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身体検査

この物語の全ては、フィクションですので、あんまり気にしないで読んでくださいませ。

 今日は朝から色々なことがあった。部長から原稿書くように言われたし、お母さんからはHR中ずっと冷たい目で見られた。正直な話いつもの私ならとっくに音をあげてぐったりしているだろう。ぐったりして明日香辺りにセクハラをして、反撃を喰らい更に落ち込んでいたことだろう。

 だがしかし、今日は違う。今日だけは違う。なぜならこれから私にとって天国とも言える時間がやってくるのだから!今日という日をどれだけ待ち望んだことだろう。まだ学校生活二日目だけど。いや、それでも私はこの時を昨日から心待ちにしていたと声を大にして言える自信がある。年に一度、この時のためにこの女学園に入学したと言っても過言ではない。嗚呼、待ち遠しい…。

 現在私達はお昼休み、というよりは5時限目開始手前である。1から4時限目は国語、社会、数学、理科のテストだった。正直な話私の精神はテストによってガリガリ削られているが、そんな事は今日に限っては些細なダメージだ。内容も中学校時代の復習だったので、そこまで難しくなかったし、割愛させてもらう。

 私はちらっと手元のプリント…時間割表に目を通す。そこには一ヶ月分の行事と変則時間割が書かれており、今日の1~4時限目には学力テスト、5・6時限目には身体計測、内科検診と書かれていた。……察しのいい読者諸君には分かるだろう、数多の男達の夢、半裸の美女を合法的に見放題なのである!今このときほど私は女に生まれたことを嬉しく思ったことはない!女の子万歳!美女の半裸万歳っ!網膜に焼き付けるほどガン見してやるぜ…ぐふふ…。

「……その笑い方…気持ち悪いわよ…。」

 隣の明日香から声がかかる。おっと、いけないいけない。ついつい内心が顔に表れてしまう。平常心、平常心だ…。

「……更に変な顔になってるわよ…。」

「失敬な、今の私の顔はいつも通りのはずだよ。」

「いつも通りの顔なら、そんなスッキリした表情してないわ。もっとヘラヘラしてるもの。」

「それって私がいつもヘラヘラしてるってこと?」

「あら、遠まわしに言ったのによく分かったわね。」

 分からいでか。しかし言われっぱなしは性にあわない。私が言い返そうとゆっくり口を開くと、その瞬間始業のチャイムが鳴ってしまった。くっ…相変わらず空気の読めるチャイムだ…。仕方ない、明日香には5時限目で仕返しすることにしよう。

「はーい、席についてー。」

 チャイムと同時にお母さんが入ってきて指示を出すと、他の騒いでいた生徒達も静かになっていく。会話が殆ど無くなったのを見計らって、お母さんが話し始めた。シンと静まり返った部屋に、お母さんの透き通った声が響く。

「先ずはテストお疲れ様。まだ点数は教えられないけど、皆がきちんと復習していたみたいで先生は嬉しいです。補習を受ける必要のある生徒は居ませんでした。」

 まるで自分のことのように、とても嬉しそうに女神は語った。……間違ってない、私の中でお母さんは女神なのだから。そのまま女神は話し続ける。

「今日の五限、六限は身体計測、内科検診です。詳しくは今から配布する資料を見てください。」

 そう言うと、お母さんは最前列の生徒にプリントを配り始めた。そのままプリントは誰に指示された訳でもなく後ろへと移動し、私まで回ってくる。そのまま前の人に習いプリントを一枚取り、残りを後ろへとまわす。その後、手元のプリントへと目を通した。

「一年生はAクラスから順に身体計測、内科検診を行います。多目的教室で身長、体重、座高、胸囲、腹囲を測った後、保健室で検診となります。他のクラスはその間は自習ということなので、静かにしていて下さいね。」

 …内容を読者諸君に説明する前にお母さんに説明されてしまった。まぁ、プリント殆どそのままだから、割愛することにする。私は詳しい概要を知るため、再度プリントに目を通した。……ん?

「…なお、先生の方も内科検診や身長体重を測るのに忙しいので、胸囲と腹囲については皆さんで協力して測ってください。今後の体育や衣服の採寸等の目安になりますので、くれぐれも嘘を書かないこと。良いですね?」

 ………き、き、きたぁぁぁぁ!読者の皆さん!何とこの作品二度目のサービスイベントですよ!作者め技量が無いくせに頑張るつもりみたいですよ!無意味なエロスを提供する気満々ですよ!

「それでは、指示があるまで教室から出ないように。…私は皆さんを信じてますよ?」

 柔和な笑みを見せて私達にやんわりと釘を刺すお母さん。相変わらずの聖母の笑みが眩しい程に輝いている。思わず脳内フォルダに最高画質で保存してしまった。

「……あんた、さっきより酷い顔になってるわよ…。」

「そんなハズないよ。今の私は淑女モードだもん。ところで流石にあの笑顔は反則だと思うんだけど、プードルちゃんはどう思う?」

「淑女が聞いて呆れるわね…。後、流石に担任の同性教師の笑顔で反則かどうか聞かれるとは思わなかったわ…。」

「えへへ、それほどでもぉ~。」

「褒めてないわよ!」

 やっぱり明日香は弄っていて楽しい。駄目だとわかっているのについつい口が滑ってしまう。案外明日香にはMっ気があるのかも。

「それにしても身体検査か…。」

 憂鬱そうな明日香が不平そうに呟く。どうやら身体検自体に抵抗があるようだ。どうかしたのかな?

「身長測られるのが嫌なの?」

「違うわよ、ぶっ殺すわよ?」

 …どうやら相当お冠のようだ。触らぬプードルに祟りなしだね。でも身長の事で悩んでいる訳じゃないらしい。一体何が嫌なんだろう?……あ。

「分かった、胸gごめんなさいごめんなさいごめんな……あれ?」

「っ……」

「あ、あれ…あ、当たったの、かな…?」

 今までと反応が違う。何時もなら怒るなり軽くいなすなり反応を返してくれるのに、今回は顔を背けるだけ。……ちくしょう可愛いなぁ。ん?

 胸がコンプレックス…。これは、お約束の展開ではないですか?下手をすれば小学生でも通る容姿の明日香が胸に抱いているコンプレックスといえば……大きさか!古今東西様々な参考資料(主に漫画や小説、同人誌など)を読んできた私には分かる!あの明日香の悩み事、それは……貧乳だ!

 これは友達として明日香を元気付けてあげるしかないな!そして貧乳の素晴らしさを教えてあげなければ!

 私は席を立ち、未だ此方を向かない明日香の背後に回り込み座っているその腰に抱きつく。

「な、何してるのよこの馬鹿っ!」

 急に慌て始める明日香、ふふ、だがもう遅い!もう私の手は明日香の胸元に近づいているのだ!この勝負、私の勝ちだぁぁぁっ!私は明日香を宥めながら、胸元に掌を這わせた。

「まぁまぁプードルちゃん、胸が小さいくらいでウジウジしたって仕方n……なん、だと…?」

「っ!!ば、馬鹿あぁぁぁ!」

 手加減0%の右ストレートが私の頬に炸裂した。消え行く意識の中、きっと私は身体計測という名の桃源郷にたどり着く事はないだろうという空虚感と、未だ手にその感触を残す明日香の胸の膨らみが、恐らく私依りも大きいだろう事実だけが頭の中を支配していた。

……ええ、言い訳はしませんとも………

お待ち頂いた皆様、ありがとう御座います…。

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