキだよ言わせんな。


「は、はうん!」

 キモい!

 キモい!


 が! 仕方ない!


 てか……前にエロゲー好きなオタクがいて、とりあえず付き合ってプレイしたことがあったが、なんかちょっと似てるな。

 

 うん。まぁでもね。

 

 そっちは男女が逆だったけどな! てか男と女が入れ替わるだけでこんなに無残な事になるんだな。ある意味いい勉強になったわ。


「……じゃあ、いくわね」


「ま! 待て! それだけは! ほ、本当に初めてなのだ、だから――」


 成る程。顔を背けて頬を紅らめて……。


 て! だからそれは普通女が男に言う台詞だろうがぁ!


「う、うぉおおおぉおおおおお!」





◇◆◇


「まぁつまりお前は」「お前?」「マリヤ様は異世界からやってこられた転生者という事でよろしかったのでございますな」


 そんなわけで今あたしはこの騎士専用の館でテーブルを挟んで話しているわけだ。


 まぁこのテーブルに付くまでにニ、三発は射たせてやったけどな。てかさっきまで童貞だ、大事なものだ、言っていたくせに終わってからは一気に猿と化しやがった。


 たく、何を偉そうに言ったって結局は男はどうしようもねぇ。


「理解してくれたならそれでいいよ」

 ちなみに名前に関しては恐らくこの世界では響きとか理解し難いだろうし、あたし自身がそれほど気に入ってるものでもないんで、マリヤのまま通すことにした。


「それでマリヤ様は一体どうしてこのような地にやってこられたのでしょうか?」


 しかしこいつも随分と態度が軟化したな。まぁあたしがそうさせたんだけど。

 さっきまで大剣もって、股にぶっ刺す! とか言ってた奴と同一人物だとは思えないぐらいだね。


 まぁ結局あたしが奪うまで自分の真ん中の剣は振るってなかったような奴だしな。剣では刺せなかったけどアッチでは刺せたから一皮むけて従順になったって感じだな。

 よく判らんけど。


「どうしてと言われてもねぇ。盗賊からまぁ知っての通りお宝奪って、でも売る伝もないから偶々知ったあんたたちに一旦すがったって感じかな」


 アレックスは、はぁ、と気のない返事をする。無礼だなとも思えるが、まぁ他に言うこともないだろうな。


「で、ちょっとあたしも質問いいかい?」


「勿論! どんな事でもプレイでもお望みのままに!」


 プレイとは言ってないだろう。てかそんなにあたし自身がやりたいわけじゃねぇっての。手段だよ手段。


「ぶっちゃけ」「ぶっちゃけ?」

 あぁ疑問系とか面倒くせぇなぁ。


「ぶっちゃけってのは知ってることを隠さずって意味だよ。覚えとけ」


「はい! マリヤ様!」


 素直なのは良いことだよね。あぁそうだ。


「今度から二人の時は犬って呼ぶからちゃんと返事しろよ」


「はい! わかりましたマリヤ様!」


「返事はワンで」


「ワン! 判りましたマリヤ様!」

 

 まじすげぇなこいつ。流石騎士様は忠誠心が高い。


「でさ犬」「ワン!」


 ……ちょっとうぜぇな。


「あのさ、ぶっちゃけなんであたし何に間違われてたん? 雇われたって……まぁ潜入者とかそんな感じに思ったんだろ?」


「はいマリヤ様」「ワンだろ」

「ワン! マリヤ様!」


 ちゃんと空気読めっての。


「実はですな。最近このメルセルク伯の領内で、村が襲われたりそういった問題が続いてまして――」


 成る程。どうやらアレックスの話だと盗賊は結構あちらこちらに出没していて、小さな村は壊滅状態に陥ったりもしたらしいね。


 とりあえずその中でも目立ったものはメルセルク自らが指揮を取り解決してはいたらしいが、そういった事が続くと王国や教会からの心象が悪くなってあまり良くないとの事だ。


「でもそれなら盗賊をどんどんぶっ殺していけばいいだろう? 最初にみて判ったけどあんたら相当強そうだし」

 

「確かにマリヤ様の言うとおりで、かなりの数も退治してきたとは思うのですが……」


 何だ? どうも歯切れの悪い感じだ。


「ちゃんとぶっちゃけろよ」


「ワン! マリヤ様!」

 良い返事だ。空気読めてきたな。


「実は確証がとれていたわけではないのですが、どうもメルセルク様の領地にちょっかいを掛けようとしてる輩がいるようで」


「もしかしてそいつもどっかの領主って感じなのかい?」


「恐らく」


「なるほどね。それであたしが疑われたってわけか納得納得」


 あたしは腕を組んで何度か頷いた。てか盗賊の件は偶然にもあたしのでまかせと通じるものがあったんだな。

 まぁそうでもなきゃ信じてくれなかったかもしれないのか? 盗賊と出会ったのは悪くもなかったってことかね。て、まぁいっかどうでも。


「マリヤ様。それでこれからどうなされますか?」


「どうって? あぁもう帰るわ」


「え!?」


 目を見開いて随分と驚いてるな。


「いや、今日はもうする気はないぞ」


「あ、いえそういう事ではないのですが……間者の事とか興味持たれていたので、何かそれで動かれたりするのかなぁっと」


「へ? なんで? しないよそんなん。めんどいし」

 

「…………」


 何も口にしないが、眉を落として、え~って顔してるな。でもマジめんどいの嫌いだし。


「じゃあマジ帰るかなっと、あ、その前にあれだろ? この世界には騎士が忠誠誓う儀式とかあんの?」


「あ、ワン! 勿論あります」


「ふ~ん。準備とかめんどいの?」


「いえ、準備は剣さえあれば」


「あっそ。じゃあサクッとやっちゃおうか?」


「え? いやしかし。私は一応ここの伯爵様の専属騎士として既に忠誠を誓っておりますので――」

「あん? 何? あたしの言うことが聞けないの?」


「ワン! 喜んで!」

というわけで、さっきまであたしの中に入っていた大剣で儀式を済ませることにする。 ちょっと刃が濡れてるのはご愛嬌だ。


「で、どうすんの?」


「ワン! 刃の腹で私の右肩を三回叩いて下さい」


「叩く?」


「ワン! そうです」


 あたしは目の前で跪く犬の肩を思いっきり叩いた。そしたら三回って言ってやがったのに一回で肩をおさえて呻き出しやがった。


「か、軽くでいいのですよ」

 

 何だそっか。てっきりM男の為の儀式かと思ったよ。


 まぁ何はともあれ。無事儀式も終わって忠実な騎士(犬)を手に入れることが出来た。


「じゃあ今度こそ帰るね」


「あ、あの、も、もう一回だけ――」


「ざけんな。お預けだよ犬! どうしてもってなら一人でマス掻いて寝ろ!」


 あたしは物欲しげにしてる犬にきっぱりと言い捨て屋敷を後にした。

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