プロローグ
この作品に登場する団体・個人などは、架空の人物です。
以上の事を踏まえてご覧ください。
一筋の閃光が虚空に光った。
金属音と怒声をBGMに、二人の男が剣を構え対峙していた。一人は若い男、一人は初老の男性であったが、二人の息は荒く、手に持つ剣は疲労に震えていた。いや、恐らく憤怒や畏怖といった感情もそれには込められているのだろう、二人の表情は負の表情そのものであった。
「フランツっ……!」
「クレイっ……!」
初老…クレイの呼びかけに、若い男…フランツが返答する。二人の言葉には殺気が宿り、瞳は目の前相手の隙を探し鈍く光っている。既に両者の身体には無数の傷が造られているも、致命傷はない。四肢は疲労を除けば問題無く動き、思考は正常に作動して相手を討たんと画策している。
「何故分からんフランツ!この世界は犠牲の上に立っているのだ!不本意だがそれが現実だ、受け入れろ!そなたの妹は仕方の無い犠牲だったのだっ…!」
「五月蝿いっ!リリアの死が仕方なかった…?世界の為の犠牲だった…?そんな理屈聞きたくない!そんな犠牲の上に立つ世界なら…俺が壊してやる!」
クレイの呼びかけにフランツが返答する。刹那、フランツが剣を振り上げ急速に接近し、クレイとの間合いを積めていく。振り下ろされたフランツの剣を、クレイは半身になり回避した。
次々とフランツが剣を振るも、その切っ先がクレイに触れる事は無い。青年の若さと力に任せた剣さばきを、初老剣士は技と経験で全て紙一重で避けていた。否、余裕を持って回避する程の体力が既に残っていなかった。
次々と上下左右から繰り出されるフランツの剣勢を見ながら、クレイは一瞬の隙を見つけ、己が剣を相手に上方から叩きつける。僅かに反応の遅れたフランツは怯みながらも両手で剣を掲げ、落下してきた刃を受け止める。間一髪、刃が額に傷をつけるも両腕と剣はクレイの圧力に持ちこたえた。
「り、リアは…リリアは犠牲になったんじゃない!世界に殺されたんだ!リリアが死んでも世界は何も変わらなかった!」
「世には時期というものがある!それにこの様な反乱が無ければ、もっと早く世界を統べられたのだ!そなたは妹の死を無駄にする気か!?」
「うる…さぁい!」
拮抗していた圧力に、一瞬の緩みが発生する。その一瞬に全ての力を込め、フランツは上からの圧力を振り払った。
「くぅっ……!」
「アンタには分からないんだ…!だから討つ!俺が!」
フランツによって弾き飛ばされたクレイは、よろめきながら後退していく。既に体にはガタがきており、体制を整える事さえ儘ならない。後方へ転倒こそしなかったものの、クレイは決定的な一瞬を与えてしまった。
クレイはその一瞬を逃さなかった。剣を横に構え、相手の命を奪おうと突進していく。フランツもそれに気づいたのかよろめきながらも剣を構え、相手に肉薄せんと望む。
「うわぁぁぁぁぁぁっ!」
「おぉぉぉぉぉぉぉっ!」
「……で、この続きはどうしたのかしら?周防さん?」
「……………まだ、考えてないデス。」
突然ですが私、お説教なう。部長、カンカンなう。私、ガクブルなう。
椅子に座っている部長の前に立たされている私。日常茶飯事な風景なので、もう慣れた…嘘、何百回やっても絶対慣れない。
くっ…まさかもう部長が帰って来るなんて…!副部長との旅行だから後三日は大丈夫だと思ったのにっ…!
「残念だったわね、由紀の都合で今日までしか一緒に居られなかったのよ。」
思考まで読まれている…部長ってエスパーなのっ!?
「はぁ…周防さん?旅行に行く前、貴女に私はなんていったかしら?」
「……12日までに、添削清書済みの作品を作ること…デス。」
「That's Right.で、今日は何日かしら?」
「……13日、デス。」
恐怖に片言の日本語を話す私に先輩は流暢な英語を返してくる。発音が凄く良いので吃驚したけど、今はそんな事は問題じゃない。私は戦々恐々としながら、次の部長の言葉を待つ。
まずい……旅行予定期間に締め切りがあるのはおかしいと思ってたけど…まさかこんなからくりがあったなんて…!
「連載小説だから完結してない分には構わないわ。だけど……添削すら終わってないのはどういう事か説明してくれるのよね?」
説明デキマセンっ…!後三日あるからって新作の携帯ゲームに毎晩現を抜かしてたなんていえませんっ…!
「しかもこの稚拙な文章…仮にも我が盃女の小説愛好会のメンバーが作る文章じゃ、ないわよね…?」
顔中、いや体中から嫌な汗が流れる…。もちろん、汗と涙以外のものは出ていない…ハズ。私はチラリと部長の顔を拝んでみた。
あぁ!部長の額に青筋とか怒りマークとか毘沙門天とか兎に角色んな怒りを代表するものが見えるっ…!駄目だ!此の儘では十中八九部長に殺される!し、仕方ない…ここは奥技を見せるとき!
「あ、あの部長…!」
「何かしら?周防さん?」
「すみませんでした、以後気をつけるので一日待ってください。」
土下座!これこそ日本の文化!究極の謝り方、ベスト・オブ・土下座を見せる私、これなら〆切だけでもなんとかなるハズ…私は完璧なDOGEZAを部長に見せ、次の言葉を待った。
「ふむ…いいわよ、それくらいなら。勿論、日にちが延びるのだたらもっと素晴らしいものが完成するのでしようね、楽しみにしておくわ…。」
あ、地雷踏んだ。
記念すべき初投稿となります。プロローグですので細かい設定等は後ほど…突っ込み所満載、駄文ですのでご指摘等ありましたら反映させて頂きます。