25話
そういえば今回この街に滞在するのは初日含めてニ日、で、三日目に岐路につくらしい。つまり二泊三日って事だね。
で、そうなるとペガサス乗れるのはいつなのかな? て感じではあったんだけど、これはまぁ意外と早くってか――
「やぁ、よくきてくれたね」
起きて用意されてた朝食摂った直後に、メイドが現れて、侯爵がお待ちです、とあたしを着替えさせた。
乗馬用の服ってやつ? ロングのパンツに袖長のシャツって感じかな。勿論全部ショタ側の方で用意してくれたらしい。
そしてなんか広い庭園みたいのに案内されて、今目の前にショタがいるって感じ。
「ペガサスに乗れるなんて光栄の極みですわ」
「そ、そういえば私も初めてかな。あ、はは、楽しみだ」
ペガサスへの乗馬はスラパイと馬鹿も参加だ。犬もしっかり付いてきてる。
「本日は私が特に可愛がってる二頭を用意した。楽しんで貰えるとよいのだが」
なんか無邪気な笑顔を浮かべてるけど、そのペガサスってのはどこにいんだろ? それらしきものが見当たらないんだよねぇ。
「それじゃあ、早速来てもらうとするかな」
お、ショタが指を口に含んで、それで笛を吹いたな。結構いい音鳴らすね……と、お! なんか空からやってくる、アレって――ぺ、ペガサスだぁああ! マジで本物のペガサスきたああぁああ!
おお、これはまためっちゃ白い! 真っ白じゃ~ん。翼まで白いよ~。うわぁ~優雅に飛んでんなぁ~。
いやぁ~マジテンション上がる~~~~!
「ドウ、ドウ、ドウ」
シャタの奴が地上に降りたペガサスの首のあたりを掴んで、あやすように言ってんな。お、顔とか舐められてんな。
あぁなんかもうこれ夢じゃないよね? いや、今更だけどね。ユニコーンだって見てんだし。
あぁてかこれやっぱさわりてぇええ! もふもふしてぇぇええ。でもなぁユニコーンの事もあるからなぁ……。
「良かったら、どうぞ近づいてみてくれても構わないですよ」
おっと! ショタの方から声を掛けてくれたな! マジか! あぁでも一応――。
「わ、私などが触っても大丈夫でしょうか? あ、あのユニコーンの時などはちょっと……」
上目遣いで聞いてみる。したら、あっはっは、ってショタ笑い出したな。
「大丈夫だ。ユニコーンと違ってペガサスはおとなしい性格をしている」
マジか! おお! それならもう遠慮はいらないね! 思う存分モフモフしてやる!
「そ、それでは失礼致します」
とか言って、絶対あたし顔ニヤけてるよぉ~。やっべぇ~頬が緩む~ユルユルだよー。
「ブルルル――」
た、確かに近づいても大丈夫そうだな。
機嫌良さそうだし、おお! めっちゃ毛がふさふさしてる~鬣とか気持ちいい~~上質な綿みたいだ~はぁ肌触りもいいなぁ……サラサラって感じ? やべぇ~このまま顔埋めてたい……て――
「キャッ!」
て、思わず声出ちまった。なんか顔舐めてきたし。まぁショタも舐められてたしな。
うわぁ、流石に涎はちょっとベタベタすんなぁ……まぁしゃあないけど……って、うぉ! なんだ急に頭で押して……もう、尻もちついちゃったじゃ~ん。て、おい! ペロペロペロペロとちょっと舐めすぎじゃね? ちょ! おいおい! 顔だけじゃないのかよ! ど、どこ舐めて、服汚れ……て、なんか鼻息荒いし! 裾とか噛んで上げようとしてっし! な、何だこのペガサス!
「はいペガ、ドウドウドウドウ。そこまでだ」
ペガサスの後ろからショタが抱きしめるようにして抑えようとしてっけど、ヘソ完全に見えちゃって胸まではまだだけど……な、なんか熱い鼻息がお腹に、それに、後ろのほうでそそり勃ってるもんが見え隠れしてんだけど――
「おい。いい加減に――と――肉に――ぞ」
うん? 今ショタがペガサスの耳元で何か囁いたような。て、はぁあ~~、よかった、ペガサスもようやく落ち着いたみたいだね。てか大人しいってドコがだよ! 危なくペガサスにやられるところだよ!
「いや、本当済まないね。普段は大人しいのだが、時折気にいった女性を見ると妙に興奮するところがあるのだよ」
あたしの手をとってショタが立ち上がらせてくれる。ちびっこいわりに力はある方なんだな。でもあたしって気に入られたのか? てか今のは性欲の対象にされたって気もしないでもないんだけど――
「あん……せっかくお借りしたお召し物がベタベタですわ……」
て! スラパイもしっかり性欲の対象にされてんだろ! 何だこれ! ペガサスぱねぇな!
全く。しかも流石にこの状態だと乗馬もクソもないから、改めて着替えに戻った。面倒だなおい!
「いやぁ、済まなかったね。だがペガとサスはしっかり躾けておいたから、もう大丈夫だ」
このペガサスの名前ペガとサスかよ! このショタときたらネーミングセンスなさ過ぎだろ……てかもうちょっと考えてやれよ!
「いえ、元気なペガサスで少々戸惑ってしまいましたが、とても可愛らしいと思います」
なんか無理ある言い方な気もすっけど、でも元気なのは確かだな。いろんな意味で。
「さて、それでは乗ってみるとするか」
おお! キタ~~~~! ついにキタ~~~~! やっぱペガサスときたらコレだよね~。あぁ馬にのって空を駆けるなんて前の世界じゃ考えられねぇよーーいやぁ今だけはあのドングリに感謝してやってもいいかな。ドングリ一個分ぐらい。
「本当はマリヤ様と空の散歩を楽しみたかったのですが仕方ありませんわね」
あたしの耳元でそっとスラパイが囁いた。先に話は聞いていたようだね。
流石に昨日ほどはがっかりした感じは見えないかな。少し楽しそうだし、スラパイもペガサスに乗れるのが嬉しいのかもね。
そういえば犬のやつは下で待ってるんだってさ。ショタからもう一頭用意しようか? て話もあったみたいなんだけど、犬が遠慮したらしい。勿体無いね。
というわけでショタのいうとこの、ペガにあたしとショタがサスにスラパイと馬鹿が乗る形となった。
ペガの背には、ショタの補助で先にあたしが乗って、その後ショタが乗る。ショタの後ろにはあたしがついて手綱はショタが握ってる形。
でもなんかやっぱショタの見た目でいくと、子供の面倒を見るおねえちゃんって雰囲気だな。あまりロマンチックな感じはないね。
「ハイヨーーーー!」
なんかどっかで聞いたような掛け声でショタが手綱を動かすと、ペガが駈け出して左右の羽を羽ばたかせる。
すると……浮いたぁあ~~~~~~ふわっふわだよぉ~うわぁ――なんか不思議な気分だな。おお、犬の姿がどんどん小さくなっていく……飛ぶ速度はそうでもないけど、遊覧飛行って感じだから、あえてそうしてるのかもね。
それにしてもやっぱ空中は風が気持いぃい~~。天気もいいし、なんか空と雲に包み込まれてるみたいだ。はぁやっべぇえ。最高~~~~。
「空からの眺めは如何かな? 姫?」
……こいつ、こういう事平気で言えんだな。まぁいっけど、ちょっと興ざめだぞ。
「えぇ。とても素敵ですわ――私、鳥にでもなったかのような気分です」
とりあえず無難な返事を返しておくか。
「そうかそうか。いや私もおかげで夢を一つ叶える事が出来た。そなたのような麗しい姫君とこうして空を駆け回れるのだから」
うわぁ――。いい加減なれてもきたけど、このマセ餓鬼が! て言いたい気分だわ。まぁ相手のほうが年上なんだけどね。
て、そういえばスラパイと馬鹿はどうしてっかな? ちょっと後ろみてみっか。
「マリヤ~~~~凄く風が気持ちいいですわぁ~~もう最高ですーーーー」
うん。スラパイ楽しそうだな。まぁ確かに気持ちがいいしね。でもさ、ちょっと疑問なんだけどね……何で手綱握ってんのスラパイなの?
「チヨダーク侯爵殿下。このような素敵な体験をさせて頂き、本当にありがとうございます~~~~」
うん。横に付いてお礼を述べて、ペガサス操るの上手いなおい! てか、馬鹿! あの馬鹿、スラパイの後ろでめっちゃ気持ち悪そうじゃねぇか! 酔ってるよ! あれ絶対酔ってるよ! 顔青いし、首がぐらんぐらんしてるし! あいつどんだけ乗り物に弱いんだよ。
ありゃ遠足とかで必ずバスを止めるタイプだな。勿論吐くために。てかあんなとこで吐いたらとんでもないな。嫌な雨が降り注ぐぞ。
「しかし、婦人はうまいものだな。乗馬の経験があればそれほど難しくないのは確かだが……いやしかし、その、姫君は、な、なかなかいいものを――」
うん? なんだ急にこのショタ、頬が紅くなったな。いいもの? ……あぁなるほど。そういえば丁度ショタの頭があたしの乳に当ってんな。
でも、ふ~ん……こいつもこんな顔出来るんだな。……だったら――
「うぉ! こ、これはまた……」
「ご、ごめんなさい。こんな高くまで来てしまうと、少しだけ怖く――」
で、ぎゅっと腰に腕を回して、ほ~れ、ほれほれ天然のクッションだぞ~~。
「そ、そうか、ではし、しっかりつかまっておるのだぞ」
はい、とか淑やかにいいながら、別に怖いわけないんだけどね。でも、なんか見た目と喋り方あってなくて違和感あったけど、こういうのはウブなんだな。
まぁ見た目でいったらこれぐらいの方が可愛げあるけどね~。
で、その反応がなんか面白いから暫くそんな感じでショタの反応をみて遊びつつ、それから一時間ほどあたしは空の散歩を楽しんだ――




