死因:花瓶
「ふんふんふん〜♪」
鼻歌を歌いながら、家への帰路を辿る。
どうしてこんなに上機嫌なのかって?超絶やりこんでるゲームのクリスマスイベントがあるからだよ!!
クリスマスは、色んなゲームでイベントが開催される日だ。特に現実で何かあるわけではないのだが、不思議なものだ…。
すでにお察しかもしれないが、この私、北条美帆は、超絶非リアのjkである。いや、jkと名乗るのも烏滸がましくはあるのだが、一応jkである。
彼氏は勿論友達すらおらず、ソシャゲとSNSにのめり込むだけの日々。
今、「こいつ哀れだなぁ〜」とか思われた気がするが、私はこれで満足しているので。別にいいのだ。
決して「クリスマスの1日だけでもいいから彼氏作って家でパーティしたいな〜」とかは思ってないのだ。
そんな感じで、もうすぐ家に着くぞ〜という時に。
あろうことか、頭上から花瓶が降ってくるというテンプレではあるが意味の分からぬ出来事によって、私は意識を失ったのだった。
チキショー。ざけんなよなんだこの死に方。まだ彼氏どころか友達すら作ったことないんだぞ。
それでせっかくゲームして気を紛らわせてたのに、こんなアホみたいな理由で死んで、納得出来るかよ。
ハァ……
いい人生だった…。なんつって。
…
…
…
死ぬの遅くないか?
あれ、これもしかしてやばい?植物状態的な?
オイオイ、最悪のパターンだよそれ…。
それになんか、アスファルトの上で倒れたはずなのに、地面の感触がふわふわだ。
まるで草みたいだ。
……草ァ!?!?
驚いて目を開ける。
って、死んでなかった…いやそれよりも。
どこ、ここ…。
私は何故か、森の中に居たのだった。
落ち着け。一旦状況を整理しよう…
いや出来るかー!!
ちょっ…待てよ。花瓶にぶち当たったら森の中ってそれ、洒落になんないよ。テンプレ漫画かよ。
テンプレ漫画……
(ワンチャン……あるか?)
急がば回れ…じゃないな。思い立ったが吉日だ!
「炎よ燃え盛れ!!ファイアぁぁぁ!!」
…
…
うん。知ってた。
ま、まぁ?いきなり強い魔法とか使えるとかは思ってなかったケド?
「それじゃあ…か…鑑定ー!!」
目の前の草に手を向ける。
…
…
「ハァ……」
ゴミだな。この世界ゴミだ。
というかそもそも、転生したっていう認識自体が間違いなのかもしれない。
普通に地球の違う場所に居るとか。
それはそれでやばいけどな。山の知識とか私全く無いよ。シンプルに餓死して終わる可能性あるのキツいだろ。
とりあえず、何か行動しないと状況は変わらないか…?なんだっけ。川沿いを歩けばいい?山の上の方に行くんだっけ?
ま、いっか。とりあえず歩いとけばどっかには着くでしょ。
30分ほど歩くと、運良く川に当たった。
水は貴重だ。毒とかあったら終わりだけど、まぁ元々花瓶に当たって死んでたんだから、一緒。
手で掬って水を飲む。
「うめぇ〜〜!」
40分間歩き続けた体に、水が染みる。いや、染み渡るぅ〜。
…冗談は置いといて。運動経験ゼロの私に30分の歩行はキツいのだ。しかも草だらけで、スカートの状態で歩くとチクチクする。
高校入学の服選びの時に、「これでモテる!」とか調子乗ってスカート選んだバツだ。
スカート履いてモテるやつは、ズボンでもモテるのだ。問題は服ではなく私であった。
そんなことを考えてると悲しくなってきたので、川辺に座って状況確認をする。
まず、私は下校中に花瓶に当たって死んだ。いや、もしかしたら死んで無いかもしれないけど。
で、いつのまにかこの森にいた。しかも1人で荷物も無い。
は?◯すz…
いかんいかん。SNSを触っていると口が悪くなる。
いやしかし、水は手に入ったが、食料は無い。最強チート無双系の漫画と、悪役令嬢が無双する系の漫画しか読んでなかったので、まともなサバイバル能力などない。
キャンプ系ラブコメも読んでおくべきだったか。
いや、読んだところで出来なかっただろう。
虫とか草とかを食べるか?いやでも、毒とかあったら嫌だしなぁ。というかそれ以前にキモいから無理。
これ死ぬかも…




