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43話

※2014/09/19 修正版と差し替えました

 全く。とんだ計算違いだったね。

 ほんと参っちゃうよ。これでもそういったのを見抜く力には自信があったんだけどね。


 ほんとビッチが聞いて呆れるよ。たく――大体――


「あ、あふ、きょ、きょんなの、きょんなの」


「しゅ、しゅぎょすぎ、しゅごすぎゅる」


「びゃ、びゃきゃな、わりぇら、しゃんにんが、きょんな、しょん、な――」


 全く。

 よりにもよって三人纏めて二十秒で昇天しちまうなんてね。

 とんだ計算違いだよ。


「おい二十秒」


「ひぇ? にりゅ?」


「あんたらのことだよ。お前ら三人纏めてこれからは二十秒だ。わかったか二十秒? わかったらもういいからとっとと出て行け。その汚ねぇもの、いつまでもみてたくないしね」


 二十秒は股間を抑えたまま、キモいアヘ顔であたしを見上げる。


「あにょ、しぇめて、ふきゅ」


「そんなのまた明日にでも取りにきな! この時間じゃ誰もみちゃいないよ!」


「しょ、しょんにゃぁ」


「いいからさっさといきな。その尻蹴りあげるよ!」


「ひゃ、ひゃ~い」


 情けない声を上げながら、二十秒は揃って尺取り虫のようなキモい動きであたしの前から去って行った。マジでキモ!





 さてっと。

 当然だけど性騎士たちが去ったことで今ここにいるのは、あたしとメイド長だけになったわけだ。


 そして、そのメイド長は、何故か両腕で上半身を覆うようにして、胸はみせまいと必死になってる感じだ。何を今更。てか同姓で何を恥ずかしがる必要があるのか理解不能だね。


 まぁそれに加え、やたらと尖った目つきであたしを見上げてもきてるんだけどね。


「……どういう、つもりですの?」


 うん?


「どうって何が?」


 こいつに関しては、今更もう敬語使う必要ねぇから普通に話す。


「そうやってあたしに恩を着せるおつもり? 言っておきますけど私、助けられたなんてこれっぽちも思ってませんから」

「ば~か」


 瞼を半分ほど閉じて、呆れた目で言ってやった。てか助けるつもりならもっと早くに助けんだろ。


「あたしがあんたなんて助けるわけないだろ? さっきも言ったように、あんたがやった行為を許してるわけでもねぇんだから」


「……汚いお言葉。育ちが見えますわね。それを隠すようにメルセルク様の前では猫を被って、本当に卑しい女」


 まぁこの状況で本当、口の減らない女だね。


「……何をみてるんですの?」


「いやぁ随分と酷い有様だなぁって思って」


 あたしは敢えて、にやにやと顔を緩めながら言う。


「放っといてください!」


 おお、おお。怒り心頭って感じだねぇ。


「私の無様な姿をみて満足しましたか? だったらもういいでしょう! 私は貴方の顔なんて見たくもありませんわ! さっさと出て行って!」


「それがそうもいかないんだよねぇ」


 そう返すと、何を、て感じに怪訝な顔を見せてきたね。


「そりゃそうだろ? 別にあたしはあんたを助けるために来たんじゃねぇんだから。あいつらただ帰らして、はい終わりってわけにはいかないんだわ」


「だったらどうするおつもり? これから拷問でも致しますか?」


 拷問ねぇ。まぁそれですむならやってもいいけど、あまり趣味じゃないね。


「あのさ。実は屋敷、あんたがいなくなってから仕事が上手く回ってないんだわ。メイドもいまいち使えねぇし。メルセルク様(・・・・・・)もちょっと困ってるみたいでね」


「え? メルセルク様が……」


 メイド長が瞳を伏せ、申し訳無さそうな顔をみせる。


「だからさ。あんたが、金輪際あたしには歯向かいません。心の底から服従を使います。って気持ちがあるなら、まぁ仕事に戻れるようなんとかしてやっけど、どうだい?」


「じょ! 冗談じゃありませんわ! なんで私が貴方なんかに! 死んでもごめんですわ!」


 だろうね。うん、そうだと思ったよ。


「じゃあしょうがないねぇ」


「当然ですわ。そんな無駄な事でわざわざこんなとこまで来たというなら無駄足でしたわね。さぁとっとと出て行って」

「いや、そうじゃなくてね」


 あたしはゆっくりとメイド長に近づいてく。


「な!? 何を考えてますの貴方! イヤッ! こっちにこないで!」


「別にいいだろ? あんたも脱いでるし、合わせてやってんだよ」


「そ、そんな気遣い無用ですわ! ちょ、放して!」


 つ~かまえたっと。で、あたしはゆっくりと屈んでメイド長と目線を合わせる、


「ふ~ん。やっぱこうしてみると、切れ長で綺麗な目してんのな」


「な、何を!」


「それに汚れちまってるけど」


 そう言ってあたしはメイド長のセミロングの黒髪を撫で上げる。


「さ、触らないで! 気持ちわるい!」


 すげぇ拒否られてんのな、あたし。


貴方一体何を考えてますの! 頭がおかしいのでなくて!」


「ヒデェ言い草だねぇ。まぁ何を? て聞かれれば見てのとおりだけどね。あいつらは下手くそで見てられなかったし……仕方ないからあたしがしっかり調教してあげるよ」


 メイド長の切れ長の瞳が見開かれた。


「貴方、やっぱりおかしいですわ……女同士でこんな」


 はいはいっと。とりあえずその手をどけてみよっか。


「キャッ!」


 お、いい声。で、うんまぁ大きさはそうでもないけど形はいいね。


「み、見ないでよ変態!」


 ……よりにもよって変態かよ。


「い、言っておきますけど、私は貴方なんかに何をされたって、屈服なんていたしませんからね!」


「ふ~ん」


 中々強気だよね。でもまぁそれぐらいのほうがやり甲斐もあるってもんだよ。


 さてっと、じゃあちゃちゃっとこいつも調教しちまうかねっと。


◇◆◇


 あんだけ抵抗してたメイド長も、ちょっとあたしが本気出せばあっさりアヘ顔さらして堕ちてしまったよ。


 まぁそんなわけで、メイド長も完全に屈服したってことでね。

 次の日にはもう、幽閉状態解除って事で、牢から出すよう話を進めた。

 

 二十秒は最初、そんな事いわれても、なんて文句言ってたけど、

「あたしのいうことが聞けないってのかい? なぁ二十秒」

と言ってやったら、もうコロッと態度を変えた。

 

 とは言え、教会から正式な回答が来るまでは見張ってるという体で、地下牢に続く小屋の前で見張りを続けとくそうだ。

 全くご苦労なこったね。


 で、とは言え、勿論何も言わず復帰ってわけにもいかないからね、メイド長はスラパイや犬にもしっかり謝ってまわりその後――


「メルセルク様。本当にこの度は私の行った所為によって多大なご迷惑をお掛けしてしまいました。謝ったからと許してはもらえないかもしれませんが――」


 あたしの目の前で、メイド長が馬鹿に土下座に近い形で謝罪を述べる。

 てかそこまでしなくてもいいだろうとは思うんだけどね。あたしがいいっていったんだから。


「いや! そんな! 頭を上げたまえメイド長! 私はマリヤがいいと言うならそれ以上攻め立てる気など毛頭ない。それに、やはりメイド長が戻ってきてくれるとなると私も嬉しく思う」


 まぁ馬鹿はお人好しだからね。恐らく簡単に許しちゃうんだろうなとは思ったよ。

 そして立ち上がったメイド長に、

「おかえりメイド長」

と微笑んでみせたりしてるし。


 するとメイド長が何やら深呼吸のように息を吐き出し。


「……実は私、メルセルク様の事をずっとお慕い申しておりました」


 て、おいおい、突然何言い出すんだ。いや、当然あたしは知ってるけど、その告白に馬鹿も目が点だぜ?


「私がマリヤ様にこのような事をしてしまったのも、マリヤ様に嫉妬をしていたからだと想います。本当にお恥ずかしい限りですが」

 

 馬鹿は暫く口をポカーンと開け広げていたけど、あ、いや、と声を発しはじめ。


「これは参ったな。突然そのような事を言われると。……ただもうし」

「でも――」


 馬鹿が全てを言い終える前に、メイド長が言葉を重ねたね。


「もうその気持もすっかりなくなりました。今は私、メルセルク様の事をなんとも思っておりませんので」


 …………はい? 


「え? え? な、んとも?」

 

 当然馬鹿も超戸惑ってるけど。


「はい、これっぽっちも」

と何か指で気持ちを表して、きっぱりと言い切ったね。てか、馬鹿、何もしてないのに、勝手に告られて、振られてやんの。やべぇ、笑いがこみ上げそう。


「あ、あのメイド長」

「それでは私、早速本日から業務に戻らせて頂きます! 色々お仕事もたまってそうなので」


 言ってメイド長があたしを振り返り。


「さ、マリヤ様。まずはマリヤ様のお部屋から片付けてしまいましょう」


 ……なんかこれでもかって笑顔を振りまきながら、あたしの手を引いてくる。


「いや、別に私が一緒に行かなくても――」


「駄目ですよ。マリヤ様にはしっかり確認してもらわないと。ソレにこの為にワザワザ他のメイドには別の部屋の掃除を任せたのですから」

 

 て、おいおいそれって――


「私をこのような身体にしたのはマリヤ様なのですから、責任とって下さいね」


 耳元でそんな事を囁かれた。声が妙に楽しそうだし。てか確かに屈服はさせるつもりだったけど……なんでこいつらはこんなに極端なんだ?


 そう思いながら、あたしがふと後ろを覗き見ると……妙に沈み込む馬鹿の姿。


 あ~あ、哀れだね全く。


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