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72話

※2014/09/19 修正版と差し替えました

 あたしは腰を落とした状態から、力を込めて床を蹴り、跳ねるようにして一気に間合いを詰める。


「むぅ! 早い!」


 素早く肉薄したあたしに、デカマラオークも驚いたみたいだね。

 で、あたしも口撃を開始する!


「ふぉおお! 娘! 我はもう辛抱たまらんぞ!」


 ここでオークが興奮してっと! ここからはまさにあたしとオークは接戦だった。あたしがバックを取ればオークが前を取って、更に持ち上げてからの股間へのブチかまし!

 

 正直本当に手強い相手だったといえるかもね。あたしがこれまで相手してきた雄では一番だったよ。


 でもね……最後はあたしが上に! マウント取って終了だ!


「な、何なのだ! あのメス豚は! 一体なんだというのだ!」


「す、凄い。あれが、あれが私の愛したマリヤか。まるで踊っているようだ――」


「はいメルセルク様。まさしくあれは性なる舞……」


 なんか外野が色々言ってるけどね。まぁポールダンスっぽいのも意識してるかも。


「ぶふぉ! だ、だめ、だ。ご、ごるぇいぢょう、は……」


 お~っと舌出して目もトロンとしてきたね。オークのアヘ顔ってか。 

 よっし! じゃあこれで! トドメ、だ!


「ふごぉはぁあぁ、もう、ダメだぁあ!」

 





◇◆◇


 はぁ……はぁ。流石にちょっと疲れたかも――


「娘よ――」


 うん?


「我はこれまで生きてきて、ここまでの快感を得たことはない。最高であったぞ――だから教えて欲しい、主の、名を……」


「マリヤだよ。マリヤ・メルセルク」


「……マリヤか良い名だ」

 

 そう言いながら太い手で髪を撫でてきたね。やることはちょっと人間ぽかったりもするのな。


「な、ななんあんんなぁあ! 何をやっておるのだ貴様らわぁああぁ!」


 あ、エロババァがキレ始めた。


「ぐぅうう! あのグランドオークがここまで役立たずとは! もう良い!」


 なんか叫んで、ゲッ! またパチン! て。


「ブヒィイィイイイ!」


 おや? あたしじゃない?


「いつまで寝てるんだいこの汚らしい豚が! さぁあのメス豚は今疲れてる! でもね休む暇なんて与えるんじゃないよ! さっさとその小汚い肉でやってしまいなさい!」

 

 ……なんだかなぁ。もう冷静さの欠片もないなぁ。

 で、更に数匹のオークがあたしに近づいてくるんだけどね。


「やめんかバカ共が!」

 

 うん? デカマラが叫びだしたね。多分オーク語で。

 そしたらオークがピタリと動きを止めて。


「おいどうしたんだい?」


「……勝負は決まったのだ。これ以上は無意味! しかしあいつらも理性を失ったとはいえ、まだ我の声は聞こえていたようだな……」


 あぁそういえば理性を失ってるとか言ってたっけか。


「え! え~い何をしているのだ! さっさとやらんか! さもねば――」


 チッ。ヒステリックなエロババァだね。だったら。


「おい。いいからヤラせろ。あたしはまだ大丈夫だから」

「な? 何?」

「ほら、早くしろって!」


 いいのか? と確認してきたけどね、頷いて返したら、デカマラが何かを合図して、そしたらワラワラとオークが迫ってきた。


 で、あたしは少しまえに移動する。デカマラの顔の近くにね。

 で――


「い、いや! こないで! こ、こんなにヤラされて、これ以上なんてもぅ無理いいぃい! 壊れちゃうぅウゥう!」


 思いっきり叫んでやった。


「クッ、クハッ! お~ほっほっほ! そうだ! そうに決まっておる! あのグランドオークを相手にしたのだ! ただで済んでる筈がなかろう。さぁ、オーク共よ! やれ! たっぷりとやりまくるがよい!」


 ……色んな意味でチョロインだなアイツ。

 で、デカマラを下にした状態でオークはいい具合にカーテンになってるしね。


「むぅ。マリヤよ一体何をんぐぅ!」


 一回口を塞いで、そっから少しだけ離す。本能で理解してるなら、他のオークはこの状況から口までは狙ってこないだろう。


「ねぇ。あんたどうしてあんなダークエルフの言う事聞いてるんだい? そんな玉じゃないだろう?」


 外には聞こえなよう囁くように問いかける。


「む? 成る程そういう事か――」


 察したようだね。他のオークのお陰で、あのエロババァには細かい様子は見えてないはず。

 後はちょいちょいあたしが嫌がってる演技をみせればいい。


「我が従っているのはこの首輪によるところが大きい――これがある限り我はダークエルフには逆らえぬのだ」


「首輪? それも電撃が走るとかかい?」


 あたしがそう聞くと、ニヤリと笑ってきたね。


「ふん。我にはそのような電撃など効かぬわ。確かに最初は奴等もソレですまそうとしておったが、その時は電撃を喰らいながらも、その場で首輪を引きちぎって大暴れしてやったわ!」


 ……マジかよ。パネェな――でも、それなら……。


「だが……小奴らは別だ。電撃には逆らう事できず、更に理性まで失わされた。我々はただこの森で静かに暮らしていければ良かったというのに、あのダークエルフ共のせいで家畜扱いされるまでに落とされてしまったのだ」


 ……成る程ね。て、うん?


「じゃあ、あんたが今つけてる首輪は?」


「うむ。これは古代の魔道具で【服従の首輪】という物らしくてな。これのおかげで強制的にダークエルフには逆らえないという命令を従わされておるのだ」


 へぇ……と、あたしは口元をゆるめた。


「……ねぇ。だったらさ、もしあたしがあんたの首輪を外すことが出来たら、あいつらを懲らしめるのに協力してくれる?」


 デカマラにそう話を持ちかける。

 すると、目をパチクリさせながら。


「勿論。そんな事が可能ならばマリヤ程の女であれば断る理由がない。だが、そんな事――」

「決まりだね……」


 ふふっ。来たねコレ! 待ってろよエロババァ――


 あたしは思い立ったと同時にこいつの首輪に手を掛ける。

 で、力を込め、たら後ろのオークが果てちまった。


 あ、やべ壁が――


「うん? な、メス豚! 貴様何をしておるのだ!」


 あ~あ、見つかっちまったか。


「うぬぅ! 妾をたばかりおって! もう許せぬ!」

 

 て、やべ! またパチンッ! て電撃がぁあぁああぁああ――

 ……なんてね。確かにビリビリ来てるけど、もうそれはあたしには効かないよ!


「な! 馬鹿な! 何故! 何故あのメス豚は平気なのだ!」


 あんたがこのデカマラとやらせたからだよ、ば~か。さぁいくよ! う~~~~ん! て、結構固い! もうすぐいけそうだけど――


「おい! いまはまだ陽は上ってるのかい?」

 あたしはデカマラにまくし立てるように聞く。


「な、何? いや恐らくはもう落ちてると思うが」


 よっしゃ! だったら!


「お、お前たち、あの女を何とかするのだ! 魔法で――」


「ウォオオォオオオーーーーン!」


「え? マ、マリヤ!?」


 バキッ!


 よっしゃ~~~~! 首輪が砕けた! 流石オークプラス獣人の力! てか気合はいりすぎちゃって思わず遠吠え上げちゃったよ。


「ほら。外れたよ」


 あたしは壊れた首輪を投げ捨てながら告げる。んで、ついでに自分の首輪も砕いて捨てた。


「む、むぅ、これは、確かに、しかしその姿は……」


「な、ななななななななな! 何だアノ姿は! ま、まさかあのメス豚、ワーウルフだったというのか!」


 あ~はいはい今更だけどね。まぁとりあえず。


「いいから細かい話は後、後! さぁ――反撃開始だよ!」



 

 




 

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