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20話

2014/09/19 修正版と差し替えました

 英雄ってなんだろな? いや言葉ぐらいは知ってるけど、犬が英雄なんだとか聞いても、あんまピンとこねぇし。

 まぁ確かにコイツの性能は高いけども。


「……昔の話だ」


 応え方が渋いな! 瞼を閉じて静かな口調で、何カッコつけてんだてめぇは。犬のくせに。


 大体なぁ。あたしの中ではこいつは、人の情事や水浴びを覗き見るデバ亀の童貞野郎だからな。まぁあたしが童貞は奪ったんだけどね(流れで)


「あぁやっぱあんたそうだったのかい。そうそう、こんな呼び方もあったっけか? 落ちた英雄アレックスってな。どこぞの弱小領主の元に左遷されたって事でな、ぎゃははは」


 弱小ってやっぱ馬鹿のことだよな? あ、明らかに馬鹿が怒ってる感じだな。拳をわなわなと震わせてるよ。


「……私は別に左遷されたわけではないがな。自分から望んでメルセルク家の専属騎士に志願したのだから」


「ふ~ん」

 

 しかしこの吊り目は一々口から出る言葉が癇に障るな。まじでたたっ斬ってもいいんでない? なんかジロジロ犬と馬鹿をみて口元歪めて、まぁ馬鹿にしてるって感じだな。


「て事はそっちの坊っちゃんがメルセルク伯爵様ってとこかな? いやぁなるほどなるほど」


 完全にコケにした言い方だな。敬意とかは全くもってないってとこだ。ごめんなさ~いとか先生に形だけ謝りながら、全く反省してないヤンキーみたいだ。


「て事はそこの二人はこいつの女ってとこか? なぁこんなののドコがいいんだ?」


 いいところ? う~ん馬鹿だけど、馬鹿だから扱いやすいってのもあるよね。チョロいんだし。屋敷はまぁ広い。そんぐらいか? 

 でもそれをそのまんま言うわけにはいかねぇよな。夜が上手いとでも言っておくか? 嘘だけど。


「少なくとも、貴方のような下衆で醜悪な糞野郎よりは魅力に溢れてますわ。私にとっては二番目に大事な人ですから」


 おお、スラパイも言うもんだな。て! 馬鹿は二番目かよ! 


「あん? なんだとテメェ。娼婦みたいな顔してるくせに」

 

 うわぁ~。スラパイの蟀谷がピクピクしてるよ。弓とかあったら今すぐ股間とか打ち抜きそうだな。


「あ、あの、貴方先程から少し失礼ではないですか?」


 なんかマセコもしゃしゃり出てきたな。あたしが発言するまでもないかこれは。


「あん? 男も知らない女は黙ってろや」

「なっ!?」


 お、悔しそうだなマセコ。まぁ処女なのは事実だけどね。


「てか、英雄さんの言ってるのが正しいとして、こんなチャランポランそうな男の何がいいんだかね? そこの女達も。なんだったら俺のほうが数百倍満足させてやるぜ。女限定だけどな。ぎゃはっはっっははぁ!」


 馬鹿がチャランポランなのは確かだけど、どうもこいつの言い方はイラッとくるな。チッ、黙っとこうかなと思ったけど……。


「いい加減にその口を止めるんだな。私の事は何を言っても構わないが、主や皆の事をそれ以上愚弄するならただでおかぬぞ」


 と、あたしが言う前に、犬が出たな。しかも眼力がすげぇ。これは犬ってか狼みたいだ。あたしをやりに来た時よりも鋭いかも。


「おい、もうその辺でやめとけ。悪いね皆さん。こいつも少々飲み過ぎみたいでな」


 後ろから吊り目の肩を掴んで、細目がわびをいれてきた。なんだ全員がイカれてるってわけじゃねぇんだな。


「チッ。わ~ったよ」


 うん? 頭をボリボリ掻きながら、随分あっさり吊り目が引き下がったな。


「おい! ここまで言っておいてそれだけで済ませる気か!」


 おお、やっぱ馬鹿は納得言ってないって感じか。でも犬が、まぁまぁ、って上手く抑えてるな。


 まっ、これで終わりかな。なんだかもっとこう殴り合いとか始まるかと思ったけど、意外と大した事なかったなぁ……まぁあの吊り目はムカつく奴だったけど、他の二人はそうでもないみたいだし、こんなもんか。


 あの吊り目達も席に戻って仲間たちと酒盛りを再開した。何だったんだ? て感じもしないでもないし、馬鹿もいまだブツブツ言ってっけど、とりあえずもうコレ以上ここにいても仕方ないしね。皆して部屋に戻ることにした。





◇◆◇


 部屋割りは昨日と同じ、あたしと馬鹿、スラパイが同部屋、犬とマセコが個室だ。


 よく考えたら犬とマセコの待遇よくねぇか? て気もしないでもないけど、まぁあたしが言い出した事だしね。

 しゃあない。ベッドには寝れるしね。


 そういえば、流石に馬鹿もさっきの事があって、猿にはなれないみたいだな。

 まぁあたしからしてみれば面倒くさくなくていい。夫婦丼のおかわりは色々疲れる。


 まぁそんなわけで、馬鹿には床で転がってもらってる。だってベッド二つしかないし、しゃあないじゃん。なんかシクシクシクシクうっせぇけど、こういう時に男が身を退くのは当然だっつの。


 スラパイはあたしと一緒でもいいって言ってきたけど、気を使ってというより、涎が溢れてて明らかに満々だから、やんわりと拒否っといた。

 てか夫である馬鹿の目の前で、あたしとスラパイがおっぱじめたらヤバイだろ色々と。


 身体が疼くとかいわれても困るわマジで。ウナ蛇効きすぎだろ。





 で、一旦は瞼を閉じたんだけど、目が冷めた。二人の寝息は聞こえてる。うん両隣で。せめぇよ! なんで潜り込んでんだよ! 嫌なテンプレだなおい。


 まぁでもしっかり寝てるな。さすがに夜這い(?)かけるとこまではしなかったようだけど。でもスラパイの手はしっかりあたしの果実を揉んでやがる。アグレッシブすぎだろ。


 あたしは二人を起こさないようそっとベッドから出た。もうひとつのベッドに移動しようかな。てかよく考えたらこれが普通だよな。なんでだれも気づかなかったんだって話だ。


 ただまぁちょっと生理現象がね。うん、だから光殻虫の入った籠持って、廊下に出たんだけど。


「どうかされましたか? マリヤ様?」


 犬が出てきた。起きてたのかよ。


「えぇ。ちょっとお花を摘みに……」


「お花? この時間にですか?」


 ちげーよ! 隠語だよ! 気づけよ! てかあの芸人嘘つきだな。さっぱり通じてないじゃん。


「てか、別に今気を使う必要なかったな。便所だよ犬」


 よく考えたら誰もいねぇんだった。素に戻す。


「それでは、この私もお付き合い致しましょう」


「お前マジで変態だったんだな」


「いや! 違います! そうじゃなくて!」


 流石のあたしもドン引きしたけど、よく聞いたら、食堂の事もあるからボディーガードだってさ。

 成る程ね。まぁ襲われても何とかする自信はあんだけどね。


 で、犬引き連れて下に降りる。こっちの世界じゃトイレを二階に作ったりはしないんだな。まぁ処理とかの問題があるのかもしれないけどメンドイ。


 犬はドアの外で見張ってくれた。そんで用を足して、また部屋の前まで戻ってきたんだけど、なんか目が冴えちゃったかな。

 それに気になる事も少しあるし。


「犬。ちょっとそっちの部屋行くわ」


「え!?」


 いや! 何期待に満ちた目してんだよ!


「犬。言っておくけどあんたの思ってるようなことじゃないからね」


「……そうですか」


 めちゃめちゃガッカリしてんな。てか、お前が馬鹿にバレたら困るって言ってたんだろうが、て話なんだけどね。





 部屋の中はまぁ可もなく不可もなくって感じだな。昨日の部屋よりはあたしのほうも犬の方もマシかな? 勿論一人部屋だからツインの部屋よりは狭い。おまけに荷物も運ばれてるから尚更だね。

 

 中にはベッドが一つと、小さな椅子が一つ、そして木製のまぁこれまた狭っこい机が一つだ。


 当然だけど犬には椅子に座らせて、あたしがベッドに腰をかける。


「てか犬、よく起きてたな」


「ワン! えぇ寧ろ夜はずっと起きてますので」


「は? マジで? じゃあ、いつも寝てないってこと?」


「あぁいえ、昼間馬車の中ではそれなりに……」


 そういえば、たまに瞼を閉じてたな。しかしそれだけで夜は寝ないってか。強者だな犬。


「でもなんで寝ないの? 不眠症とか?」


「いや、そういうわけでは。ただ皆様の身の安全を守るのも私の仕事なので……」


 なるほど。そういえば食堂の事とかも気にしてたしな。


「さっきの奴みたいのが襲ってこないようにとか?」


「えぇ……まぁ」


 なんだ、やけに歯切れがワリィな。


「何? 他に何かあんの?」


「…………」


「……おい。犬、まさかあたしに隠しごとする気じゃないよな?」

 

「ワ、ワン! そ、その、カグラ様が寝込みを襲われたりするとちょっと厄介だなとも思ったので……彼女は、まぁ、破瓜するともうユニコーンは操れませんし……」


 はぁ? なんだつまりあの娘が夜這いされないよう気をつけてたってわけか。 

 うん? でも一体……。


「でもそれ、誰が襲うってんだよ。まさかあの馬鹿とか?」


「…………」


 なんだ急に無言で。窺うようにあたしをジッと見て……て! あたしかよ!


「ざけんな犬! なんであたしがアイツを襲うんだよ!」


「ワ、ワン! し、しかしですね、勿論この犬もそんな事はないと信じてますが……か、可愛いとか言ってましたし……」


 クッ、こいつ犬のくせにあたしをそんな目で見てたのかよ! ざけんな! そりゃまぁ男女関係なくすっけど、それはあくまで手段なんだよ!


「大体女のあたしがどうやって処女を奪うってんだよ! ざけんな!」


「……マリヤ様ならそれぐらいは出来そうな気が致しまして……も、申し訳ありません」


 あたしなら出来るって、人を化け物みたいにいいやがって……大体そんな事出来る……出来る――うん、まぁやろうと思えば出来るなあたし。





「ワーン、ワーン、ワーン……」


「はい、あと五百回ワンワン腕立てね」


 とりあえずムカついたのは確かだから、犬には腕立てやらせてその上に腰をかけてやった。んだけど、これでもなんか嬉しそうだ。やたら息が荒い。

 しょうがないからたまに弄くってやる。お? めっちゃ反応してる。


「しっぱいしたらまた最初からね」


「ワ、ワン……」


 当然だけど常に寸止めね。おお色んな意味で苦しそう。うん、この罰ゲームは正解だね。鞭とか踏みつけとかやっても気持ちよさそうだから罰にはなんなくて困ってたんだよね。


 まぁそれはそうと、あたしは肝心な聞きたかった事を聞いてみることにする。食堂の件で気になってたんだよよね。


「なぁ犬。たしかさっき飯の時、あいつらの事を冒険者風情って言ってたけど、コッチの世界にはやっぱ冒険者ってのがいんの?」

 


 


 


 


 

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