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31話

※2014/09/19 修正版と差し替えました

 ショタからは護衛の冒険者を付けようか? という提案もあったようだけど、その為に馬車が増えてしまうのも申し訳ないと、馬鹿は断ったみたいだね。


 馬鹿も犬も相当に腕が立つというのも、あえて護衛を必要としない判断に繋がったみたいだわ。


「また皆様と一緒ですね。宜しくお願い致します」


 付いた御者は、行きと同じ処女のマセコだった。

 だから皆も気兼ねなく接してる感じだね。まぁ行きの段階で結構親しくはなれたみたいだし、犬はあたしが狙ってそうとかふざけた事言っててムカついたけど。

 

 帰りの馬車は見た目も来る時とほぼ同じだ。マセコの話だと引くユニコーンも一緒らしい。

 馬車は太陽が中天を少し超えた辺りに出発した。

 ショタは笑顔で見送ってくれたけど、直前まで気をつけてな、という言葉を馬鹿にかけてたみたいだね。


 話ではそこまで危険ってことも無さそうな感じなんだけどね。まぁ森だけが唯一気になるとこらしいけど。


 ショタの街を出てからは、初日は途中の小さな宿場で夜を明かした。

 相変わらず食い物の質が悪そうだったけど、あたしが以前宿屋で貰った食材が少しは役に立つ形となった。


 まぁ保存してた場所はちょっとは気になるけど、細かいことを言ってても仕方ないしね。

 森では野宿ってことだから、ある程度は残しておこうと思うけどね。


 あぁそういえばショタの屋敷では流石に一度もヤル事が無かったからね。

 だから初日はもう二人共盛った獣状態だったよ。流石に朝までは勘弁してほしいから、あたしもちょっと色々テク使っちゃったね。

 高速乱舞多所攻めとか回転麗舐振とか。


 やりすぎちゃって二人共、次の日の朝中々起きてこなかったけど。


「な、何か夜中に凄い揺れを感じたんですが、何かあったのですか?」

 

 朝出るときにマセコが興味津々でそんな余計な事を聞いてきたんで、

「四十八手を越える究極一〇八性技の何個かを試したのですよ」

と自分でも何言ってるのか良くわかんねぇけど適当にあしらったら、妙に納得してやがった。流石処女だな。


 二日目もまぁ馬車内は退屈だったけど小さな村で一夜を明かした。

 行きと違って帰りはそんなに急な山道がないから、馬鹿も酔うこともなく、その分スムーズに進むな。


 この日は村の宿で出た料理そのものも結構美味かった。

 蛙をでかくしたみたいな生き物の肉が出た時は、ちょっと眉を顰めちゃったけど、贅沢も言ってられないし喰ってみたら、脂が乗ってるのに割りとあっさりしてて寧ろ気に入っちゃったよ。


 この辺りの池で取れるらしいんだけどね。で、精力が付く効果もあるとか。て、あのウナ蛇もそうだったけど、精力がつくっての異世界に結構多いのな。


 おかげさまで、夕食だけでなく、二日目の夫婦丼もお代わりすることになっちまったよ。てか元気だなこの夫婦。


「き、昨日ももしかして、その一〇八の……」


「えぇ。九十四~九十八に六十六と七十七を組み合わせましたの」


 ニッコリと微笑みながら、またもや何言ってんだろうなあたし。てかマセコはその話に食いつきすぎだろ。ダボハゼかっての。


 で、朝から出発し今日はいよいよその森に進入する形となった。

 朝から出て森の入口に差し掛かったのは恐らくは昼頃。直前の村で多めに貰っておいたパンを昼はかじってすました。


 でも猛獣がいるとか言ってた割に、森に入ってからもそんな気配は無かったね。

 ただ、街道は古いもので整備はされていない。そのせいか決して道がいいとは言えず結構揺れた。


 うん、まぁつまり。


「大丈夫ですか? メルセルク様?」


 太陽が西に傾いてきた頃、馬車が止まりそこで夜を明かしましょうという話になった。

 勿論馬鹿は、もうゲェゲェだ。全く今回はもう大丈夫かと思えば、油断もすきもないね。

 

 でも犬が選んでくれた場所は流石といえるかな。馬車をとめたその先には、夕日に照らされ黄金色を醸し出す湖が存在してた。規模は大きくないけど、いいシチュだね。中々綺麗だよ。


 でもこれは本当にありがたいね。何せ二日間は風呂が無かったし。水浴びだけでも相当すっきりする。


 犬の話だと本来は直線の方が早いのだけど、ちょっとだけルートをズレて湖付近で夜を明かすことにしたらしい。

 ナイス犬!


 湖の向こうには低い山々も連なって見えた。景色も中々だし空気も美味しい。


 まぁ馬鹿のアレで少し台無しな感はあるけどね。


「日が完全に沈む前に宜しければ、身体を清められたら如何でしょうか? 私めが見張っておりますので」

 

 犬が言う。まぁこっちはハナからそのつもりではあるけどね。


「そんな事いって。また覗かれたりするおつもりではないですよね?」

 

 あ、犬の奴ギクってなった。


「まぁ、アレックスそんな事をされていたのですか?」

「えぇ! アレックスさんがそんな事をするなんて思ってませんでした」


 スラパイとマセコの軽蔑の眼差しが痛いな。犬も額から汗がダラダラだ。


「いえ、そんな! 私はそのような事!」

「うふ。冗談ですわよアレックス」


 まぁ見張りは必要だろしな。そういうことにしておいた。面白い顔も見れたし。


「まぁそうでしたの。マリヤったらもう」

「私もアレックスさんがそんな事をするとは思ってなかったですよ」


 手のひら返しとは正にこのことだな。


 まぁ別にあたしは覗かれたってなんとも思わないけどね。減るもんじゃないし。





 時間の都合もあるから水浴びは三人揃っての形になった。

 マセコも一緒だから流石にスラパイも発情はしないだろう。


「あ、あの、アリス様――」

とマセコの声。


 うん。発情はしないまでもお前はこっちを見過ぎだ。おかげでマセコが変な目で見てるだろ。


「あ、いや! 違うのですよ。マリヤの身体が凄く……綺麗でしたので」


 スラパイが慌てたように両手を振った。うん身体が綺麗なのはあたしが一番よくわかってる。


「あ、それ判ります! 私も見とれちゃいそうですもの。あ~でもアリス様も大人っぽいし……それに二人ともおっぱいが大きくて羨ましいですぅ」


 マセコは確かに大きさ的にはかなり緩やかな丘陵って感じだね。


「そんな。カグラちゃんはまだまだこれからでは無いですか。きっとこれから成長していきますよ」


 スラパイがにこやかにそんな事を言ったけど、中々無責任な発言とも思うかな。中には全く成長しないのもいるだろうし、過度な期待をもたせると後のガッカリ感が半端ないだろう。


 て! 何かこっちもジーっと見つめてる! 何か言って欲しいのかよ!


「あ、そうですね。それに女の価値は胸の大きさで決まるものではありませんわ」


「え~? そうですか~? そうかなぁ~」


「流石マリヤさ、マリヤですわ! 確かにそのとおりですわね。カグラちゃんは可愛らしいですし」

 

 スラパイのさらなる褒め言葉で、両頬に手をやってなんか嬉しそうに身を捩らせてるな。

 単純だなぁコイツ……でもまぁ、オタラノ好きな奴らは幼女モエ~とかいうのもいるしな。


 こういうタイプが好きなのはきっと異世界にもいんだろ。キモそうだけどね。





 水浴びしてすっかりスッキリした。日も落ち始めたから夕食の準備をする。

 でも犬の奴、湖の魚を大剣で器用にとるのな。


 ついでにあたしもまぁ食材は提供した。使わないまま入れっぱなしにしておいても仕方ないしね。


 スラパイとマセコは一体どこにあった食材なのかしら? とちょっと気になってたみたいだけど、それは適当に誤魔化しておいた。


 まさかあたしの身体の中にありましたとも言えないしね。


 夕食の頃には馬鹿も回復していたね。野宿だし材料を焼いた程度の食事だったけど旨い旨いって食べてるよ。


 直前の宿で頂いておいたパンもあったし、お腹は結構膨れたかな。

 でもちょっと驚きだったのはユニコーンもパンを食べるってことだったね。

 

 食事が終わった後、マセコが食べさせてたからね。でも全てのユニコーンが食べるってわけじゃなくて、この子が特別みたいです、なんて言っていたな。


 さて、日も落ちたらあとは寝るだけだね。夜の晩は馬鹿と犬が交代でするらしい。

 まぁ男なら当然だね。


 馬鹿はマセコに馬車の中で眠っては? と言ってたけど、御者台の上でいいって丁重に断ってたね。


 それにユニコーンの側は結構安全ですから、とも言っていた。

 もともとユニコーンというのは獰猛な動物で、だから他の獣もそうは近づいてこないらしい。そういえばあの巨大猪も警戒してたぽいもんな。


 でもやっぱ馬車は寝るのには狭いかな。テントとか積んでくれば良かったのにとちょっと思ってしまった。


 ちなみにあたしの横ではスラパイが寝息を立て始めていた。結構すぐ寝れるのな。まぁ昨晩も中々激しく運動してっしな。


 てかう~ん。お、このスラパイはクッションにはちょうど良さそうだね。うん、こういう時には便利だねっと。


 で、あたしはソレを枕に段々と微睡んでいって――





◇◆◇


「クッ、貴様ら何者だ! 待て!」


 何か騒がしいね。なんだ? あたしは瞼をこすりながら身体を起こす。

 外では……犬の声と剣を振るう音――て! ちょっと只事じゃなさそうだね。

 

 みたら既に馬鹿は外に飛び出ている。あたしもとりあえず出てみたけど。


「メルセルク様! もうしわけありません! カグラ様が不貞な輩に――」


 はぁ? マジか? てかなんでマセコが……てかアレか。小さな身体を抱きかかえながら森の奥に三つの影が消えていった。

 なんだありゃ。相当に素早そうだけど。


「アレックス! 一体コレは? あいつらは何者なの?」


「そ、それが相当すばしっこい奴らで……」


 犬がここまで言うって事はかなり腕の立つ奴って事かい? まぁ夜ってのもあるかもしれないけど――てかよりによってマセコがさらわれるなんて、これじゃあ馬車を操るのがいなくなっちまうじゃないか。チッ! 面倒だね!


「ちょっとこの剣をお借りしますよ!」


 馬車の中から片手で扱える程度の剣をとってあたしは駆けた。マセコを攫っていった奴らは、森のなかに消えたし手分けしたほうがいいだろうしね。


 背中側から心配そうにあたしの名前を呼ぶ声が聞こえたけど、犬と馬鹿にだけ任せて置けるような、そんな余裕は無さそうだし、馬車が動かせないなんてことになるのは勘弁だしね。

 野宿なんて一日で十分だっつの!





 で、つい勢いで出てきちまったけど、完全に見失ってんじゃんて話だね。そもそも馬車に出た時には既に森のなかに消えてたわけだし、しまったって感じだ。


 どうしよう? なんかここで戻るのもだっさい気がするな――て、うん?


「これ、パン?」

と思わず声が漏れちゃったけど、確かこれは夕食で食べた……そうか! ユニコーンに喰わせてた分か――ナイスだねマセコ。これを追えば――









 


 

 


 

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