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夢を見させてくれてありがとう。

作者: 文哉
掲載日:2026/03/04

 俺はしがないスーパーの店員だ。

18歳で働き始めて社会なんて何もわからない子供だ。毎日上司に怒られ不甲斐ない自分に嫌気が差し、駅のホームから飛び出そうという日が何度もあった。

ーそんな俺でも刺激のある日常が欲しいー

当時の俺は社会人だからまだ学生の同級生より金があると優越感に浸り、なんでも金で解決しようとしていた。そしてまだ若く性欲が有り余っていた。でも風俗というのは敷居が高い。そこで始めたのが援助交際だ。性行為というのは今までは交際相手と愛をもって行うものと思っていたが、この事がきっかけに俺の考えは変わってしまった。人間の本能のままに行動することにとても快楽を得ていたのだ。

ーいま俺は誰よりも輝いているー

そう思っていたのだ。


 社会人になりもう2年が経つ。俺はもう成人になり酒と煙草を覚えた。現実逃避なのだろうか、自分を満たしてくれるものとなった。

ところで、読者のみんなはスーパーの店員の働き方をご存じだろうか。スーパーの店員は店舗配属で働くことになり、必ず異動(転勤)が存在する。

そう。俺もその異動の対象になったのだ。異動というのは緊張するものだ。環境が変わり、人も変わる。また一から築き上げないと考えると気が遠くなる。

 

 異動初日

俺は目を疑った。この会社で働いた2年間、周りは中年ばかりでつまらない人間しかいなかったがこの店舗は違った。見た目は同い年ぐらいか?身長は低くとても童顔だ。そう、つまり俺好みの容姿なのだ。だがここで問題なのが俺と彼女は部署が違うのだ。話す機会もないし何も接点がない。だから当時は諦めていた。また金を払って抱こう。今までと変わらない生活だ。


 もう異動してから3年経った

さすがに環境にも慣れて他社員とも信頼が築き上がっていった。ここでひとつ進展があった。俺の信頼する先輩と彼女が仲が良いことがわかった。先輩が同じ部署だからというのもあるがこのチャンスを掴みに行った。俺と先輩は元からXで繋がっており、先輩から彼女のアカウントを見してもらった。フォローぐらいはするか。翌日、彼女から「フォローありがとうございます。プロフィール画像の豚ちゃん可愛いですね。」と一言。

バレたか。雑多アカウントだし特定手段はないと思ったが甘かった。まぁ別にいいか、困ることはない。

それから彼女との会話が少し増えていった。俺がXで「今日は頭いたいな」など呟くと翌日彼女から「お大事になさってください。」と声をかけてくれるのだ。当時は何も思っていなかったのだが、よく他人を見て思いやりのある子だったのだと思う。

そしてまた一つ彼女の事を知った。彼女は俺より10個も年上だった。これは盲点だ。俺はなによりも年上が苦手だ。気を遣いたくないのだ。相手が年下で俺がリードしてやりたい。そういう考えなのだ。

これはもう潮時か・・・?


 また1年が経った

この店舗も随分長いこといる。様々な異動もあり、俺が2番目に長く居る人となった。彼女とはどうなったかと言うと何ひとつ変化はない。会話も特別増えたわけでもなく、ただ同じ店舗にいる従業員だ。


 異動から4年も経ち俺にも心の余裕が増えたのだろう。先輩達と飲みに行く機会が増えた。やっと社会人らしい生活が出来始めていた。ここで俺は先輩から久々に彼女の話を聞いた。「彼女と同じ部署のやつ数人で飲みにいったんだけど、彼女がすごい酔ってさ。今日は生理だから口だけでしかできません!とか言うんだよ」なんというカミングアウトだ。面白い女だなと二人で笑った。

 

 そこからしばらくして機会が訪れた

先輩と後輩を連れて3人で飲みに行って俺は呟いた。「彼女呼びますか?口でしてくれるのかな~」もちろん冗談だ。だが下心がないと言われても嘘になる。でも一度は見てみたいのだ彼女の酔った姿を。

そして私はDMを送り彼女を誘った。「今、先輩と後輩くんと飲んでるんだけど来ますか?」

すぐ返信がきた。「後輩さんいるんですか?行きます!」まじか。来るのか。少し驚きが隠せない。ここで気付くかもしれないが彼女は後輩くんを溺愛しているのだ。後輩くんはイケメンで彼女とも歳が近い。俺も彼女が後輩くんに好意を持っていることは知っていた。今回誘ったのは後輩くんへの悪戯でもある。

30分後、彼女が来た。後輩くんの表情が暗い。これは面白い空間だなと俺も酒が進んだ。ここで先輩の衝撃の一言「なんか後輩くんの下半身が寒そうだけど彼女さん温めてあげたら?」何を言ってるんだこの人は。でも俺のその気持ちよりも前に彼女は後輩くんの股を探ったのだ。何をしているんだこの女は。俺は正直引いていたが少し楽しんでいた。だが後輩くんの下半身は機能しない。所謂【勃起不全(ED)】なのだ。ここで俺も一言「彼女に触ってもらったら機能するんじゃないか?すごい寒そうじゃんか」完全に楽しんでいる。ここで後輩くんは店を出た。翌日子供に会う予定があるそうだ。バツイチで親権もなく毎月養育費を払っているそうだ。大変な生活をしているのだ。

 彼女はというと、もうしっかり仕上がっている。先輩よ、飲ませすぎだ。ここからが地獄の始まりだ。彼女はトイレに籠り30分ほど出てこない。俺は先に会計を済ませ外で彼女を待った。先輩も付いているから心配はないだろう。しばらくして先輩と彼女が出てきた。先輩が彼女を担いでいる。もう全てを察した。やりすぎた。飲みすぎだ。とりあえず彼女を近くの公園まで運び、休ませた。先輩と俺で介抱をしたのだがもう何回吐いた姿をみたのだろう。嫌気がしてきた。でもそんなことは言ってられない。飲ませたのは俺たちだからな。「お水買ったからこれ飲んで。気持ち悪かったら全部出して」そう声を掛け、見てることしかできなかった。ここで終電が近付いていく。さすがに先輩を残すわけにはいかない。翌日も出勤だろう。俺は幸いなことに翌日は休みで自宅が近いから終電逃しても帰れる。「あとは俺が見ておくんで先輩帰って大丈夫ですよ」先輩に告げた。「わかった。あとは頼むぞ。あと、変な気は起こすなよ」そんな気さらさらあるもんか。こんな姿見せられて襲う気にもなれない。俺は先輩の背中を見送り公園を後にした。


 さぁどうやって送ろうか。俺は人を担ぐほどの力はない。とりあえず彼女を俺に寄りかかせて彼女の自宅まで歩いて行った。普段であれば彼女の家まで15分ほどで着くものを1時間以上かかった帰路であった。道中、彼女の体制が前かがみになり俺は嫌な予感がした。とりあえず公園で休もうか。道中に公園があって良かった。何度も吐いた。何度もこの光景を見た。他人の吐く姿を一生分見た気がする。

二人ベンチで休みここで彼女からの衝撃の一言が飛んできたのだ。「今日はすみません。介抱までしてもらって・・・体で・・・払わせてください・・・」アホか。なんだこの女は。俺はそんなこと口に出せるわけでもなく心にしまい、彼女に言った「そんなこと言ってる場合じゃないですよ。まず家に帰りましょう。飲みすぎですよ。」俺はちゃんと先輩の言葉を思い出していた。変な気を起こす気はない。でも、口でやりますよ!とかいう女だぞ?簡単にやれそうじゃないか。いや、だめだ。ちゃんと家まで送ろう。俺は理性を保っていた。俺は彼女から住所を聞き出して家まで送っていった。家に着いたのは夜中の1時過ぎ。あぁもう電車はないのか。帰るの面倒だな。


 とりあえず俺は彼女の家に上がった。トイレでも借りていこう。でもこのまま帰っていいのか?彼女が寝るまでいるべきか?こんなに酔った女性を見るのは初めてでこの後なにをしだすかわからなかった。もしこのまま家を出て彼女が危険にさらされることになるなら俺がちゃんと付いてあげないと。俺はそう考えた。しばらくして彼女が動き出した。何をするのだろうと彼女を目で追っていたが彼女は急に俺の目の前で着替えを始めたのだ。着替えるなら一声掛けろよ・・・。俺は視線を下ろし極力視界にいれないようにした。でも俺も男だ。まだ着替え中でも俺は一度視線を上げた。なんて綺麗な体なんだ。一俺の理性は崩れかけた。だが襲う気はない。俺はあくまでもお互いの合意がない限り行為を行わないのだ。よく出来た人間だ。

 「布団に入らないの?」彼女からの一言だ。まぁもう電車もないし一晩泊めてもらおうか。寝るだけだ。俺は布団に入り。初めて飲んだ女性とシングルのマットレスで夜を過ごした。


 寝れるか!こんな状況で!

彼女も同じだったのだろう。暗い部屋で周りが見えなくても彼女に視線を送ると目が合い微笑むのがわかる。部屋が静寂に包まれる中彼女が言葉を発した。「後輩くんは本当に明日子供に会いに行くのかな?子供に会うのに何でお酒なんて飲むんだろう」そんなこと知るか。でも俺に考えられることは一つある。後輩くんは彼女に対して別に好意があるわけではなく、後輩くんにとっては彼女は迷惑な存在なのだろうと。そういう話は何度か聞いたことがあった気がした。でも彼女はそんなことを知る由もない。ただひたすら後輩くんとの惚気話を聞かされた。なんだこの時間は。どんだけ溺愛してるんだよ。俺はただひたすら彼女の独り言に必死に返事をし会話にさせた。正直退屈だ。でも何故か居心地の良さはあった。彼女の甘い声が脳に響く。恋する女性は美しいなと俺は思った。でも疑問が一つ。なぜ俺を部屋に上げたのだ?介抱のお礼だとは思うが普通に考えたらおかしい話じゃないか?そんなこと思っていたのだが彼女の声が子守歌のように響き俺は眠りについた。


 だが目が覚める

やっぱ寝れないよな。ここで彼女の方を見た。また目があった。また微笑んでいる。可愛いかよ。そして彼女は俺に背中を向けてこう言った「別に私が満足させられるとか思ってないけど溜まってるものあるなら発散した方が良いよ」落ち着け。これは誘われてる訳ではない。ここで手を出したら終わりだ。同じ職場で働く二人だぞ?今後を考えろ。この事を他人にバレたら俺の人生が終わる。とでも思ってる暇があると思うか。俺は今まで人間の本能のままに生きてきたんだ。【刺激のある日常がほしい】そうだろう?

俺は彼女の胸に手を運んだ。久しぶりの感触だ。彼女も俺の手の動きひとつひとつに体が震える。あぁやってしまうのか俺は馬鹿だな。俺は手を下ろしていき彼女の股に手を添えた。だが俺の脳内にある天秤は完全に傾いていなかった。俺は手を止めたのだ。そして彼女に背中を向けまた眠りにつこうとした。


 だが寝れない

何回同じことを繰り返すんだ。そしてまた彼女に視線を送った。また目が合い微笑む。俺の様子を伺っているのか。俺は襲う気などないと口には発せず目線で送った。彼女は察したのか今度は彼女の手が動き始めた。全身を触れてくるのだ。俺は恥ずかしいことに敏感体質であり、すぐ反応してしまう。またしては声も出てしまう。でも彼女にとってそれは喜ばしいことだったのだろう。手付きが変わり始めてきた。反応の良いところだけを触ってくる。だが彼女はこの状況にも関わらず元カレ、後輩くんの話をしだすのだ。ん?なんだ?どうしてほしいんだ?でもその方がありがたいか。彼女には別に好意を持っている人はいる。俺とはただ遊びだけで終わらされば良いんだ。俺も同じ考えだ。今までとは違い、今回は特別にお金を払わず抱けると思えばいいんだ。


 気付けば時計は5時を回ろうとしている

もう全身の感覚が麻痺するほどになった。そして体ももう疲れ切っている。二人は体を密着しあい眠りについた。俺は環境のせいかなんども目が覚めてしまうが彼女は深く眠りについている。寝顔も可愛いのか。そう俺は思った。そして俺が寝返りを打とうとしたとき彼女が動き出した。おもむろに俺にキスをしたのだ。なんだこの可愛い生き物は。俺は完全に心が打たれた。これが遊びか?その日限りなのか?もったいなすぎるぞ。そして彼女が細い声で一言「寒いでしょ?ちゃんと布団かぶって」なんだろうか。今までと違うな。もちろん俺は学生の頃に性行為というのは経験をしているし、ただ体の関係を持っただけで人に好意を持つような人間ではない。だが、事後でもこんなに他人を思ってくれてる人は今までに出会ったことはなかった。

俺はこの人と一生付き合おう。大切にしよう。俺にはこの人しかいない。俺はその日にそう思ったのだ。


 次に目が覚めたのは昼頃だ

彼女がシャワーを浴びている音が聞こえる。俺もそろそろ起きるか。というか寒い。全裸のままだった。

服を探すと綺麗に畳んであった。どこまで出来た人なんだよ。

「服、ありがとう。ごめんなさい、なんか泊まっちゃって。」俺は後悔などなかった。ただ感謝を伝えた。彼女も返す「こちらこそ、介抱から何までありがとう。でも、このことは墓場まで持っていこう。お互い内緒で。」ここで俺と彼女との秘密ができた。嬉しいのか?そこは正直に言おう。嬉しいさ。さぁ帰ろうかと思っていたがまだ眠い。疲れも抜けず結局部屋に入り浸ってしまった。

ここで一つ知ったのが彼女の最近の趣味はタロット占いらしい。俺は彼女の占いを見て時間が過ぎていった。「俺君の今の気持ちも占ってみる?」やめてほしい。なんて出るんだ。でも好奇心には逆らえない。俺は彼女にお願いした。

【俺君は今、葛藤している。自分の気持ちが整理できない状態にいる。でもその気持ちは自分では整理はできているかもしれないが、これを誰かに伝えた場合、今後の事を考えてしまいなかなか言い出せない。】こわ。当たってんじゃんか。俺はまさに葛藤していた。彼女と夜を共に過ごし、体の関係を持ってしまった。そしてわかった事が俺は完全に彼女に好意を持ったことだ。でも彼女には別に好意を持っている人がいる。俺の気持ちを彼女に伝えたことで何の意味があるのだ?でも伝えるべきなのか。俺はその気持ちがずっとあった。俺は怖くなって彼女をはぐらかし、そしてまた眠りについてしまった。

また目が覚めると布団が掛かっていた。あぁ好きだ。なんて思っているともう時間は17時じゃないか。また明日もお互い仕事だ。さすがに帰ろう。俺は彼女に帰ることを告げた。「長居してごめん。もう帰るよ。ありがとうね。」俺は準備をした。「待って。駅まで送るよ。」別にそこまでしなくても。俺と彼女は家を出て、駅で解散をした。今日の事はお互いの秘密にして・・・

俺は自宅に帰宅をし彼女にDMを送った。「今日は長居をしてしまい申し訳ありませんでした。でもすごく居心地がよくすごく貴重な時間を過ごせました。正直彼女さんのこと好きになりました。彼女さんが後輩くんを溺愛するように、俺も彼女さんの事をずっと推し続けます。」素直に好きと言えばいいものの「推し」だなんて逃げた発言をしてしまった。


 翌日

正直気まずい。彼女になんて顔して会えば良いのだろうか。そんなことを考えながら業務に移った。しばらくして後輩くんも出勤した。「一昨日どうでした?なんか介抱したらしいですけど。」心配していたそうだ。「大変だったぞ。何回も吐くし。なんでお前が介抱しなかったんだよ。」俺は後輩くんをからかった。「でも怖いのが彼女急に体で払わせてくれとか言ったぞ。」なんでこんな事言ったんだ?俺でもわからないが優越感に立ちたかったのだろう。ださいな。だが後輩くんは言った「誰でも良いのかよ・・・」ん?どういう意味だ?まぁでもそういう人だろう彼女は。正直、軽い女なんだろう。俺はその時何も気に留めずにいた。

その後も俺と後輩くんは業務上の話を挟みつつ雑談をしていた。そしたら彼女もその場に現れた。「おはようございます。」気まずいな。なんて顔に出さず俺も返事をした。そして彼女がまた口を開く。「この帳票だけど、そっちの部署にもまだストックある?」おい、まて。今ため口で話したか?今まで敬語で話していただろう。明らかに怪しまれる行動をとるな。ましては後輩くんの前だぞ。「あります!大丈夫です!」俺は彼女の声をかき消すほどの声量で返事をした。明らかに動揺したように見えるが後輩くんには何も勘付かれなかった。一安心だ。

ここで先輩も出勤をした。先輩にも後輩くんと同じ内容で報告をした。「いやぁでもお前が変な気を起こさないで良かったよ。」胸が痛い。先輩、俺がっつりやってますよ。そう思いつつ一日の業務をやり切った。


 数日が経った

俺の会社は一週間の長期休みを取得できる。俺もその機会が来たのだ。でもこの長期休みというのは実にやることがない。そうだまた彼女とご飯でも行くか。俺はもう彼女に好意を持っていた。業務中も目で追ってしまうし休憩中も時間が被ると何度も視線を送ってしまう。でもこれは自分を傷付けてしまうことになる。わかりきった恋の結果を一生追い続けることは俺はできるのか?彼女が俺に振り向くことなんか0%だぞ。でも俺は本能のまま生きるだったか。そんな事は気にしなかった。この気持ちは本気なのだから。

職場で彼女と鉢合わせになった。今だ。「彼女さん。俺、明日から長期休み入るんでいつでも遊びに行きましょうね。」笑いながらいったせいか冗談に聞こえたのだろう。「やばぁ。」と彼女も笑っていた。これで予定はできた。また彼女と会える。

そして先輩に告げた「俺、彼女さんとまたご飯行きます。なんか好きになったんであの人のこと。俺、本気です。」先輩も驚く「本気なのか。じゃぁ応援しないとな。」見とけよまじで。


 長期休み初日

俺は彼女とLINEを交換した。彼女の休みに合わせて予定を組んだのだ。3日後か。楽しみだ。場所は俺の地元に来てくれるそうだ。ずっと気になっていたそうだ。じゃぁ連れて行こう。美味い店ならいくらでも知っている。


 3日後

ついにこの日がきた。どれだけ待ったのか。3日というのも長いもんだな。19時集合ということで俺はそれまで時間を潰した。時間が経つのが遅い。いつもの趣味も集中ができない。早く時間よ過ぎてくれ。


 集合時間になった。

彼女が駅から歩いてくるのが見える。それだけでも愛くるしく思うのはもう末期なのだろうか。俺の感情もすっかり変わってしまったな。そして俺らは沖縄料理の居酒屋に入り二人の時間を過ごした。4時間ぐらい経ったのか。周りの客ももう少なくなり店も閉店の時間のそうだ。俺は会計を済ませ。彼女と店を出た。終電がギリギリだ。さすがここから彼女の家まで歩くのは大変だ。だが彼女は俺に言った。「帰りたくない・・・」いや帰ってくれ。正直に思ってしまった。でも彼女はそう言いながら俺の腕を掴んだ。あざとい・・・か。まぁでも彼女の要望だ応えてやろうか。俺らは近くの公園で休み、話し込んだ。ここでも彼女は後輩くんの話をする。俺は眠気を抑えながら彼女の話を聞いていた。この時の俺はどういう感情だったのだろう。考えたくもない。そして時は来てしまったのだ。「終電なくないか?」俺は彼女に言った。「そうだね」彼女が俯きながら答える。まじかよ、どうするんだこれ。俺は普通に過ごしたかったのだ。ご飯を食べて解散。これだけで良いのだ。でも彼女は違ったのだろう。どれだけ軽い女なんだ。嫌な表現しかその時はできなかった。でもこれは俺を正当化するためだろう。終電がないとわかった瞬間、俺も少し期待をしていたのだろう。彼女の事を。

俺らはホテル街へと足を運んだ。「私、ホテル行くの初めてなんだけど・・・」意外だな。てっきり何度も行ってるものかと思っていたのだが。これは俺の先入観か。「じゃぁこの際宿泊するか。」俺もホテルの宿泊は初めてだった。二人はホテルに入りベットに入っていった。あの時と同じだ。俺はまた彼女を受け入れた。


 翌日

また彼女のシャワーを浴びる音が聞こえる。俺は二回も彼女と夜を過ごしたことにとても幸福感を得ていた。なんでこれで付き合っていないのだ?なんでこんな関係のままなんだ?俺は疑問に思った。俗にいう「セフレ」というやつだろう。本当にこのままで良いのだろうか?

シャワー室から彼女が出てきた。「起きた?おはよう。すごいねこのホテル。コーヒーも堪能しちゃった。」満足そうで何よりだ。笑顔が見れただけで嬉しかった。「でも、ごめんね。なんか二回も私が手出しちゃって。なんか可愛くてつい手出しちゃう。」あくまで彼女から手を出したと思っているのか。まぁでも良いか俺もそれを受け入れているのだし深く考える必要はない。

俺もシャワーを浴びた。時間もないしそのままホテルを出ようとしたが彼女が引き留めた。「ちゃんと髪乾かしな?風邪ひくよ?」そこまで心配するなよ。「私が乾かしてあげるよ。座って。」恥ずかしい。人に髪を乾かしてもらうのも初めてだしましたは相手は女性だ。俺はどんな顔をしていたのだろうか。あえて鏡を見なかった。


 もう時間は昼を過ぎている。二人はホテルを出て腹も空いている。「まだ、一緒に居よう?」

俺も腹が空いてるしいいだろう。二人はファミレスで昼食を取った。ファミレスでは無言が続いたが全然苦ではなかった。逆にこれが良いのだ。俺はいつの間にか眠ってしまっていたが彼女はずっとコーヒーを飲んでいた。気付けば夕方だ。そろそろ帰らないと。明日も仕事なのに遅くまで遊んでられない。だがまた彼女は言う「帰りたくない。寂しいよ。」俺にどうしてほしいんだ。俺の気持ちなどお構いなしなのだ。ただ俺は苦しくなっていくだけだ。どうして恋人じゃない?なんでこんなに時間を過ごしているのにどうして後輩くんを好きなままなんだ。なぜ一ミリも俺に振り向かない。

俺らは駅周辺を散歩して時間を潰した。もう19時になる。さすがに帰らせよう。「ね?もう帰らないと。明日も仕事だよ?」彼女は帰るのを渋っている。そして俺はまた彼女に語り掛けた「ねぇ。なんで俺たちって恋人同士じゃないんだろう?俺はこんなにも好きだし一緒に時間過ごしてすごく居心地いいのに。」だが彼女はハッキリしない。「俺くんのことも好きだし。でも後輩くんの方が好きだし。別に振ってるわけじゃないんだけど・・・」ハッキリしてくれよ嫌なら嫌って言えばいいのに。俺は深く追求せず。彼女を送り出した。


 長期休みも終わり普通の生活がまた戻ってきた。久々に先輩に会った。「どうだった飯は」俺は答えた。「楽しかったですよ。帰りたくないとか言われて少し大変でしたけど。」さすがに一日中一緒に居たとは言えないな。だがここから俺の気持ちは変化し始めていた。

あれからずっと俺は「恋人同士じゃないんだろう?」の答えにモヤモヤしていた。ハッキリとしない答え。俺はこのまま彼女を追い続けて良いのだろうか。結果のわかりきっている恋愛に足を突っ込んだ俺自身も悪いのだが精神が持たない。悪く言ってしまうと【時間の無駄】になってしまう。

また次会うときに話をしよう。


 一週間経った頃

俺は先輩に話をした。「俺もうこのままの関係続くなら俺自身が持たないのでもうやめようかと思うんですけど。」先輩が答える。「言いたいことはわかる。振り向かないんだもんな。変なところに足を突っ込んだもんな。」続けて先輩が言う。「知ってると思うけど後輩と彼女も体の関係持ってるんだよ。随分前の話だけど。」・・・思考が一瞬止まったがすべて決断付いた。そうか。やっぱりそうか。それは適わないな。ただイケメンで・・・とかの類じゃない。

ー俺はただ邪魔をしていただけだったのかー

「先輩ごめんなさい。それ、初めて聞きました。」後の会話は頭に入ってこなかった。


 数日後

俺はこの日は本社出勤であり半日で業務が終わった。そして彼女に事前に話していたため今晩会うことになっている。

前日、先輩と話し込み、どう関係を断ち切るか考えていた。今日しかない・・・ちゃんと伝えないと。

夜になり彼女と合流する。今日はファミレスで軽く夕食を取った。彼女の食べてる姿は一生見てられる。たぶん今日で最後だろうちゃんと見ておかないとな。二人は注文した品を完食し店をでた。「まだ帰らないよね?」彼女が言う。もちろんだ。まだ何も話をしていない。ここからが本番なのだ。彼女の家の周辺は俺にも思い入れのある場所だった。近くにある公園は学生の頃よく元カノと行った公園だ。「あそこの公園行ってもいい?そこの高台が昔よく元カノと行ってた場所でさ。」俺は彼女の腕を引いた。


 目的地に着き30分ほど時間が経った。

やっと俺の口が開く。「俺らの今の関係を終わりにしない?」彼女は言う。「今の関係って?」俺は答える。「セフレなんだよねこれ、俺もう耐えられないよ。自分で自分を傷つけて逃げようとしてるのはださいけどさ、好きだからこそもうやめにしたい。」彼女は悲しそうな顔をしていた。俺にはそう見えていた。彼女は何度も俺に近づき、手を繋ごうとする。だが俺は彼女の手を振り払い言う。「別に嫌いになったわけではないよ。でもあの日、介抱した日の前の関係に戻ろう。ただの同じ店で働く従業員同士とで。」「ため口も呼び方も戻すの?気に入ってたのに・・・」「戻そう。普通にしよう。今日までの事は俺は思い出として取っておきます。彼女さんの後輩くんへの好意も応援します。」彼女は俯く。少しでも悲しいや寂しいと思ってくれるだけでもうれしいさ。俺の今までの好きな人への視線とは違うことに彼女は気付く。彼女にも葛藤はあったのだろうか。掠れた声で彼女が言う。「そっか・・・ありがとう。俺くんの恋人ムーブも嬉しかった。こんなに他人に好かれることは今までなかったから・・・こんなに嬉しいとは思わなかった。これらか私も俺くん見習ってもっと後輩くんに積極的に行こうと思う。」今までの俺が力になったそうだ。だが恋人ムーブっていうのは少し引っかかるがな。「もし後輩くんに告白をして、もし振られたとき俺に少しでも好意があるとするならまた俺を彼女さんの事を好きにさせてください。」逃げの言葉なのか、俺にはわからない。「ありがとう。でもそれはないと思うよ。」・・・振られたか?・・・でもすっきりだ。その言葉が聞きたかった。今まで曖昧だった答えの終着点だ。彼女からの答えを嚙み締めたとき。雨が降り始めた。予報にない雨だ。こんなとき「レイニーブルー」を聴きたくなるな。なんて思っていた。そんな気持ちを後にして俺らは早々に解散をした。俺は何度も彼女に「ありがとう」と伝えた。別れ際、彼女が発した。「明日から冷たくしないでね!」今までに聞いたことのない声量だ。そんな声が出せるのか。彼女も必死だったのだろう。俺は彼女の方を振り向かず手だけ振った。


ーありがとうー


この気持ちだけしか伝える気はなかった。


 翌日

彼女からLINEが来た。

「今まで悩ませてしまって、苦しませてしまってすみませんでした。私の今までの態度や言動が恥ずかしく、情けなく感じます。矛盾はしていますがこのことは後悔していません。今まで関わってくれてすごく楽しかったです。本当にありがとうございました。これからもまた職場ではよろしくお願いします。」

俺も返信をする。

「今までとても楽しかったです。今までの事は思い出として取っておきます。俺を好きにさせてくれて、夢を見させてくれてありがとうございました。」


これで終わりか。約4年間、彼女を気にかけていたが別れは一瞬だ。他人の恋愛に勝手に踏み込み、無駄と思ったら自分から離れる。なんて自分勝手な行動をしたもんだ俺は。でもこの決断は決して簡単なものではなかった。それほど俺は彼女を愛していたのだ。愛のある行為をしたのも久々だ。あの頃の俺に教えてやりたい。愛は金では買えないと。大人の恋愛は苦しいものだけど得られるモノは確実にある。


ー俺もまたひとつ大人になれたかなー


そう思った。刺激を求めすぎた男の末路だ。でもこれだけは胸を張って言える。


ーいま俺は誰よりも輝いているー


小説のことなど1ミリも分からず書いてみました。至らない点は数多くあると思いますが読んで頂きありがとう御座いました。

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