STORY:2【きっかけ】
着いた先は…もちろん、体育館である。
体育館に着くまでに、美優は何回も私を見て笑っていた。“失礼極まりない”とはこの事か。
──がらっ
体育館の重たい鉄のドアを開けると、少人数の3年生と1年生がいた。
『すいませーん』
美優が大声で言った。みんなが一斉に振り向き、こっちに視線を向ける。
『見学させてもらいますねー』
OKサインをいただき、体育館の隅の方で見てみる。
『今から、シュート練習するってさ』
『ふーん…』
『うわっ!ノリ悪ーい』
別に初めからノリ気じゃねぇーよ!…とか思ってみたけど、口には出さない。まだ生きたいし。
───ザッ!!
目の前で、大きな音を立てながらシュートが決まった。
『ナイスシュート』の声が響き渡る。
決めたのは3年生だろうか。
いや、1年?…まさかね。
『響ーーー!!ナイッシュー!!』
いろいろ考えていると、隣の美優の声が耳に入った。ってか、響って誰やねん。……ってか、何してんねん!!
『ちょっ…何してんの!?』
『今シュート決めたの、私の弟なの!』
『へぇー………』
あんた、弟居たんだ。
早く言えよ(泣)
だから笑ってたのか?人の顔見て?
……わからん。
美優の発言には、たまに考えなければ、分からないところがある。
これは元々で、天然なんだろう。
だから憎めない。
でも、美優の困った発言はここでも健在。続けてこう言ったのだ。
『唯!響と付き合ってあげてくれない!?』