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56話

※2014/09/19 修正版と差し替えました

 とりあえずあたしはペチャの方を振り返る。

 そしたら服を手にいそいそと着ようとしてやがった。


「セイッ!」


 あたしは速攻駆け寄って服をもぎ取る。


「な! 何をする!」


「お前はまだ服を着るな!」


「は? はぁ!?」


 意味不明て顔をしてるけどね。もしかしたら万が一にも、あのゴブリンがこのツルツルペタペタにも興味を持っていないと言い切れないからさ。


「ちょっ! 返してよ!」

 

 ペチャが必至であたしから服を奪い返そうとしてるけど、そうやすやすとは渡せないね!

 だから――


「ヘヤーッ!」


「あああぁああぁああ!?」


 おもいっきりペチャの服を格子側に投げつける。流石に今の格好でゴブリンに近づこうとは思わないだろうと判断しての事だ。


 まぁあたしは平気だけど。


「なんで、なんでこんな酷い事するのよぉ……」


 ……なんかこいつ微妙に女子入ってきたな。こういうの見るとやっぱ女だったんだなぁとも思う。てかなんか少し気持ちいい。ゾクゾクくるねぇ。


「あのさ。メソメソしてないで」

「メ、メソメソなんてしてない!」


 してるだろうが。


「とにかく、これからあたしがいう内容を、雰囲気もあわせてあのゴブリンに通訳しな」


「な! なんで私が貴様の言うこと等を聞かねばならないのだ!」

 

 チッ。立ち直りは結構早いのな。


「助かりたいんだろ? 今は、嫌だとかそんな事を言ってる場合じゃないっし。いいから黙ってやりなって」


 クッ! とか悔しそうにしてるけど、まぁやってはくれそうだね。


「それじゃあちゃんと見て訳せよ」


 言ってあたしはゴブリンに近づきつつ、シナを造り、唇に指を添え、胸に軽く手を置きながら口を開く。


「ねぇ~ん。私のか・ら・だ、に興味あるのかしら~ん?」

「言えるかそんな事ぉおおぉ!」


 んだよ、たくさぁ。振り返ったら顔赤いし、異世界人はウブばっかりかよ。


「き、貴様は馬鹿だ! やっぱり馬鹿だ! ゴブリンにそんな真似をして一体何がどうなると言うのだ!」


 指突きつけてまだそんな事を言うかなぁ。

 たく。でもこの程度で恥ずかしがるようじゃ、あたしの魅力を再現するのは無理そうだな。

 たくしゃあねぇなぁ。


 とりあえずペチャの事は一旦おいておいて、あたしはゴブリンとを隔てる格子の前に立った。


 するともう一匹のゴブリンが格子から槍を出して威嚇してくる。

 まぁ何を言ってるかわかんねぇけど、ただ正面のゴブリンはボ~っとしてる感じだね。


「ねぇ、あたしに興味あるの?」


 と言っても反応はない。てか言葉がわからないならそれもそうか。


「き、貴様一体何をするつもりなんだ?」


 理解できないって感じの声が、背中に届いてるけど、まぁそこは無視と。

 で、言葉は判らないにしてもあたしが胸を持ち上げて舌を這わせると……喉が鳴ったね。


 やっぱりこういった事に何かしらの反応がある。隣は今のところそうでもないけど、こいつは間違いがないね。


 さて、どうしようか。とりあえずあのローブを羽織った奴を覗いてゴブリンは皆同じ格好をしているんだよね。

 あたしが最初に来た時に出会った盗賊のような、まぁようは原始人みたいな服装だ。

 

 そんで腰の辺りは紐みたいので縛っていて、下半身はスカートみたいに裾が広がっている。

 勿論パンツなんかは履いてるわけもなく。で、この格子も目が大きいから腕ぐらいは突っ込むことが可能だ。


 まぁつまり――あたしは徐ろに身を屈めて、そして、格子から出した腕を、一気に……突っ込む!


「δ§※※※!」

 

 お? なんか奇声上げてるね。てか、なんだしっかりつくものついてんじゃ~ん。

 う~ん大分細長いって感じだけどね。

 つまり太さがない。玉もない? イマイチ構造がよくわかんないけど、機能は一緒っぽいね。


「き、貴様は一体何をしてるんだぁああぁあ!」


 あぁペチャがまたうっさいなぁ。振り向いてらんないけど、顔こわばらして指を突きつけたりしながら叫んでる様子が目に浮かぶよ。


「§-¶δΔπ!」


 て! こっちもか! もう一体のゴブリンがなんか発狂してるぽい。ヤバイね。

 仲間のピンチとでも思ったのか、こっちに槍を向けてきてやがる。


「おいペチャ! こいつにちょっち言ってやってくれ!」


「い、いいい、言うって、てか、貴様、だ、だから、そ、それはなに、なに」


「手コキだよ! てか、このもう一体の方に、別に危害を加える気はないって説明して! ほら! 早く!」


 咥える事はあるかもしんねぇけどな。


「手、てこっ、てこっ!」


 鶏かてめぇは!


「とにかく早く言えって! 助かりたくないのかい!」


「あ、あうぅうう。なんで、私がこんな……」


 そんな事もいいつつも、訳し始めたね。意外と素直なところあるな。


「¶§※ππΔ!」


 て! なんか槍の先が近づいてきた!


「なぁ! こいつ何て言ってんだよ?」


 くそ! 槍がウザくて手の動きに集中できないんだって!


「だ、黙れ! 今すぐ仲間から離れろ。この悪魔め! そう言ってる。てか当たり前だろ!」


 チッ。やっぱり二体いると厄介だね。同時に相手出来れば楽だけど、少し離れてるし……どうすれば、て、うん?」


「……※Δ※πδ※……」


 あたしが揉んでやってる方が、頬を赤らめながら、相棒に何か言ってるね?


「ちょっと、こっちは何て言ってるんだい?」


「……隣のゴブリンにちょっと待てと言っている。何か悪い気はしないとか、て! 何なのよこれ!」


 戸惑いとか困惑とか、ペチャにもまぁいろんな感情が沸き起こってるみたいだけどね。

 でもこのゴブリンの反応はいいねぇ。


「おい。こっちのゴブリンに、これからあたしが気持ちよくさせてあげるから、隣のヤツには手を出させるなって伝えて」


「気持よく……て! き、貴様一体何を言っているのだ! お、おかしいのではないのか!? こ、こんな下等生物相手に……わ、私がそんな事言えるか!」


 全く。状況見て物言えよ。出来る出来ない言ってる場合じゃねぇっての。


「あんただって助かりたいんだろ? こんなとこで死んだらもう愛しのチヨダーク侯爵様とも会えないんだぞ? それが嫌なら、言うとおり訳せって」


「!? な、何を言っているのだ貴様! な、何故そこで侯爵殿下の名前が、ゴニョゴニョ……」

 

 判りやすいんだよ! 異世界人わかりやっす! 


「いいからもうはやくしろよ! 棒読みでもなんでも相手に伝わればいいから! 助かりたいのは確かだろうが!」


 まったくまどろっこしいねぇ。


「……本当に助かるの、か?」


「あんたがちゃんとやってくれればね」


「…………δ※§π§――」


 ふぅ、やっと伝えてくれたみたいだ。

 で、ゴブリンがお互い顔を見合わせて何かを話してるね。

 とりあえず手は止めてるけど。


 て、また槍の奴が何か言ってきてるけど。


「なんて?」


「……もし仲間が傷つくような事があったら、即刺す! って言ってる……」


 OKOK。傷つくことはないからねぇ。じゃあ! 再開!


「§※!」


「おい、なんて言ってる?」

「え?」

「え? じゃないよ。こっちは相手の反応も知りたいんだから、ちゃんと実況してくれ」

「じ、実況?」

「こいつの言ってることをそのまま訳して言えっていってんの」


 そこまでいうと、ば、馬鹿な! てまたちょっと声音が強まったね。


「わ、私がそんな! そんな事出来るわけ……」


「だったらこのまま処刑を待つだけだよ? いいのかいそれで? あんた侯爵殿下に期待されてんだろ? だからこうやってあたしを評価する役目を任されたわけだ。あ~あ、がっかりするだろうなぁ侯爵殿下」


 そこまでいったらようやくペチャのやつが翻訳してくれた。ゴブリンの気持ちになって気恥ずかしそうにしながら声を漏らしてるよ。


 プッ、ウケル~!

 

 で、だいぶほぐれてきたとこでもう一体のゴブリンも鼻息あらくしてきたからね。一緒に牢屋を開けて中に入ってもらった。


 ここまでマジで計算通り! あとは二体を同士に相手してっと。



「き、貴様は、い、一体……ゴ、ゴブリン相手にそんな……恥ずかしくないのか!」


「ないね。いいからちゃんと訳せって。それがわからないと上手く行かないんだから!」


「う、うぅうぅ……」

 

 ま、本当はあいての表情とかで全然わかるけどね。でも、ペチャいじめるの楽しいし~。


 で、さてっとそれじゃあ二体ともちゃっちゃと終わらせるとするかなっと――



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