馴れ初め
この小説に登場する個人、団体は架空のものです。実際の団体にはまったく関係ありません。
上記を読んだ後、ゆっくりしていってね!
女学園…それは男の夢、男子禁制の乙女達の園…むさ苦しい男達から隔離されて、乙女達が勉学に励む学びの場所…。親友を作り、友情と自愛を育む神聖な場所…。そんな女学園といった制度も、近年の共学化の流れに段々と衰退しており、その存在すらが珍しいものとなっている。
ここ、私立盃宮女学園はそんな共学化の流れにも負けず、男子禁制を護っている今時珍しい学校である。「高志強心」を校訓をモトに、高い志と強い心という今時男児でも珍しい精神を学んでいる…まあ、そんな事気にしてるのは一部の生徒だけだけど。ちなみにこの校訓、新しい校長に代わってから付けられたもので、前は「立志勤勉」が校訓だったとか。何でも校長曰く、「勉強なんかより心が大事、結果は後から付いてくるもの」らしい。人間としては評価するが教師としてそれは如何なものか。
その校長のお陰か、この盃宮女学園、通称盃女の校風は他の女学園と違いほのぼの、のほほんとしている。いや、他の学校の事なんて見た事無いんだけど、多分この学校程じゃないと思う。だって校則がゆる過ぎるし…過去の先輩には私服登校を三年間続けた先輩も居たとか。もちろん、盃女にはちゃんとした制服がある。濃紺のブレザーで、生徒には結構好評だ。
そんな校風だから、生徒達にものほほんな気持ちが移ってしまうようで、進学、就職に関しては到って普通、一応、介護福祉関係には強いみたいで、希望する学生は放課後学校で講義を受ける事もできる。部活動についても、殆ど特出したものはない。あ、剣道部はここ二年間は全国大会に出場しているらしいので、強豪なのかもしれない。
そんな普通の女学園なのに、この学校の施設は驚くほど高性能で、大学並みであるという話もある。学費はそんなに高くないのに、何処にそんな資金が在るのか不明な程に高性能な設備が整っている。学生専用の学食は、この学食を理由に入学を決めた人も居るほどだし、寮だって完備されてある。
そんな普通だけど普通じゃないこの女学園には、現在1~3年生総勢で314人の乙女が在籍しており、世間から半分隔離された世界で学校生活を送っている。定員は毎年100人、それに、途中編入や転校などの理由も含めて現在の人数になっいるのだ。
私、周防小百合はそんな盃女の新入生、何で思考で学校の紹介なんかしてるのか分からないケド、まあいいか。
「ふわぁぁ……。」
いかん、欠伸が止まらない。登校初日からこれはまずいかな?やっぱり徹夜でゲームは駄目だね、三時間は寝なきゃ。
兎に角私は今学校へと向かっている。今日は待ちに待った入学式、徹夜が幸いして遅刻はしなかったし、今から行けば丁度いい時間のはず。
「あらあら、女の子がはしたないわよ。気をつけなさいね、小百合?」
「……はぁい、お母さん」
この隣で柔和な笑みを見せているのが私のお母さん、名前は周防沙耶。軽くウェーブのかかった長い髪と、歳を感じさせない白い肌、驚く無かれ何と36歳である。見た目20代なのに、我が母ながら美しい…。ちなみに私はそんな母の遺伝子を全く引き継がなかったらしく、到って普通の女生徒で留まっている。
隣からのお母さんの声に若干不平そうに返す。これから毎日母と登校しなければならないと思うと、ため息しか出てこない。
…可笑しな事は言ってない。私と母が並んで学校へ向かっているのは、何も今日が入学式だからではない。母はなんと盃宮女学園の英語教師なのだ。この美貌をもって教員免許持ち…、我が母ながら末恐ろしいスペックである。…あれ?これ私じゃなくてお母さんが主人公のほうが需要あるんじゃ…?
「それにしてもいい天気ね。」
「…そうだね。あ、学校着いたよ?」
「あら本当。時が経つのは早いわね…。じゃ、頑張ってね?」
「分かってるよ、行ってきます。」
そんなこんなしてる内に学校に着いてしまった。お母さんはそのまま教員室のある校舎へ行ってしまう。ああ…後ろ姿も様になるなぁ…。あ、今更だけどマザコン注意ですよ?
お母さんと別れた後、私は生徒用の玄関へと向かう。既に数人の生徒と、保護者と見られる方々が見える。よく見れば、その生徒の全てが、私と同じ新しい制服に身を包んだ新入生だと分かった。私は新しい同級生達に内心で挨拶しながら、手元のクラス表に目を落とす。私のクラスは…Cクラスか。あの子の名前は…Dクラス、クラスが分かれてしまったみたいだ。
あの子というのは私の親友、淡路佐弓のことである。詳しくは割愛するが、中学時代から親しかった友人だ。ちょっと内気な性があるので、新しいクラスに馴染めるか親友として心配だ。
クラス表の裏面、学校内地図を参照にしながら玄関へと向かう。さっさと自分の下駄箱を見つけ、上履きに履き替え廊下を歩いていく。この学園無駄に広いな…。
「ふぅ…こっち、かな…?」
地図の見方と広い敷地に四苦八苦しながらも、何とか一年のクラスへと向かおうとする。と、此方へ向かってくる人影があった。その人はゆっくりと私の方へ歩いてくると、いきなり目の前で立ち止まった。何が何だか分からず動揺する私。
「あ、あの……。」
「…………」
相手は何も言わずに此方をじーっと見ている。あ、良く見たらこの人凄く美人…。真っ黒な長い髪がまるで鴉みたいで…。こんな美人に見つめられると何だか凄くくすぐったい。心まで読み取られてるみたい!いやん、恥ずかしい!…そんな訳無いけどね。そんな下らない思考をしていると、唐突に相手の唇が開く。思わず身構える私。
「…貴女、最近呼んだ本は?」
「えっと…ラノベとか、漫画とか…」
「好きなカプは?」
「んー…萌えれば何でも…」
「…兄萌え?弟萌え?」
「双子もアリだと思います。」
「そう、結構。」
はっ、しまった!つい自分の素が出てしまった!って言うか兄?弟?は?何でいきなりそんな質問を?え、分からない、この美人の言ってる事が分からない!
「貴女、名前は?」
「えっと…周防、小百合、です…。」
「周防、小百合さんね…入学おめでとう。」
私の名前を聞いて何かメモをした後で、その美人は笑顔を浮かべた。うっは、美しすぎる!
思わず鼻を押さえて荒い息を何とか整えている私に、その美人は紙を一枚差し出した。…え?
「ついでに…小説愛好会、入会にようこそ。」
その紙に書かれていたのは、入部届けに書かれた、私の名前と得体の知れない愛好会の名前だった。……全く意味が分からない。
すみません、投稿感覚重視ということで中身がカオスです。しかも色々フラグが……。
後々、確り回収していきますね。それでは、今回も有り難うございました。