自己紹介
この物語に登場する個人、団体はすべて架空の人物、団体です。
以上の事を踏まえて楽しんでいってください。
「はぁぁぁ……。」
……どうしてこうなった。私が一体何をしたっていうの…。今日は学校生活一日目、余程のことが無い限りため息なんて出ないはずなのに…。いや、余程の事があったからため息が出てる訳で…。はぁ…。
結論から言うと、私は小説愛好会なる意味不明な部活に参加することになった。いや、本当に言うと自分から参加を希望してしまった。…私の無いに等しい名誉の為に言おう、私が悪いんじゃない!あの人の口上手過ぎ!…あ、今の口っていう表現に卑猥な行為を想像した人、私と同類で決定ね。じゃ、朝の出来事を私の記憶でダイジェストでどうぞ。
「ちょ、待ってください!急にそんな事言われても…!」
「あら、私と一緒の部活はイヤかしら?」
「そういう問題じゃなくて…!私は貴女の事、何も知らないじゃ無いですか!」
「あぁ、そういう事。名前は日笠原文、この学校の三年Aクラス、この学校の学生自治会長をしてるわ。…スリーサイズも必要かしら?」
「是非にっ!…じゃなくて!何で私がそんな愛好会に入らなきゃいけないんですか!」
「貴女が入りたそうな目で此方を見てたからよ。」
「私は何処のモンスターですか!」
「何よ、何か不満があるわけ?」
「当たり前ですよ!私、入る部活は自分で決めますから!」
「残念ね…。欲しい小説が学校の経費で手に入るのに…。」
「ぐっ…だ、駄目ですよ!私はそんな罠に釣られ…」
「部員美人揃いなのに…ほら、集合写真」
「…クマー…」
…ふっ、ついつい印鑑を押しちまったぜ…。私って、ホント馬鹿…。
仕方ないじゃない!この上から「ちなみに…入らないなら学生自治会長として、廊下で騒いだ罰を与えます」なんて言うんだもん!登校初日から罰受けたくなんて無いもん!それに写真が…女神が5人微笑んで…うへへ、思い出しただけでニヤケてしまうぜ。
ちなみに現在は教室にて待機中。1クラス23人のクラスで、苗字の頭が「す」の私の席は丁度教室の中央だった。むぅ…授業中寝づらいな…。自分の席に座り、担任の先生が教室に来るのを待つ。ふと周囲を見れば既に数人で固まって仲良く話しているクラスメートも居る。中学時代の友達が一緒だったのだろうか、うらやましい。まあ、私を含めて多数は自分の椅子に座り学校案内の冊子を読んだり、明日からの時間割を確認したりしてる。え?入学式?自治会長本当だった、以上。疑ってた訳じゃ無かったけど、壇上に上がった時の凛々しさは本物だった。
はぁ…。今日何回目かな、心の中でため息つくの…。なんて考えながらキョロキョロしてると、右隣の子と目が合った。栗毛の長いフワフワの髪が少しプードルとか小型犬を連想させる小柄な女の子だ。下手をしたら小学生でも通じるかもしれない。うん、可愛い。脳内で評価をつけながらじっと見ていると、何故か目を逸らしてくれないので、一応笑みを浮かべてみる。
「っ…!」
「…?」
…何故そんな思いっきり顔を逸らすかな、お姉さんちょっぴり悲しいぞ?
兎に角それから此方を向いてくれないから、此方も視線を外の方に向ける。1年の教室は二階だから、少し高い空が見える。…高い気分だけどね、教室の真ん中からじゃ空しか見えない。あ、鳥が通った。
「皆さん、自分の席についてくださいね。」
取りとめもない事を考えていると、どうやら担任の先生が来たらしい、先ほどまで少し騒がしかった教室がさっと静かになり、直ぐにほぼ無音の空間が造られた。私も先生の声に教卓の方へ目を向ける。そこには何とお母…こほん、もとい周防先生が立っていた。うーん、やっぱりいつ見ても美しいなぁ…ん?
「この一年間、皆さんと一緒にこのクラスの一員になりました、周防沙耶です。よろしくお願いしますね?」
な、なななな何だってぇー!聞いてない、聞いてないよお母さん!初耳だよ!というか教師なら事前にクラスも分かってたはずだよね?何で教えてくれなかったの!?
驚きを隠せずに瞳を開け呆然としている私に、自己紹介をしている教卓のお母さんはチラリと目線を向けると、悪戯が成功した子供のように一瞬軽く口元に笑みを見せる。うふぉう…この小悪魔め。
そんな私を尻目にお母さんはテキパキと自分の自己紹介を始める。専門教科や自分の趣味、学校内での自分の呼び方など、最初の自己紹介の典型そのままといって良い自己紹介だった。私と親子だって事は言わなかった、私も今は言わない方が良いのかな?
「それでは…今度は皆さんにも自己紹介をお願いしましょうか。出席番号順に氏名、出身校、後は…趣味や意気込みもあると、先生も嬉しいかな。」
自分の自己紹介がひと段落した後、入学初日の定例行事を私達に提案するお母さん、それにしても今日は笑顔が三割増しに輝いて見える。くぅ…可愛い、とても同じ血が流れてるなんて思えないよ…。周囲を確認すれば私と同じ蕩けた表情の生徒がちらほら…許さん!お母さんは私のものだ!他の誰にもやらんぞ!
なんて馬鹿なことを考えているうちに自己紹介が始まってしまった。教室端の最初から、順番に教卓前まで移動して、自己紹介を始める。趣味や特技、入る予定の部活など、各々自分のことをアピールしている。中にはスリーサイズを暴露してた子も居た。勿論メモは忘れてない。
そして順番はさっきの隣の女の子へ。席から立ち上がり、教卓へと近づいていく。座ってる時もそうだけど、全体が見えても印象は変わらない。教卓の後ろに立てば、体が隠れて顔しか出ていない。自分の状態に気づいたのか、教卓の横に立ち直して少し仏頂面を見せている。やばい、予想以上に可愛い…。
「……久澄明日香…よろしく。」
そう言って久澄さんは仏頂面のままで隣の席に戻ってきた。あまりにも簡素な自己紹介に周囲からザワザワとした雰囲気とまばらな拍手が送られている。
「…久澄さん、自己紹介はそれだけかしら…?」
「…はい。」
苦笑じみた笑みを浮かべてお母さんが久澄さんに問いかけると、久澄さんは仏頂面をそのままに小さく、かつ短く返答をする。周囲のザワザワが更に大きくなる。慌てて嗜め、自己紹介の続きを再開するお母さん。少し…、久澄さんにムッとする。あの反応の仕方は如何なもなのだろうか、最初の自己紹介があれでは皆が困るとは思わないのだろうか。言葉にはしないけど、心の中にはモヤッとした感情が渦巻いていた。
「じゃあ次…、周防さん?お願いできるかしら?」
だいたいあのお母さんへの態度が許せない、せっかく気を使ってくれたって言うのに…。
「……周防さん?」
「…ふぇ?あ、はいっ!」
考えごとをしていたら私の番になっていた。返答が遅くなり慌ててしまい、間の抜けた返答をしてしまった。周囲から失笑が起こる、うう…恥ずかしい…
「…大丈夫ね?」
「はい…大丈夫です…。」
お母さんが心配そうに此方を見ている、少しいつものお母さんの表情が見えて安心する。とはいえ失笑のダメージは残っており、少しうつむき加減で席を立って教卓の横に立つ。くっ…お母さんに心配をかけるとは、まだまだ真のマザコンには程遠いな…!
という訳で皆の前に立つ私、と、ここで問題発生。……自己紹介考えてなかったぁぁ!
落ち着け、冷静になれ私…!慌てず騒がず冷静に…!皆が私に注目してる…まずいまずいまずい…はっ!そうだ!前立ち読みした本に自己紹介のいろはがっ…!
「えっと、周防小百合です!出身は雄緒中出身!趣味は漫画とラノベを読むことです!た、只今彼女募集中です!」
……これ合コンの自己紹介だよ!しかも男性用!ほら、クラス中の空気がおかしいし!この教室だけ氷河期が来てるってば!ああ!お母さん!?そんなに退かないで!リアルに傷つくから!久澄さんなんてゴミを見るような視線になってるし、何だかそっち方面に開花しそうだよ!と、とりあえずフォローを!
「…わ、忘れてください…冗談です…あ、小説愛好会に入部するつもりです。」
更に空気が氷のように冷たくなる。え?え?何で?私おかしなこと言ってないよね!?ちゃんとフォローもしたよね!?特にお母さん!?何故「ウチの子が…そんな風に成長してたなんて…」って呟きながら泣いてるの!?久澄さんはゴミを見る目からもっと酷い目になってるし!何故?何故なのよー!!
……どうしてこうなった。
はい、やっぱりハイペース維持のためにgdgdで書かせて頂いております。すみません。
多分次辺りから物語が始ま…りません。最初なのでまだgdgdが続きます。お手数ですがご了承願います。
それでは、次回またお会いしましょー