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最悪・1

モテるけど、その所為でどこか捻じ曲がった性格の男子高生と、なんだか思考があっちの世界に行っている社会人女性との恋愛です。

R15ですが、最後の方までほとんど出てこないぬるーい感じ予定です。



――――――――――――――


彼女との出会いは、俺にとって最悪で。

彼女にとっては、眼福だったみたいです。


――――――――――――――    第一章 最悪









「あぢぃ……」


ファストフードの店先でコーラを飲みながら、詰襟のホックをはずす。

「十月とはいえ、まだ冬服早いよなぁ。気温とかで融通してくんねぇかな」

「そりゃいいや」


高校の帰り道、男子高生三人で、詰襟で、真っ黒で。

見た目からして、暑くさい。

かといって脱ぐと手に持たなきゃいけないから、それも面倒くさい。


「大体、高校で学ランってどうなんだよ。俺、中学もだったんだぜ? ブレザー着てみたかったなー」

俺の横で諦めて学ランを脱いだ奴、高坂 修平が百八十は越えている長身の身体を、植え込みのあるコンクリに重心を預けて溜息をついた。

筋肉のついたがっしりした体格で、つんつんと立った短めの髪は、爽やか好青年ってとこか。

かなり、犬みたいな性格なんだけど。


バスケ部に所属していた(三年は夏で引退)こいつは、バスケの推薦で大学が決まっていて、未だに部活に顔を出して後輩とボールを追ってる。


俺には無理な、熱さだ――




「今更言うなよ、修平。もう三年の秋」

俺の反対隣で学ランのボタンを全部外して暑そうに手で仰いでいる奴、梶 慶太が呆れた口調で返した。

百七十そこそこの身長、可愛い顔して毒舌大王なこいつは少し前まで生徒会の書記をやっていた。

だからか、なんか大人っぽい? 



「三年だからいうんじゃん。大学入ったら、制服ねぇんだし。なぁ涼介」



俺は残り少なくなったコーラを一気にストローで飲み干して、息をついた。

「ブレザーも面倒だぜ? 学ランみたいに、Tシャツ下に着ていいわけじゃないし。まぁ、できれば中学で学ラン、高校ブレザーの方がよかったな」

飲み終えたコーラの紙コップを手近なゴミ箱に放り投げて、修平を見あげる。

修平は俺を見下ろしながら、なんで? と首を傾げた。




少しずり下がった眼鏡を指で押して、位置を直す。

鼻んとこに汗かくから、暑いと面倒なんだよな。

寝坊して、コンタクトいれられなかっただけなんだけどさ。まぁ、自業自得?



「中学のブレザーって、シンプルすぎてスーツみたいじゃんか。俺んとこのなんて、紺ブレに黒のボタンで留めるネクタイだった」

「あぁ、あれってなんか子供っぽく感じるよね。せめて、ネクタイ結ばせろって思う」

慶太は顎に手を当てて、納得したかのように何度か頷いて俺を見た。


「でさ。身長百七十五センチ、少し茶色がかった地毛の格好いいと人気者の涼介くん。さっきからずっと気になってるんだけど――、気付いてる?」


その言葉に、修平じゃないけど同じ様に首を傾げる。


「自己紹介風の呼びかけをありがとう。……で、なにが?」

慶太は顎をしゃくるようにして、少し離れたところにあるベンチを指した。



つられてそっちを見ると、女が一人。




「うっわ、すげぇガン見してやがる――」




腕を組んで背もたれに重心をかけながらこちらを見るその眼つきは。

睨むでもなく、怒るでもなく。

なんとなく身に覚えのあるその視線に、嫌気が差す。


俺の言葉を聞いて慶太は、ふうん、と呟いた。

「ずっと見てるから、知ってる人かと思った」

「気付いてんなら言えよ」

見てないで。


女から目を反らして、自分の手元を見る。

慶太は少し笑って、ぽんぽんと俺の頭を叩いた。

「いやぁ、ナンパ来るかなとかいろいろな期待を。だって、涼介別れたばっかなんだろ?」

はた、と動きが止まる。

「ちょっとまて。何で知ってるそんなこと」


黙って聞いてた修平が、ここぞとばかりに食いついてきた。

「え? お前もう別れたのかよ! まだ二週間くらいしかたってねぇのに! しかも来週学祭なのに、もったいな――」

じろりと睨みあげると、視線を泳がせてうやむやに言葉を終わらせた。


「だって、結構言いふらしてたよ。今日」

「何を」

言いふらされること、なにもしてねーぞ。まだ。


「なんか、顔だけ……とか? イメージと違う、とか?」

慶太の楽しそうな声が、すっげムカつく。


「顔だけって、それだけでもうらやましっ、いてぇっ」


修平の見当外れの言葉を、足を蹴り飛ばして止める。

両手を組んで、溜息をついた。




「あーあーそうですよ、どうせ顔だけ男ですよ。昨日別れましたが、何か?」




「いや、だから顔だけでも羨ましい……」


今度は、慶太の睨みに止められた修平であった。


「大体、顔だけで付き合ったの女の方だろ? 俺、あんたの事知らないけどいいかって、最初に聞いたってのに」

むすっした声で呟くと、再び修平がしゃべりだす。



「いや、知らないのに告白おっけーするのもどうかと思う」

「修平、いい事言うね。たまには」




――的を得ているだけあって、言い返せません




他に書いている君は何を~で、詰まった時に書き始めたお話です。

そんなときに書いているので、おかしな話になるかもです(笑


更新は多分不定期でのんびりと……になる予定です^^

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