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2話

※2014/09/19 修正版と差し替えしました

 まぁ、というわけで飛び込んだ先は街道が走る草原。

 こういうのなんて言うんだっけな。一応いかオタクに話合わせるために用語は覚えていたんだけど――あぁそうだ。テンプレだテンプレ。

 

 うん、そうテンプレ。だからあたしは今――


「へっへっへ。姉ちゃんそんな格好でこんなところうろうろしてたら危ないぜ?」


「俺達が守ってやるからちょっと黙ってついてこいよ」


 まぁそんな感じでいかにも俺たち盗賊ですって感じの男に囲まれてるわけだ。


 まいったわ本当に。普通ならなんか貴族とかが襲われてて転生者が助けるみたいな話なんだろうけど、今回はあたしがそもそも女だからねぇ。チートというのが何なのかもわかってないし、どうしたものかなぁ。


「てか姉ちゃんまじで嫌らしい格好してるなぁ。正直そんな服きてる女、俺は初めてみたぜ」


 ハゲでデブで、息も豚臭いあたしがこれまで出会った男のなかでも相当上位に入りそうなブサメンが、そんな事をいいながら、あたしを嫌らしい目でみてくる。


 てか顔近づけんなキモい。


 因みに盗賊風の男は他に二人、ネズミかよってぐらい前歯が伸びやたらと目玉の小さな小男と、語尾にうほっ! とかつきそうなゴリラ顔の男だ。


「うほっ! もうたまんねぇうほっ!」


 見事に予想が的中したよ。てか息も荒いしどうみても股間が膨らんでるしどんだけ溜まってんだこいつら。


 にしてもそんなに嫌らしい格好かねぇ? あたしは普通のつもりなんだけど。

 まぁ確かにちょっと屈んだだけでパンティー(Tバック)が見えそうなタイトなミニスカに、見せブラ着けてその上から薄手のジャケット――


 うん。まぁ結構なもんだな。


「ぐへへ、姉ちゃん。ここはあまり抵抗せず大人しく……」

「いいわよ」


「へ?」

「は?」

「うほっ?」


 三人共なんか目を丸くさせて間抜けな顔をみせてやがる。


「だから付いていってやるわよ。で、そこにはあんたらのボスとかもいるの?」


「え? あ、あぁ勿論いるぜ! ぼ、ボスに言えばきっと色々と――ぐへへ」


 鼠みたいな小男の話し方はこのなかでは一番気持ち悪い。まったくこいつの時はできるだけ口を塞がねぇとな。


 後は――まぁ目でもつむってれば何とかなるか。


「まぁいいや。じゃあ、さっさと案内してくんない?」


 あたしの発言に、調子がくるう、等とぶつぶついいながら、彼等は私を前後に挟むようにしながら歩き出した。





◇◆◇


「ふ~ん、中々いい女じゃねぇか」


 てわけであいつらに連れていかれたのは、なんか山の中の洞窟。てかなんか感覚的には一時間近く歩かされた感じだよ。ざけんなっての。


 おまけに歩いてるあいだにもあいつら発情して、ボスの前へ連れて行く前に少しぐらいつまんでも……、とかうっせぇからしょうがねぇからそのまま一発出させてやった。


 結局無駄な運動しちまったよ。


 まぁ下手に抵抗して殺されるよりはましだけどな。この世界の奴等って普通に拷問とかしそうだし。


「まぁここに来たからにはお前にはしっかり働いてもらわなきゃいかんけどなぁ、へっへっへ」


「は? 働く?」


 おいおい冗談だろ。労働とかめんどいっての。


「あぁそうだ。その身体を使ってな――」


 なんだそっちか。紛らわしい言い方すんなっての。しっかしニヤニヤして何考えてんだか。こいつも溜まってんのか? あぁ、まぁでもそれならそれで――。


「ねぇ……あたしどうせなら貴方に可愛がってもらいたいな」


「ほわっ!?」


「この厚い胸板……」

 の割に出っ張った腹が情けねぇ。中年太りかよ。


「お、おう……」


「たくましい腕……」

 ふっといだけで美しさの欠片も感じさせない野蛮な腕だ。


「へ、へへ、わかってるじゃねぇか」


「それにこの……豪胆な顔つき」

 まるで岩石だな。悔しいです! とかいいそうだ。髪も、うぇ、なんかやたらベタベタしてるしフケだらけ。


「す・て・き」

 あたしはとりあえず胸板に顔をよせ、自慢の美乳を擦り付けてみた。


 そしたら勝手にあたしの髪を撫でてきて、可愛い奴め、とか言ってきて頬もだるんだるんだ。


 馬鹿かこいつ? チョロすぎんだろ。

 まぁでも、臭いし、醜いし、不潔だし、ブサイクだしといいとこはどこもないが一応は頭みたいだしな。


 とりあえずあたしは、この頭に連れられて洞窟の中のこの馬鹿専用の部屋に連れて行かれた。


 部屋っていっても穴の中の穴ってかんじで青姦と対してかわんねぇし、地面はごつごつしていてぇしで最悪だ。


 てかこいつらそろいもそろってなんでこんな原始人みたいな格好してるんだ? まぁ脱がすの楽だったからいいけど。


「んふっ、ん、ずぁいごうです、ぐぉんなうぉいきぃの、うぁじめで」


 おうおうあたしの行為で嬉しそうににやけてるよ。てか口をあけたままだとしゃべりにくいっての。

 第一たいしたことねぇし。あのどんぐり神様よりはましだけど。


 とはいえ流石にこれ以上されるがままもね、そろそろ頃合いかな。


 あたしはそう思うが早いか、いつもの魔女の微笑みを浮かべる。


 そして――


「今度はあたしが――」


 さぁこれで攻守は入れ替わった、ここからが本番――





◇◆◇


 これまでに奪ってきた財宝は、洞窟の奥に隠してある宝箱に保管してあるらしい。

 厳重に施錠してあるらしいが、その鍵の場所もあたしのテクでめろめろになった彼はあっさり白状してくれた。


 こういった自分の強さを誇示したい男には、最初に主導権を譲ってやると後が楽だ。

 特にこの馬鹿はやたらと腰を振るしか脳がないからすぐに体力も尽きる。


 そして疲れがみえたところで立場を逆転させてしまえば後は思い通りだ。


 今も気持ちよさそうに無防備で寝息を立てている。ナイフの一つでもあればあっさり殺せそうだ。

 まぁそんなことしても厄介なだけだから、しないけどね。


 さて、あぁあったあった。本当にあったよ鍵。なんか岩の下に隠すってベタなのな。


 これさえ手に入れればもうこいつにようはないなぁ。財宝奪ってとっとと逃げたいとこだけど。


「ぐへっ。おつかれさん。随分長かったなぁ」


 あたしが部屋を出たところを、ねっとりとしたしゃべり方で手下の一人が声を掛けてきた。きっも!


 とはいえ、他にも何人かいるし、普通に宝箱のところとやらにいっても怪しいよなやっぱ……確かあいつの話だと手下は二十人だったかな……まっ、なんとかなっか。


「ねぇ――あなた達も気持ちよくなりたいと思わない?」






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