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71話

「ブ――ヒィ」


 あたしの中に大量に出し終えて、最後のオークが果てた。

 ふぅ、これで終わりだね。なんかベッタベッタのドロッドロッて感じするし匂いもキツイけどねぇ。


 て、うん?


「マ、マリヤ、マリヤ、マリヤ、マリヤマリヤマリヤマリヤマリヤマリヤマリヤマリヤ……」


 うん。馬鹿が何かブツブツ言い出したね。犬も随分と困った顔してるよ。

 ダークエルフの手も止まってるしね。


「エロイーヨ王女陛下! グランドオーク準備整いました!」


 うん?


「フフッ……お~ほっほっほっほっほっほ! 全く! ムカつくメス豚だよ! だけどね! アイツがやってきたからにはもう終わりさね! アレに堪えられる雌などはいないからのう。まぁ恐らく二度と使い物にはならなくなるであろうが、それも仕方無い事。そのかわり貴様の泣きわめく姿をたっぷり堪能してくれようぞ!」


 ……こういうのってオタラノとかだとフラグが立つって言わね? まぁ知んねぇけど。それにしてもオークって付くからには、やっぱオークの仲間なんだろうねぇ。


「入ります!」


 ダークエルフが叫んで。そして、あの鉄格子が開いたね。

 で、奥に……中々鋭い目つきをしたのがいるみたいだ。眼光が豚とかそんなんのじゃないねぇ。獰猛な肉食獣のソレだよ。


 そして、そいつは鉄格子を屈んで潜るようにして入って来やがった。

 いや、成る程グランドね。こりゃ確かにデカイわ。

 

 あたしが相手したオーク達は二メートルをまぁ超えるぐらい。だけどね、こいつは三メートル……ヘタしたら四メートルいってるかな? もう見上げるほどデカイ。

 筋骨隆々っていうのか? もう筋肉の盛り上がり方がまるで巨大な山だ。


 体毛は他のオークより濃くて濃茶って感じか。イメージ的には豚ってより猪だね。牙も下顎から上に向かって伸びてるし。


 てかこいつ右目のとこに縦に伸びた傷があるね。古傷っぽいけど、それのせいで迫力が更に増してるよ。


「……我を突然こんなところまで連れてきて、どういうつもりだダークエルフの女王よ」


 あれ? こいつの喋ってるの人語だよ。一応オークの言語も判るようになってるとは思うけどねぇ。

 なんとなくこいつのが人語ってのは判るわ。

 

 てことはそれなりに……いや口調から察すると相当な知能を持ってると考えてもいいかもね。


「ふん! そんなの知れたこと! 妾が貴様のような醜悪な化け物を呼ぶ理由など一つしかなかろう? 喜ぶが良いわ! そこの雌に貴様の子種を植えさせてやろうというのだからのう」


 エロババァの言葉でグランドオークの眉間に深い皺が刻まれたよ。

 う~ん? もしかしてこいつはエロババァにたいしてあまりいい感情抱いてない?


 まぁコイツにしろ他のオークにしろ、あたしと同じように首輪されてるから、当然良い気持ちはしないだろうけどねぇ。


「それにのう。そこに転がってるお前の子分達は、その女の手によってやられたのだぞ? 悔しかろう、このような目に合わされて腹ただしくあろう?」


 エロババァがグランドオークを挑発するようなセリフを吐きやがったね。

 で、このデカイのが周りを見渡してむぅと唸ったよ。


「本当にこれをお主がやったのか?」

 

 うん? う~んまぁ。


「そう言われてみればそうかな?」

 

 あたしがそう返したら、そうか、ってちょっと目を伏せたね。


「だが、それで良かったかもしれん。このままあの女の傀儡として生き続けるぐらいなら、例え命を失ったとしても――」

「……いや、死んでねぇけど」


 何! ってなんか思いっきり頭上げて目を見開いてっけど、何こいつ天然?


「いや、こいつら全員あたしに逝かされて果てちまっただけだからね」


「…………逝かされて?」

「うん、逝かした」


 グランドオークが腕を組んで小首を傾げたね。


「我の仲間全員をか?」

「全員をだね」

「お主一人でか?」

「イエス」


 グランドオークはそこまで聞いたら目をパチクリさせて暫く沈黙。

 で、ウグゥって唸りだしたね。


「クッ……」


 うん? なんか肩を小刻みに揺らしだして……。


「ククッ――ガーッハッハッハッハッハッハッハ!」


 おっとぉ。大口開けて笑い出したねぇ。


「お、おい! 貴様手下をヤラれて何を呑気に笑っておる!」


 またエロババァが後ろで喚いてるよ。て、うん? ピタリと笑いがやんで。


「おい女王よ。こやつらは手下ではない我の仲間だ。口には気をつける事だな」


 ギロってエロババァに睨みを効かせたねぇ。顔がこえぇから中々の迫力だよ。


「うぐぅ、貴様こそ調子にのるでない! その首輪がある限り妾の傀儡でしか無いと言うことを忘れるな!」


 エロババァがヒステリックに言葉を返してんねぇ。で、このオークも、うむぅ、とまた悔しそうに呻いた。

 どうもこいつ、この首輪があるから言うこと聞かされているって感じか。

 あたしみたいに電撃でも浴びせられるんかね?


「さぁ判ったらとっととそのメス豚を犯してしまえ! 妾はその家畜の泣き叫ぶ姿が早くみたいのだ!」


 ……全く勝手な事を言ってるよ。


「……娘よ」

 

 うん?


「これだけの我が仲間を逝かした等と言い切るその豪胆さ。壊してしまうには惜しい――が、我にも奴に逆らえぬ事情がある。ゆる……て、一体何をしておるのだ?」


「うん? 準備運動?」


 準備――ってあたしの言葉復唱して、なんか疑問符混じりの表情で目を丸くしてるね。

 まぁアレみるに結構気合いれる必要あるしね。特に股は重要だよ。開脚とかしっかりしとかないと。


「てか壊れるとか決めつけんなって。ビッチ舐めんなって話だよ」


「ビ、ビッチ? よくは判らぬがお主、我を前にして怖くはないのか? これからその、なんだ我に……」


 怖い? 今更そんな事おもうわけないじゃ~ん。てか妙に口篭もって、そういうとこはウブっぽいのな。


「別になんとも思わないね。それにここまできたらあたしも真剣勝負だ」


「勝負?」


「そう逝くか(あたしが)逝かすか(あんたを)のね」


 あたしがそう言ったら、グランドオークがまた身体を揺らして、が~はっはっは! て声高々に笑い出したね。


「い、一体何をいっておるのだ、あのメス豚は……」


 エロババァも理解不能って感じに口にしてるね。まぁ別に判ってもらう必要もないさ。


「良かろう娘気に入った! 勝負とあっては我も本気にならざるおえぬな! 全身全霊をもって相手をしてみせよう!」

 

 て、うぉ! いきなりアレがそそり立ったね。平常時でも他のオークよりデカイ感じしたけど、ビクンビクンとこれはまた立派な。

 太さもそうだけど四十センチは間違いなくありそうだね。

 熱くなってるせいなのか、湯気みたいのさえ見えてきてるよ。


「マリ、ヤ。マリヤ! 無茶だ! いくらなんでもそれは無理だ! 死んでしまう!」


 ブツブツ言っていた馬鹿がまた騒ぎ出したね。無茶でもなんでもやるしか無いんだっつの。


「……メルセルク様!」


 お? 犬が吠えたね。


「ど、どうしたアレックス?」


「実は私メルセルク様に一つ謝っておかねばいけません」


「謝る?」


 お前ら声でかいな。


「はい。実は私……マリヤ様の事は既に知っておりました。そう今のお姿こそがマリヤ様の真の姿であるという事を!」


 真のって何か格好いいな。


「な! し、知っていたのかアレックス!」


 うん。というかあの面子の中じゃ知らなかったのあんたぐらいだしね。


「はい……ですがメルセルク様。敢えて言わせて頂きます! 貴方は今こそマリヤ様の勇姿をその眼に焼き付けるべきと! そうあれこそが貴方の愛したマリヤ・メルセルクなのです!」


「……マリヤ、私の愛した――」


「そうです! そしてマリヤ様は今まさに我々の為に自らの股を開いて【性戦】を行おうとしているのです!」


 ……あいつ絶対【性戦】って言いたかっただけだよな? ちょっと見てみたらなんか満足そうにドヤ顔みせてるし。


「……何か心配、なのか? されておるようだがいいのか?」


「……まぁアレは漫才みたいなもんだしな。よっしゃ! じゃあ」


 あたしがそう言って構えを取ると、むぅ、と一つ呟いてデカマラオークも身構えたね。でも――


「他のオークと同じように、逝かさせて――貰うよ!」


 

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