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締め切り

この物語はフィクションです。フィクションですよー。

「…ま、最初だしこんなところかしらね。」

「あ、有難うございます編集長…。」

「誰が編集長なのかしら?私は部長よ?」

 何とかさゆみんの助けと徹夜での作業もあって、私の原稿は完成していた。今日はそれを見せにきた訳なんだけど…これ、予想以上に緊張するわ…。

 とりあえず、今は放課後、第二研修室兼小説同好会部室。居るのは部長と私だけだ。明日香とさゆみんは教室の清掃だそうで、今日は遅れて来る手筈になっている。久澄先輩は未だ来ていないから、必然的に二人きりになってしまった訳だ。

 で、今私の目の前では編集長…もとい部長の日笠原先輩が原稿を読んでいる。うん、勿論私の原稿なんだけどね…。一応の合格ラインは貰えたようで、ホッとする。正直な話、もっとボロボロになるまで小言を言われ続けるかと思ったんだけど、そんな心配も杞憂だったみたい。

「言わないだけで山ほどあるけど、聞く?」

「すみません、簡便して下さい。ってか勝手に人の心読まないで下さいよ!」

「あなたの表情を読み取っただけで、別に心は読んでないわよ。」

 くうぅ…、全くこの先輩、性質が悪すぎる…。敵わないとか、そういう問題じゃなくたちが悪い…。

「ま、正直ホントに書いてきてくれるとは思わなかったわ…。」

「書いて来なきゃ仕事が増えますからね…。」

「本気にしてたの?私もそこまで性悪じゃないわよ?」

 部長は私の原稿をひらひらと振りながら、事も無げに話す。相変わらず何故か苛々しない絶妙な笑い方だ。……ん?

「…書いてくるとは思わなかった…?」

「えぇ。明日香と佐弓はまだしも、貴女は正直間に合わせてくれるとは思わなかったわ。大方、佐弓さん辺りが手伝ったのかしらね?」

 うるへぇ、私とさゆみんとの友情を甘く見るな。少なくとも私からさゆみんに向ける友情は本物だ!…さゆみんの方はどうか分からないけど、きっと、おそらく、多分大丈夫…だと、思う、よ?

「あらあら、随分と自信が無いのね。親友との友情がそんなに信じられないのかしら?」

「だぁから!人の心を勝手に読まないで下さいって!」

「だぁから、別に心は読んでないってば。」

 くっ…そうやって人を弄んで…思わず濡れちゃうじゃない!頬がとか、そんな生易しい部分じゃなく主に下のお口が!……うん、思いっきり下ネタだけど許して、私の唯一のチャームポイントだから。

 そんな事を考え唸る私を他所に、部長はゆっくりと足を組む。一瞬スカートの中が見えるかと思ったけど、流石に立ってる私に座っている部長の下着は覗けない訳で…。そんな無意味な葛藤をしていると知ってか知らずか部長は言葉を繋げる。

「うん、この出来なら次の月刊に載せられそうね。この調子でまた来月もよろしく。」

 ……正直な話面倒だけど、まぁ仕方ない。騙されたとはいえ私もこの部活の一員、小説を書くこと自体に異色を唱えたりはしない。

「あ、今度はお試しとかじゃ無いから、ちゃんと二十枚、お願いね。」

 多少の無理がある気がするけど、まあ無理ではないか…。ゆっくりと頷いた私に、部長は次の言葉を続ける。

「あぁ、今度はもっと厳しく採点するからね、今の儘じゃ受け取らないから。」

 これも頷く。仕方ないよね。

「それから、一応印鑑を用意しておいてね。事務で色々使うから。」

 これも頷く。何だか関係無い事に使われそうだけど、恐らく学外にまで使ったりはしないだろう。

「提出が一番ビリだったし、お仕置きがあっても仕方ないわよね?」

 これも頷……ちょっと待ったあぁぁ!

「ちっ……後少しだったのに…。」

「当たり前じゃないですか!何考えてるんですか!私はちゃんと期限前に提出したじゃないですかぁ!」

「ちょっとからかっただけでしょ?そんなにカッカしないのよ。」

 あ、危なかった…。後一瞬思考が遅かったら頷いていた。

「それはそれとしてお仕置きだってあるんだから。」

「なんでっ!?」

「一年生の中で一番完成度が低いからよ。」

「そんなバナナ…。」

 り、理不尽すぎる…。私だって頑張って書いたのに…。その仕打ちがお仕置きだなんて…。

 そりゃ、私の作品はお世辞にも綺麗な文章じゃないし、急ごしらえだし、三時間クオリティだけども!だからって私だけお仕置きは無いでしょ!

「バナナは兎も角、お仕置きはもう決まった事なの。嗜好…もとい、施行する私も心が痛いし、今すぐ始めたいのだけど…?」

 くぅ…!いきなりの急展開、このままお仕置きを受けなきゃならないの…?何とか逃げる方法は……。


コマンド

 ・たたかわない

 ・こうさん

 ・ふくじゅう

 ・あきらめる


 …駄目だ!"逃げる"は愚か"戦う"すら無い!くっ…そ、それなら…。

「ぶ、部長!そのお仕置き私が考えるっていうのは…。」

「駄目に決まってるでしょう、言ってる意味自分で分かってる?」

「分かってますよ!大丈夫です、他人から見ればお仕置きですから!」

「貴女にとってご褒美じゃ意味無いじゃない。って言うかお仕置き何にするつもりよ…。」

「そりゃ勿論あんな事やこんな事に決まってるじゃないですか!」

「あんな事やこんな事ならお仕置きにしても良いのね?」

「勿論です!」

 いや、むしろお願いしますやって下さい!

「そう…じゃあ…」

 お?部長?何故胸元のリボンを解くんです?まさかホントにあんな事やこんな事をしてくれるんですか…?ふふふ、大胆に胸元が肌蹴てすごく官能的です…ふぉ!?そんなエロい表情されたら私の心臓バックバクじゃないですか、責任とってくださいね。…?今度は口元に手を当てて…何のポーズ?

「きゃああぁぁ!犯されるーー!!」

「ちょっとまってぇぇぇぇ!!」

 …悲鳴を聞いて駆けつけた先生方に誤解を解いたのは三時間後でした…。

……本当に、すみません…。まさかのエロ落ち…期待した皆様、ホントに御免なさい…。

えっと…今回も読んで頂き有難う御座いました。

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