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崩壊・1

――――――――――――


意思ってものは


最後まで貫けなければ


ただの


強がりになるわけで……


――――――――――――第五章 崩壊




-1



高校最後の学祭は、人気のない屋上で終えた。

いつの間にか莉子に振られた(?)事が噂になっていて、物珍しそうに俺を見る周りの視線から逃れた結果。

でも二日目も三日目も、ちゃんとクラスの役割は全うしたさ。

振られて拗ねて出てこないなんて言われたかないし。

慶太も修平も、いつもと別に変わりない態度だった。


だから俺は普通になんでもなく、修平に言った。


――俺、莉子の事やめたから


その時の修平の表情は、なんだか目に焼きついて剥がせねぇ。

勘繰るでもなく、いぶかしむでもなく。

目元だけ笑んで、「そっか」と答えた。

ただ、それだけ。

その時だけは、いつもの修平じゃなかった。



隣で慶太がどんな表情をしていたかなんて知らないけど。

きっと、本音なんて少しも見えない笑みを浮かべていたんだろう。



そして、いつも通りの生活に戻った。






「あの、私、宮下先輩のこと好きなんです」


いつの間にか葉の散った物寂しげな木が、校舎を囲っていて。

ほとんど誰も来ない放課後の校舎裏に、俺はいた。

目の前の子は、一つ下の後輩。

俺にとって、顔も知らないこの子は。

俺を、好きだと言う。


なんで、話したこともない俺を、好きだと言えるんだろう。


「俺、君の事知らないんだけど」


いつもどおりの、答え。


「これから、その、知っていただければ……っ」


いつもどおりの、返答。


「知らない人と、付き合うってのも変じゃない?」


「その……」


真っ赤な顔のまま、俯いてしまう。

それでも望みを消さないように、何か懸命に考えているみたいだけど。


……面倒


物心ついた頃から、幾度も繰り返されてきた光景。


「付き合ってくださいっ、お願いしますっ」


なんでこの流れで、そうなるのかな。

知らないっていってるのに。


「あー」


もう、面倒だからいっか。

適当に付き合えば。



そう思って口を開こうとした時、


――もう二度と会うことないだろうから、許して!


にこやかに笑う、莉子の声が脳裏に響く。


――眼中にも入れられない人の、悔しさってものをさ


慶太の、何か挑むような声がそれにかぶさる。



思わず、顔を背けた。




「……宮下先輩?」


俺のその態度に、不安げな声が掛かる。

小さく息を吐いて、もう一度視線をその子に戻した。


「悪い、付き合えない」


もっと、何か言いようがあるのかもしれないけど。

それしか言葉が思いつかない。



これで引き下がってくれるかと思ったのに、そうではなかった。

「他の人は知らなくても付き合えたのに、……私は駄目ってことですか?」

泣きそうな表情を隠そうともせず、両手をぎゅっと握り締めて俺を見上げてくる。

「君が駄目とかそういうことじゃなくて。悪い」

その視線を受け止めきれず、目を逸らしながら踵を返した。





少し、お知らせとお願いです。

「君は何を想う?」の続編に関して、サイト(マイページにリンクがあります)でアンケートを設置しています。

9月15日までになりますので、宜しければご意見お願いします!


……内容は……哲の続編の書き方という、なんじゃそりゃ的なアンケートだったりするんですが……←優柔不断

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